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434 FOMC(2024年3月20日) 利下げ方向に変化なし 物価は沈静化に向かっていることは確か

 パウエル議長は、物価は沈静化に向かっていることは確かと何度も言った。そして、GDP成長率は2%に落ち着くと予想。完全にソフトランディングを見ている。
市場はインフレ沈静化、利下げに関して少し懐疑的になっていたが、パウエル議長はタイミングはともかく、インフレ沈静化、利下げに確信があるところを見せ、市場は安堵、好感した。金利は低下。株価は上昇。ドル下落。


2024年3月20日のFOMC後のパウエルFRB議長の会見から

米経済は確実なペースで拡大。GDPの成長は消費者の需要の強さに支えられた。住宅市場では、住宅ローン金利の高止まりにより活動が控えめだった。高金利は設備投資にも重くのしかかった。
今年のGDP成長率は2.1%まで鈍化、今後2年間にかけて2%に落ち着くと予想。前回12月の見通しから上方修正した。

名目賃金の伸びは和らぎ、求人件数も減った。労働需要は供給をなお上回るが、労働市場がバランスを取りもどす過程が今後も続き、インフレ圧力も和らぐとみる。

インフレ率は過去1年間で明確に和らいだものの、我々の長期的な物価目標である2%を上回る。24年2月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比で2.5%上昇、食品とエネルギーを除いたPCEのコア指数は2.8%上昇となる見通し。

以下、記者との質疑応答から

景気は強く、雇用も堅調で、物価は沈静化に向かっていることは確かだ。2%の物価水準に近づけると一段の自信を持つことができたら、利下げに踏み切る。早すぎる利下げをやって、また利上げをするようなことにならないように、最初の利下げの決断は慎重にする必要がある。

あくまでインフレ率は順調に低下していると評価している」

今後のデータ次第だが、今年末のコアCPI2.6%見通しを達成できると現時点ではみている

1月と2月のCPIとPCEの数字(前月比)は高かった。それでも、インフレ率が2%に向かって徐々に低下していくというストーリーは変わっていない
半面、これらの数値がインフレが2%に近づいているという確信につながったとも思わない。

政策金利が中長期的に安定する水準を引き上げた。
ただ、中立金利が長期的に引き上がるかどうかはわからない。金融危機以降、パンデミック以前にかけて世界的にゼロ金利の状態だったときには人口動態や生産性などは大きく動かなかった。しかし、現在は、私の直感では金利が大きくは下がらないようにみえる。

今は、インフレ率が2%に向かって持続的に低下していることを確信できるようなデータは確認できないが、もしデータに大幅な弱さが見られたら、特に労働市場だが、利下げのプロセスを開始する理由になり得る。

昨年、雇用が堅調に拡大してもその分、需要がそれを吸収した(ちょっと意味が分からない)ので、インフレ加速にはならなかった。その意味で雇用の急拡大が必ずしも利下げ見送りの理由にはならない」

労働市場の減速に警鐘をならすような記事も見かけるが、そのような亀裂は見ていない。全体的に見れば、労働市場は強い。賃金の伸びも持続可能なレベルまで緩やかに落ち着いている。求人や離職率など、我々が平時の基準とする2019年の水準に戻りつつある。労働市場は良好な状態にある」

新規採用率が低く、レイオフが増えれば、失業率は一気に上昇するだろうという見方もあり、注視している。今のところはまだこのような想定外の傾向はみられていない。新規失業保険申請件数は非常に低く、どちらかといえば減少傾向にある。

住宅価格の低下について、我々が見ている賃料が時間の経過とともに住宅サービスのインフレ指標に表れるという確信はある。だがその時期については少し不確実性がある。正確な時期についてははっきりわからない。

モノの価格が新たな均衡に達したことで、ここからインフレ率が急には下がらないだろう。だが住宅サービスのインフレは現在の市場賃料が示唆するように、再び低下に転じるだろう非住宅サービスのインフレが下がることの組み合わせでインフレ率は持続的に2%まで低下する

QTを終了するタイミングに関しては、短期金融市場と準備預金の監視を続けて判断する。現在、準備預金は『豊富』と言えるが、我々はこれより少し少ない『十分』な水準を目指す。しかし、特定の額やGDPの割合など、これといった目標値はない。多くの指標を見て、短期金融市場で何が起こっているのか判断する。いずれは、バランスシートのランオフ(自然減)を止める必要が出てくる。

――自信をもって物価目標の2%に到達できると言えるまで政策金利を下げないとのことだが、自信を得るためにはどのようなデータが必要なのか。――
すべてのデータを考慮し判断する。しかし、最も重要なのはインフレのデータだ。
インフレのデータやその内容、そしてそれが何を示すのかを重視する。
賃金も見ているが、我々の目標は賃金ではなくインフレ率の調整だ。賃金の上昇率は持続可能なレベルまで落ち着き始めている。今回の高インフレが賃金圧力によって発生したものだとは思わない。一方で、インフレ率を持続可能なペースで2%まで押し下げるためには、賃金の伸びも持続可能なペースに落ち着く必要がある。


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