382 日本の消費者物価 金融政策における物価の扱いが難しい。
金融政策における物価の扱いが難しい。
米国では、FRBの目標はコアPCE価格指数が2% とはっきりしている。
(建前上は、PCE価格指数が2%だが、実際はコアPCE価格指数が2%)
日本では、日銀は、2013年1月に、消費者物価の前年比上昇率2%を目標と定めている。実態的には「生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に2%」を越えることとしている。
しかし、これは奇妙なのである。エネルギー価格は日銀はコントロールできない。原油価格は日本の需要では決まらない。生産コストと世界の需要で決まる。輸入食品の価格も、日本の需要では決まらない。世界の需要で決まる。日銀の手の届かないものを目標にしているのは無理がある。
黒田総裁の時にはどう考えられていたのかはわからないが、植田総裁は、口には出さないが、サービス価格が安定的に2%、食料とエネルギーを除く消費者物価が2%と考えているようだ。
公言している目標と本音が違うところが難しい。
東京23区の消費者物価上昇率は殆ど全国物価上昇率と一致する。なので、 「
消費者物価指数 東京都区部 (中旬速報値)」は重要である。
しかし、何を見て、何を判断すればいいのかが難しい。
建前上は、生鮮食品を除く総合前年同月比上昇率だ。12月は2.1%まで低下してきた。これまで「物価は高すぎる、早く利上げしろ」とマスコミなどに叩かれてきたが、植田総裁は「そのうち下がる。利上げの必要はない。」といっていたのがその通りになった。
しかし、原油価格反騰を反騰を反映して、6カ月前比年率は再度上昇しており、前年同月比上昇率も再度高くなる可能性が高い。でも、原油価格はその後再下落しており、生鮮食品を除く総合前年同月比上昇率も最低化するだろう。そもそも、原油価格も目標の中に含まれているので右往左往しがちなのだ。米国のように、外すべきなのに、・・・ここから先は書きだすと長くなるので省略する。
で、植田総裁も、そんなことを議論したくないので、ホンネは隠して、適当なことを言って、自分がよしと思う金融政策をやっている。
(1)サービス価格
明らかにサービス価格の上昇は鈍い。デフレ脱却のキーはここにあるので、金融緩和は続けるだろう。
(2)食料とエネルギーを除く総合指数の伸びも鈍い。
結論は、日銀が利上げに転じる可能性は当分ない。
但し、マイナスを解消するのは、いつでもあり得る。それは、金融政策というより、不適当な金融政策を修正するという意味だからだ。正常化と言ってもよい。そういう意味では、YCCの解除もいつでもあり得る。市場に混乱が起きないように、日銀の意図に誤解が生じないように留意して行われるだろう。つまり、我々も誤解してはいけない。
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