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難解な日本の経済(GDP)

グラフを見れば一目瞭然。1997年から停滞している。実質GDPは伸びているように見えるが、パソコンやデジタル家電などの性能の改善が押し上げているだけで、経済規模(名目GDP)は拡大していない。
全然難解でないように思えるが・・・状況が難解なのだ。

経済が停滞している理由は種々ある。当初(1997年までは惰性で伸びたが、それ以降)は資産(主に不動産、株価)バブル崩壊の後遺症だった。
それはたぶん、竹中氏の金融再生プログラムの実行とともに終了した。しかし、立ち直りかけたところでリーマンショックに見舞われた。そこから立ち直りかけた時に東日本大震災が起きた。呪われた日本。失われた30年(25年?)とかいう。
その後は、産業の空洞化(生産の海外移転)が大きな要因だ。

2007年からの円高、米国からのプレッシャー(特に自動車)、新興国の台頭を背景に安い賃金、地消地産を求めて生産の海外移転が始まった。
難解の一つは、そうして海外で稼いだ収益が日本に還元されてこないことだ。企業は海外で稼いだ収益の半分は配当などで親会社に還元しているが、半分は現地で再投資している。日本企業の連結利益は拡大しても、日本の国内経済拡大には何ら貢献しない。
そういう企業の従業員の大半は海外にいて、賃上げの恩恵を被る人は国内には多くない。

二つ目の難解な点は交易損失だ。これは説明が難しい。一部では実質GDPに交易利得(損失)を加えた、実質GDIの概念をもちだしている。それはそれでいいのだが、それは何なの?と思ってしまう。
前回、輸入価格と輸出価格の動きにギャップができて大きな貿易赤字が生み出されていると書いたが、これを反映させた経済規模指標をどうするかということであるが、一つは実質GDIで見ることだが、もう一つは名目GDPで見ることだ。
実質GDPは数量の概念である。国民が消費した数量を表す。一方、名目GDPは金額の概念である。国民が消費した金額を表す。
これ以上書いていても長くなるばかりなので、この項(パラグラフ)は飛ばして・・・

というわけで、二つ目のポイントは名目GDPと名目国内需要のギャップだ。我々が消費支出している金額の総和が名目国内需要だ。そこへ海外からの純需要(日本の輸出ー輸入)を加えたものが名目GDPになる。

日本の消費支出は急拡大している。リーマンショック、東日本大震災、新コロショックを乗り越えて、ようやく失われた25年から脱し始めたようにも見える。黒田さんはこの勢いを止めてはならないと頑張っているが、なかなか理解されないようだ。
というのも、この消費支出の拡大の殆どが、海外に行ってしまっているからだ。おかげで、名目GDPは停滞したままだ。『消費支出の拡大の殆どが、海外に行ってしまっている』とはどういうことかというと、それが交易損失なのだが、説明が面倒なので省略する。だから難解なのだ。

蛇足だが、この消費支出の拡大の要素に電気代値上げによる電気料金支払い増がある。電気料金には消費税がかかっているので、消費税は伸びる。政府の税収は増える。政府は物価高騰を喜んでいる。これが名目GDPが停滞しているのに、税収が増えるからくりだ。何だかなぁ~と思う。

金額では消費支出は増えているけど数量(実質)では増えていない。我が家でも、電気の使用量は昨年より少ないが、支払金額は昨年よりズット多い。

ついでに

三つ目の難解な点は、雇用者報酬に比べて消費支出が少ないことだ。以前は、雇用者報酬の98%程度が消費支出に回っていた。今は93%程度だ。これから増えていくのだろうか?
私には、2018年頃から、所得の2極化が起きているような気がする。雇用者報酬は増えているが、増えているのは富裕層だけのような気がする。彼らは、もともとお金があり、所得が増えても消費額は変わらないだろう。
だとすると、今政府がやらなくてはならないのは、低所得層への分配だ。
ここは研究の余地があると思う。

一般に賃金が上がっていないと言われるが、雇用者報酬が増えているのは、労働参加者が増えているということだろう。女性や従来ならリタイアしていた人が労働に参加しているということだろう。一人当たりの賃金は増えなくても、労働者の数が増えているのだと思う。

以上の通りだ。日本の経済構造は難しい。





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