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仁義なきサイバーパンク2077レビュー(戦闘編)

前回、サイバーパンク2077PS4版をクリアしてみての全体の感想をぶっちゃけた。今回は、

「バグとか旧世代機の劣化とか抜きにしてもサイバーパンクって今ひとつだよね」

って感じたのを具体的に掘り下げて書いてフルプライスで買ったことへの慰めにしようと思う。今回は「戦闘面」を中心に書いている。

ミリしら向けのざっくり説明

本作はオープンワールドのアクションゲームだ。各地に様々なスポットがあり、そこに移動してメインストーリーやサイドストーリーを進めたり小競り合いや犯罪行為をしている敵のギャンググループを懲らしめたりするのが本作の基本的な流れである。

戦闘面で感じた不満点

1.ほとんど役に立たない設置物、ただ邪魔なだけの爆発物

戦闘スポットにはスポットライト・スピーカー・廃車・電子レンジなどの様々な設置物がある。これらは本作のサイバーな世界観ならではのネットワーク接続が可能になっている。これを戦闘にどう活用できるかというと設置物をスキャンすれば「かく乱」といって誤作動や物音を出して敵の注意を引き、誘導することができる。気づかれずにこっそり敵を倒すステルスプレイができるはずだが、残念ながら活用できる機会は多くなかった。なぜなら敵が複数で密集してたりプレイヤーが隠れられる物陰が少なかったりと、そもそも誘導しても結局バレるシチュエーションが大半だからだ。敵の陣地のど真ん中まで潜入してバレてしまえば、対複数戦闘が基本なので袋叩きにされてしまう。これなら正面から堂々と突貫して敵を一人ずつ倒したほうが安全だし楽しめる。

そしてステルス中にバレてしまった場合のもう一つデメリットがある。戦闘スポットのあちこちに置かれている爆発物だ。プレイヤー、敵問わず一度でも攻撃が当たれば爆発してダメージを受ける。プレイヤーに対しては即死級だ。そんなものがまるで地雷原のようにばらまかれている上、視認しづらい場所に置かれている。その結果、ステルス中にバレて敵が銃で攻撃し、その流れ弾がプレイヤーの近くにある爆発物にヒットして即死するというデスゲームを強いられる。スキャンをすれば爆発物の位置を確認することはできるが、数が多すぎる上にとっさの戦闘で真っ先に意識することは敵と自身の位置関係で爆発物がどこにあるかに意識は向かない。

繰り返しになるが結局は正面から突貫して敵との距離を保ちながら銃撃戦をするのが一番やりやすく楽しい戦い方だ。せっかく銃撃戦もステルスもプレイヤーの好みで楽しめるはずなのにステルスプレイの作りがお粗末だと感じた。

2.両極端な銃器、パワーVSスマート・テック

本作で使える武器はハンドガン・ショットガン・サブマシンガン・アサルトライフル・ヘビーマシンガン・スナイパーライフルの銃器とバットや刀などの近接武器、手榴弾だ。さらに銃器はパワー・スマート・テックの3種類があり、それぞれ異なる特徴を持っている。パワーは撃った弾が跳弾しダメージを稼ぐ現代に近い武器でスマートは照準内に入った敵をロックオンし、ホーミングする小型ロケット弾を発射する。そしてテック武器はチャージすることで威力が増加し、壁や障害物を貫通して敵を射撃できる。

前文で気づいた方もいるかもだが、そう本作はグレネードランチャーとロケットランチャーが存在しない。これだけテクノロジーが進んだ世界でなぜその2つだけがないのか。シューターアクションならかくあるべしというルールはないしそんな固定観念はないほうがいい。いいんだけれども本音を言えばがっかりした。やはり銃器を使うアクションゲームの花形みたいなもので群がっている敵を一撃で葬る爽快感は何者にも代えがたい。

では本題に戻ろう。本作をプレイしていてパワー・スマート・テックの3種属の性能バランスの悪さだ。まずパワー武器が圧倒的に弱すぎる。いや、弱いというよりは他の2種に比べて個性と強みがないと表現したほうが正しいかもしれない。パワー武器の特徴は弾が跳弾し追加でヒットダメージを稼ぐというものであるがそもそも跳弾した弾が当たるなんていうのは屋内の狭い空間に限られる。実際パワー武器を使っていて跳弾の恩恵を感じたことは一度もなかった。さらに銃の基本威力も他の2種よりも特別優れているわけでもないのでただただ火力不足を感じるだけだった。またこれはPS4版に限った話だと思うがPS4版は画質の悪さとフレームレートの低さによりとんでもなく敵を狙いにくい。特に戦闘中のフレームレートはおそらく15も出てないのではと感じるくらいコマ送りの状態になってしまう。その状況も相まってパワー武器の存在価値はゼロに等しかった。

比べてスマート武器・テック武器はあまりに便利すぎる。前述の通り、スマート武器は敵をホーミングし、テック武器は貫通射撃ができる。画面内に見えている敵をただ適当に撃ったり、壁越しで隠れてじっとしている敵を一方的に撃ち続ければ簡単に倒せてしまう。戦略もテクニックも必要ないのだ。なのでいくら戦闘しても何の達成感も得られないのである。

使いどころのないパワー武器と便利すぎるスマート武器・テック武器はあまりに両極端過ぎて、武器性能バランスの悪さを感じた。パワー武器に関してはもともと本作の世界観的に旧世代の銃器だ。なのでスマート・テックのハイテク銃を目立たせるために用意されただけなのかもしれない。

また3種類の武器に一貫して言いたいことがある。それは「面白みがない」だ。パワー武器は特徴がなくて面白みがないし、スマート武器・テック武器は便利すぎて面白みがない。アイコニック武器と呼ばれる独自の性能を持った武器も存在するのだが、種類が少ない上に中にはクリア後にしか入手できない武器もあるため活用できる機会が少なかった。

こうしてほしかったサイバーパンクとまとめ

1.ゆとりのある敵の配置、爆発物を限定的でわかりやすい配置にしてほしかった。

2.もっと武器に個性を出してほしかった。ボーダーランズに出てくる武器を参考にすれば手っ取り早い。

個人的にはステルス要素を排除して激しい銃撃戦とサイバーでパンクな世界観ならではのユニークな武器を使う楽しさにフォーカスを合わせるべきだったのではと思う。ステルス要素を入れるならメタルギアのような本格的なものにするか、最近であればゴーストオブツシマのようなシンプルに楽しめるものにするかだが、本作はどっちつかずだったのが残念だ。


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