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経営者のためのブログ記事:バランスシート経営の重要性

マガジンの分類 中小企業社長のための羅針盤!成功への経営術



経営者の皆様、こんにちは。今回は、将来の事業承継や企業価値向上のために欠かせない「バランスシート経営」についてお話しします。バランスシートを健全に保つことで、経営の透明性を高め、事業の安定性を確保することができます。

なぜ「バランスシート経営」が必要なのか?

経営者が最高経営責任者としての役割を果たした後、次のステップとして考えるべきなのが事業承継やM&A、あるいは会社の整理・廃業などです。これらのステップにおいて、バランスシートが重要な役割を果たします。しかし、金融機関からの借入金が多額であったり、バランスシートが実態を反映していなかったりすると、事業承継やM&Aがスムーズに進まない可能性があります。

特に次のような場面では、バランスシート経営が重要です:

  1. 事業承継を考える場合:借入金の多さにより、後継者が事業を引き継ぐ意欲を失ってしまうかもしれません。

  2. M&Aを検討する場合:負債が多いと、買収希望者が現れないか、譲渡金額が大幅に下がってしまうことがあります。

  3. 廃業を考える場合:借入金やリース債務を完済していないと、廃業までの時間が長引く可能性があります。

実例:成功したバランスシート経営のケース

1. 中小企業A社の事業承継成功例

A社は、創業50年の老舗の製造業者です。創業者が引退を考えた際、バランスシート経営の重要性に気付きました。長年の経営により、借入金が増加していたため、まずは借入金の返済計画を立てました。

  • 取り組み:借入金の返済計画を立案し、毎期の利益を返済に充てることで、5年間で借入金を半減させました。また、余剰資金を自己資本に回すことで、自己資本比率を30%以上に引き上げました。

  • 結果:後継者がスムーズに事業を引き継ぐことができ、事業承継後も安定した経営を続けています。

2. B社のM&A成功例

B社はIT企業で、事業拡大のために他社とのM&Aを検討していました。しかし、バランスシートを見ると負債が多く、投資家や買収希望者からの評価が低かったため、まずは財務改善に取り組みました。

  • 取り組み:不要な資産を売却し、借入金の一部を返済。リース債務の再交渉により、返済期間を延長してキャッシュフローを改善しました。

  • 結果:M&A交渉がスムーズに進み、高評価を得て買収希望者との契約を成立させることができました。

3. C社の廃業成功例

C社は飲食業を営んでおり、業績悪化のため廃業を決定しました。廃業に際してもバランスシート経営が役立ちました。

  • 取り組み:借入金とリース債務を優先的に返済し、残債を最小限に抑えました。従業員への退職金も適切に引当金を用意し、未払金を解消しました。

  • 結果:スムーズな廃業手続きを行い、経営者は新たな事業に挑戦する準備が整いました。

バランスシート経営の具体的なチェックポイント

ここでは、バランスシート経営のために確認すべきポイントをいくつかご紹介します。

1. 借入金

借入金の返済原資が当期利益+減価償却費でカバーできるか確認しましょう。金融機関からの借入金は、通常、総資本の5割以下が望ましいとされています。

  • :毎期の利益を計算し、返済計画を立てることが重要です。特に、経済状況の変動に備えて返済期間を長めに設定することで、リスクを軽減できます。

2. 隠れ債務の有無

退職金の引当や、未払金の管理ができているか確認しましょう。例えば、過去の給与支払いに関連する未払金や、税金・社会保険料の未納がないかチェックすることが重要です。

  • :従業員の退職金は十分に準備できているか。退職金規定の有無にかかわらず過去の支給実績がある場合、引当金を適切に計上しましょう。

3. 自己資本

総資本に対する自己資本比率が30%以上を目指しましょう。毎期の利益の積み重ねが、自己資本の充実に繋がります。

  • :利益の一部を自己資本に回すことで、財務体質を強化し、経営の安定性を高めることができます。

バランスシート経営の実践的アドバイス

バランスシート経営を実践するためには、日々の経営において財務管理を徹底することが重要です。以下のようなアドバイスを参考にしてみてください。

1. 定期的な財務分析

月次や四半期ごとに財務分析を行い、バランスシートの健全性をチェックしましょう。定期的な分析により、問題点を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。

2. 財務コンサルタントの活用

専門的な知識を持つ税理士などの財務コンサルタントを活用することで、バランスシートの改善に役立つアドバイスを受けることができます。特に、事業承継やM&Aを検討する際には、専門家の意見を取り入れることが重要です。

3. 経営計画の見直し

経営計画を定期的に見直し、バランスシートの改善に向けた具体的な目標を設定しましょう。例えば、借入金の返済計画や自己資本比率の目標値を設定し、その達成に向けて具体的な施策を実行します。


バランスシート経営は、将来の選択肢を広げ、事業承継やM&Aをスムーズに進めるために非常に重要です。実例を参考にしながら、日々の経営においてバランスシートの健全化を意識し、適切な財務管理を行うことが大切です。

次回は、さらに具体的な財務改善の手法や、実践的なアドバイスについて詳しくお伝えしたいと思います。ぜひお楽しみに。


高木会計事務所では、経営者の皆様の財務健全化をサポートしています。ご相談はお気軽にどうぞ。

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