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186 米国消費者物価(CPI) 要するに

とにかく3月のCPIはわかりにくかった。
なので、もう一度まとめてみよう。

参考になったのは次のtwitterである。
Michael McDonough(@M_McDonough)さん / Twitter
Chief Economist, Financial Products at Bloomberg LP
Bloombergでは、ECAN<Go> で見られるらしい。

まず、CPIの全体感は。
ターゲットは総合指数の前年同期比上昇率が2%になることである。
・エネルギー(緑色)はマイナスになっている。つまり、物価押し下げている。
・食料(橙色)はまだ物価をかなり押し上げている。
・財(ブルー)は物価をほとんど押し上げなくなっている。
・最大の問題はシェルター(濃灰色、殆どは家賃)の拡大が続いていることである。
・パウエル議長が注目するシェルターを除くサービス(灰色)は依然、物価を押し上げている。

以上のように、エネルギー(ウクライナ紛争の影響)、財(コロナ禍でのサプライチェーンの混乱の影響)は薄れてきている
<参考>
Crude Oil Prices: West Texas Intermediate (WTI) -  FRED
Global Supply Chain Pressure Index (GSCPI) - NEW YORK Fed

問題は、食料と家賃、家賃を除くサービスである。
食料は金融政策ではいかんともしがたいところがあり、金融政策にはそこまで影響してこないだろう。

家賃だが、これはパウエル議長にとって誤算のようだ。住宅価格が低下し始めているので、遅かれ早かれ上昇率は低下してくるのは明々白々なのは言わずもがなという感じだった。それでも、そろそろ急激に下がり始めるのではと市場も考えているようである。

そして、シェルター(ほぼ家賃)を除くサービスであるが、これは賃金上昇で押し上げられていると思われる。雇用市場がタイトなことが背景だ。その意味で、賃金上昇率、非農業部門雇用者数、失業率、求人件数動向、新規失業保険申請件数が注目されている。

上のグラフは正確には、エネルギーサービスとシェルターを除くサービスである。
このデータは発表されていないので、簡便的に私が推量した。


今、物価を押し上げているのは、食料と家賃、家賃を除くサービスだ。
家賃上昇率はここから急激に低下すると思われるが、まだ兆候は見えない。家賃を除くサービスは雇用市場次第だろうが、これも緩和が明白でない。物価上昇率の低下はまだまだ不透明だ。


(注)
Table 1. Consumer Price Index for All Urban Consumers (CPI-U): U. S. city average, by expenditure category - 2023 M03 Results

Shelter ウェイト  34.473%
Rent of primary residence ウェイト  7.533%
Owners' equivalent rent of residences ウェイト  25.411%
その他 ウェイト  1529%

Shelterと言っても、大部分は帰属家賃(Owners' equivalent rent of residences)である。帰属家賃とは、持ち家の人がもし家賃を払っていたら、という家賃である。実際に家賃を払っているわけではない。その意味でも、パウエル議長は「家賃を除くサービス」に注目しているのだろう。






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