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免許取得が人生を変える力になる。障がい者の免許取得支援サービスを立ち上げた社員が伝えたいこと

こんにちは。くまもとKDSグループ広報チームです!

当社はこれまで自動車学校という枠組みにとらわれず、さまざまな分野に挑戦してきました。中でも福祉領域への取り組みについては、2018年より、発達障がいや軽度の知的障がいのある方の免許取得支援を行う「運転免許つばさプラン熊本(以下、つばさプラン)」を導入。国家資格である自動車免許の取得が本人の自信となり、就職にも有利になることから、現在多数の申し込みがあり、ウェイティングまで発生している状況です。

つばさプランの立ち上げから現在に至るまで指導員として活躍してきたのは、入社18年目となる村崎さん。送迎担当と指導員を務めた後、現在はつばさプランを担当しています。

第6回目のnoteは、立ち上げに尽力した村崎さんの挑戦について。経験する中で学びや印象に残っている出来事などを本人に書いてもらいました。

鹿沼自動車学校の研修で心に残った卒業生の一言

はじめまして。村崎と申します。入社して現在は18年が経ち、これまで送迎担当や指導員、マネジメント業務を行ってきました。つばさプランの立ち上げに2018年から携わってり、今は指導員の仕事が中心となっています。

なぜ当社がつばさプランを始めたのか。きっかけは、先行的に実施していた鹿沼自動車学校の取り組みに、代表の永田が刺激を受けて、「KDSでもやってみよう」と挑戦を決めたことです。つばさプランを始める前から、発達障がいや軽度の知的障がいがある方の入校希望者はいましたが、通常通りに教習を行っていたため、中には途中で諦めてしまう方や、免許取得に至らなかった方もいました。この状況をどうにかできないか――そんな永田の思いから事業を展開することが決まり、担当者として私に声がかかりました。

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つばさプランの担当者に任命されたときは、正直不安だったことを覚えています。「自分でいいのかな」という不安と、「ぜひ学びたい」という気持ちの2つが混ざっていました。

当時の自分は、障がい者対応への知識や理解も浅かったと、今では感じています。勉強しないと指導方法がわからないですし、障がい者によって特性はさまざまなので、それぞれに合わせた対応が必要になります。つばさプランを始める前にも、発達障がいの方の教習を担当したことがあり、正直に言えば「大変だ」と苦悩した経験もありました。

ただ「任されたからには」と責任感を持って、頑張りたい。そんな気持ちで、鹿沼自動車学校で行われた研修に参加すると、知識や対応の仕方など、勉強になることばかりでした。特に印象に残っているのが、鹿沼自動車学校の卒業生とお話させてもらった機会です。

その方は、教習所に2校通ったものの、免許取得まで至らなかったそう。しかし、鹿沼自動車学校のつばさプランに通ったことで、免許取得を実現。研修でお話をされていたのが、免許の取得が本人にとって大きな自信になったということでした。最後に話していた「みなさん各県に帰られたら、私みたいな人を救ってほしい。私は鹿沼での免許取得をきっかけに、免許取得だけではなく、自分と同じような障がいを持つ方々を支援する仕事に挑戦したいとまで思うようになった」という言葉が、涙が出るほど胸に突き刺さりました。「KDSでもこんな卒業生が輩出できるようにしたい」と思ったのです。

親御さんと生徒、3人4脚での免許取得を目指す

障がいのある方々にとって、運転免許証は身分証明書にもなり、就職にも有利になる。健常者が取得する以上に、「重み」があると感じています。研修で学んだ後、いよいよKDSでもつばさプランの提供を始めました。

最初に苦労したのは、コミュニケーションがうまくとれないときがあること。額面通りに言葉を受け取ることが多く、伝え方や表現に工夫が必要です。例えば、入校式のとき学科の1番を受ける必要があるのですが、ある女性は「お手洗いに行きたい」と教習中に伝えてくれました。担当者が「途中退出後の参加は不可能であること」「別日に受け直す必要があること」をお伝えしたものの、お手洗いの後に再び参加をしようとしてしまったのです。

理由を聞いてみると、「途中退出後の受け直しがダメなのはわかったけれど、お手洗いに行ってからの受け直しがダメとは聞いていません」と言われて。一つひとつの言葉を丁寧に伝えていかなければと思った出来事でした。

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本人とのコミュニケーションも当然大事ですが、親御さんとのコミュニケーションも同じくらい大事だと感じています。入学前に受ける「TPA検査(教習所用アセスメントツール)」の結果をもとに、それぞれのプランを作成しますが、これまでの苦労やどのように対応してきたかを親御さんと対話することで、本人の特性を把握した上での対応がしやすくなります。

まず親御さんと入校前に入念に面談し、その後の様子も定期的に報告します。一般の方よりも取得までに時間がかかりますし、体力と金銭的な部分も通常のプランより必要となるので、親御さんとのコミュニケーションも密に行い、免許取得のサポートをするようにしています。

つばさプランを開始して約3年、今はコーディネーターが2人、指導員が私を含めて4人という体制で運営しています。日々「こんなこともあるのか」と気づきが多いです。例えば、精神疾患を持つ方は非常に落ち込みやすい傾向にあること。一人で教習所のフロアに行った女性が、たまたま他の教習生が誰もいなかったため、寂しくなって泣いてしまったことがありました。

また、ランチのときに時間も考えず遠い飲食店まで行って遅れて帰ってきたり、チャイムが鳴っても自分の昼ご飯が終わるまで没頭したりといったケースもあります。同じ障がいや疾患だとしても、それぞれ特性の強さは違うため、大変なことも多いです。コミュニケーションをとりながら工夫するに尽きるのですが、少しずつ運営ノウハウも蓄積されているように思います。

培った経験は普遍。一般教習にも活かしていきたい

私は今年、定年迎えました。これからは今まで経験したことを後輩に伝えることで、つばさプランに携わるスタッフが、やりがいを感じて働ける環境をつくっていきたいと思っています。

また、つばさプランで培った知識や経験は、通常のプランでも役立つことが多いです。例えば、「褒めることを大事にする」「少しずつ教えていく」など、それぞれの特性に応じた工夫があります。でも、それらは障がいがあるないに関わらず、とても大切なことではないでしょうか。

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もちろん相手も私も同じ人間ですから、わかりあえない時もあります。ただ、できる限り寄り添っていけたらと考えながら、仕事に向き合ってきました。生徒それぞれに思い出があり、嬉しかったことも増えています。

特に印象的だったのは、ある自閉症を持つ生徒の言葉です。その子は、人が大勢いる場所が苦手だったので、待ち時間には個室を設け、教室でも周囲との距離を保つなどのサポートをしていました。卒業間近、親御さんがいらっしゃって、こう話してくれたのです。

「うちの娘が、村崎さんの話を嬉しそうにしていました。知識や経験が大事だと思うけれど、それ以上に大事なのは気持ちだよ。

一生懸命教えて、精一杯、私たちに免許を取らせようとする気持ちが一番大事なんだと思う。村崎さんにはそれがあるんだ」

こう言っていただいたとき、思わず涙がこぼれたのを覚えています。「自分がやってきたことは間違っていなかったんだ」と、思えた瞬間でした。

当校のつばさプランは、これまで30人弱の方が利用しており、福岡から通いたいとおっしゃる問い合わせもあるほど。KDSグループとしては来年にかけて、免許取得支援だけでなく、就労前準備やソーシャルスキルトレーニングもできる障害福祉サービス事業所を立ち上げる予定です。現状、つばさプランにはウェイティングが出ていることから、できる限り多くの方が受講できる環境や体制を整えていけるよう、今後も頑張りたいと思っています。

読んでいただき、ありがとうございました。当社について、もっと知りたいと思ってくれた方はnoteをぜひフォローください。当社で働きたいと思ってくれた方(時短、リモート、起業準備中の方も歓迎です!)は、こちらの問い合わせからご連絡いただけると嬉しいです。

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