見出し画像

米国株式相場の基本感 金融環境は悪く、業績不安も大きい

株式相場は、企業業績とPERの積である。式で書くと P = eps × per である。よって、相場の予想は、企業業績(eps)とperを予想して、両者の積となる。
・企業業績は景気動向を反映する。マクロデータでは一般にISM製造業指数が使われる。
・per は、金融環境を反映する。金融緩和期には高くなり、今のように引き締め期には低くなる。
具体的に、どのようにして企業業績とPERを予想するかは、別の機会に行うとして、今回は、基本感を示しておく。

今日のチャートは、株価とeps である。
米国では、株価は概ね(プロフォーマ)epsの20倍になる。一般的に金融緩和期にはそれより大きくなり、金融引き締め期にはそれより低くなる。

プロフォーマepsとは、会計上の利益(当期利益)に一時的な損益(特別損益)を加減(add back)したものである。概念としては経常利益になる。

今考えなければならないのは?
(1)株価(黒線)は企業業績(赤線)より下にあるが、どこまで下に行くかということである。FRBの引き締めが強い(程度とスピード)ほど下に来る。
(2)上のグラフの業績予想では、増益が続くことになっているが、このところ、フェデックス(FDX)やフォード(F)、ゼネラル・エレクトリック(GE)などがマクロ経済要因が業績に影響を与えると警告している。S&P500のepsが減益になる可能性も十分あるだろう。そうなれば、(1)と(2)の両方でダブルパンチを受ける。

最後に、投資家のあいだで、よく使われるグラフ。S&P500株価指数の前年同期比上昇率とISM製造業指数の関係である。通常は、両者は連動しており、ISM製造業指数が50を割れば、S&P500株価指数も前年同期を下回るが、今回は、ISM製造業指数は52.8と50以上であるにも関わらず、株価は前年同期より下回っている。理由は勿論、金融引き締めである。

FRBの金融政策が注目される。大きな引き締めはperの低下をもたらすとともに、景気や企業業績にも圧力を加えることになる。

なお、上記したように、具体的に、どのようにして企業業績とPERを予想するかは、別の機会に行う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?