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漫画感想『ヴィンランド・サガ』27巻

前巻で、それまで感じていた「本作は、坂口尚『石の花』への幸村誠の回答だ」との思いが更に強くなり、本巻で、それは確信に変わりました。

ただの思い込みかも知れないし、こういう見方をすることで視野が狭くなって、あるいは作品の魅力を損なうこともあるかもです。
ただ、両作者、そして両作品が大好きな僕にとって、これは運命のような、奇跡のようなことに思え、頭から振り払うことが出来ないのです。

恐ろしいのは、ヴィンランド・サガが、石の花のその先を描こうとしていること。
あの最終話は、あそこで完結しているからこそ、美しく、余韻を残します。
あの物語のその先は、読者に委ねられ、託されて、読者の胸の内に何かを芽生えさせ、新たに続いていく。
そんな作品です。

それを、ヴィンランド・サガはやろうとしている。
石の花の最終話、クリロとフィーのその先を、ヴィンランド・サガは描いていきます。

それは、余りに苦しく、辛いものになることが決まっている道です。
生半可なことでは決着の付けられない、幸せな結末は不可能とも思える茨の道。

この道を、幸村誠さんがどう描くのか、道の先にどんな結末が待つのか。
しっかり見届けたいと思います。
ここに至るまで20巻以上を費やし、主人公トルフィンが、そして、作者が苦しみぬいた、その先を。