【SPECTRAL WOUND JAPAN 2024】Pale/Spectral Wound at 新宿NINE SPICES

経緯

Spectral WoundとPaleを見てきました〜
当初より、Spectral Wound、というバンドが来日するということはなんとなく聞いておりました。
Twitterでも告知画像が流れてきましたし。
でもまあ知らないバンドだしなあということで静観を決め込んでいました。
そんなある日、しばらく会っていない友人から連絡が。なんでもこのSpectral Woundのライブに行かないか、とのこと。
(その彼のお目当てはPaleだったようですが)
そこで、彼との再会も兼ねてライブに行ってみるか、ということで急遽参戦が決定しました。

当日は仕事終わりに新宿へ。
普段なら平日のライブに行く際は午後休を取っているのですが、今回はスタートが20時ということでその必要は無し。
少し残業してから勤務先を出ても全然余裕。
新宿に着いたときは若者と観光客が行き交ういつもの新宿、といった感じでしたが、会場の前まで来るとそこはメタラーだらけ。
長髪の男性がズラリと並んでいるし、珍しいバンドのマーチを身につけている人もちらほら。LeviathanのバンTなんてどこで手に入れたんだろう。
ここに来て件の友人と合流し、待機列に並び入場。
さて、今回の会場は新宿NINE SPICES。個人的には初めて、というか名前を知ったのも今回のライブがきっかけでした。
雑居ビルの地下へと階段を降りてゆき、受付と物販スペースを抜けるとそこには横長のフロアが。
後ろがバーカウンターで前がステージといった形状になっていました。
キャパは150くらいでしょうか、アンチノックやサイクロンよりも一回りほど小さく感じました。
名前すら知らなかったので新しいハコなのかと思いきや、壁や扉はフライヤーやシールだらけという見慣れた光景。中には、明日の叙景などよく聞くバンドのフライヤーもあったので、何故今まで知らなかったのか不思議に思いました。

Pale

ドリンクチケットと交換したコーラをちびちび飲んで待つこと少し、20時ごろにPaleスタート！！！！
このバンドを見るのは今回が初めて。
サポートメンバーのNiiK(vo)は3月末のWACKEN METAL BATTLEでSUGGESTIONSのボーカルとして見たことがありました。
その際、スキンヘッド姿でマイクスタンドを振り回したりフロアを駆け抜けたりと、昨今珍しい刺々しいパフォーマンスが印象的で、溢れるネガティブなパワーに強く惹かれました。
その後SUGGESTIONSからは脱退してしまいましたが、どこかで見られる機会があればいいな、と思っていた矢先に今回のライブ。ちょうどよかったです。
Pale自体もNiiKに興味を持った流れでチェックしていて、気になっていたので本当に良い機会でした。
さて、ライブの感想ですが、まず感じたのは音源よりバンドサウンドのパンチが強い、ということ。
音源では残響感が刺々しいブラックメタル的サウンドをぼやけさせているような印象がありますが、ライブではバンドサウンドが持つ攻撃性がダイレクトに伝わっていました。
ギターリフやドラムはもちろん、うねるようなベースのフレーズまでがクリア。ここまで来ると、激しくも美しいポストブラックメタルのイメージよりも、地に足の着いた暗黒ハードコアのイメージの方がしっくり来るくらいです。
NiiKのボーカルプロセッサー(多分)を用いたパフォーマンスも目新しいものでした。彼のスクリームにエフェクトがかかることで、ここで初めてポストブラックメタルらしい残響感が生まれていました。一方で、エフェクトにより声そのものの輪郭はぼやけていて、彼のスクリームが持つパワーが引っ込んでいたのは少し残念とも思います。まあ、この霧の中から聴こえるような感覚には非常にブラックメタルを感じるので、これはこれでいいのかもしれません。
以上、Paleの感想でした。
ライブ当日まではSpectral Woundとの相性ってどうなんだろうと疑問に思っていたのですが、ライブだとここまで生の質感になるとは。エフェクトを取っ払うと残るのはオーソドックスなブラックメタルなので、こうなるとSpectral Woundとの親和性も感じられました。
新譜もレコーディング中とのことで、引き続きチェックしていきたいと思います。

Spectral Wound

Pale終了後、気づけばぎゅうぎゅうになったフロア。
なんでも当日券もソールドアウトとのことで、前に詰めるようアナウンスが。ブラックメタルファンってこんなにいるのか…と改めて驚きました。
そんな中、いきなりメンバーが登場。Spectral Wound、スタート！！！！と思いきや、30秒ほど演奏したのちまた楽屋へ。
どうやらリハーサル(?)だったようで、確かに全員すっぴんで出てきたことには違和感がありました。
21時過ぎに、今度はしっかりとコープスペイントを施したメンバーが登場。今度こそSpectral Wound、スタート！！！！
このバンドのライブはもちろん初めて。というか来日が決まるまで名前も知りませんでした。
そこで、今回のライブに行くにあたって21年作(現状の最新作)のアルバムだけ予習していたのですが、寒さとおどろおどろしさがいい具合に混ざったメロディーを持っているな、という印象は持っていました。
そんなSpectral Woundですが、序盤はなんだかよくわかりませんでした。ぐちゃぐちゃに混ざり合った轟音がひたすら叩きつけられていて、何が何なんだ…と困惑。音源で聴いたギターリフもこれじゃよく分からんなと諦観していました。
しかし、それでもぼうっと聴いていると、慣れてきてだんだん”解る”ようになってきました。(音響そのものが良くなったのかもしれませんが)
そうすると、吹雪のように荒れ狂うギターリフや暴虐的なギターリフが急に耳に入るようになり、一気に引き寄せられました。
とりわけ、ボーカルが音源よりも前に出ていて、その禍々しさが一層強いものとなっていたのは印象的です。
あと、演奏は全体的にタイトでしたね。如何せん音がクリアではないので細部までは聞き取れませんでしたが、それでももたつくような部分はなく、レベルの高さがうかがえました。
でも、このクリアではない、ぐちゃぐちゃのサウンドは確実にこの日の良さの一つであったと思います。
(音質のせいではありますが)さながらブリザードの中にいるような、パワーとネガティブと轟音と怪しさに包まれたサウンド。刺々しくザラザラしたサウンドなのに、そこには何故か気高さが潜んでいて…。プリミティブ・ブラックメタルにはそんな魅力が詰まっていて、それを実地にそのまま持ってきたのがこの日のサウンドだったのかなと。
これがブラックメタルの真髄ってことなんでしょうか。
一方、ライブの雰囲気はというとこれもそれっぽく硬派なもの。
MCはほぼなく、あってもダミ声なので内容はほぼわからず。淡々と演奏を進める様はキャッチーさを微塵も感じさせなくてよかったです。
そしてガンガン酒(ビールやウイスキーなど)を煽りながら演奏するメンバー。よくあれだけ飲んでパフォーマンスができるな、と思うほど飲んでました。
ちなみに、本編終了後は即アンコール。はけてから5分と立たないうちに再登場。
そして何か毛色の違う曲がスタート。ここでフロアは大盛り上がりでした。
何だったんだろうと思い、終演後にTwitterを見ると、どうやらVenomのカバーだったそう。不勉強でした…。

以上、PaleとSpectral Woundの感想でした。
オーソドックスなブラックメタルバンドを見るのは初めてだったのですが、やっぱり生のサウンドに浸るのはいいもんですね。
次は今の所8/31のFRONTLINE FESTIVAL！！！！！
それまでライブないのかあ…。