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木下是雄著 『理科系の作文技術』を読んでの個人的なメモ

これは、私が文章を書く際にチェックリスト的に参照するために標記の著書を自分なりにまとめたメモです。個人的なメモなので、著書を網羅的に取り上げているものではありません(例えば、私は数式等を書くことはあまりないのでその部分は取り上げていない、などがあります)。

1 序章(総論)

  • 思い切って、短い、パッと意味の通じる言い方を使う。

  • 主題について述べるべき事実と意見を十分に精選し、それらを事実と意見とを峻別しながら、順序よく、明快・簡潔に記述する。

  • 文章全体を論理的な順序に従って組み立てる。

  • 読者の期待に沿って情報を並べる。

  • 一文を書くたびに、その表現が一義的に読めるかどうか、また、ほかの意味にとられる心配はないかを吟味する。

  • はっきり言えることはスパリと言い切り、ぼかした表現を避けること。

  • できるだけ普通の用語、日常用語を使い、またなるべく短い文で文章を構成すること。

2 準備作業

  • 主張とそれを裏付ける材料がそろってから書き始める。

  • これから書こうとする文書の役割を確認する。

  • 読者は誰なのか、この文書に何を期待するのか、どれだけの予備知識を持っているのかを十分に考慮する。

  • 一つの主題に集中する。(例えば、調査の過程で別の重要な情報を得たら別の文書とする)

  • 自分自身が直接ことに当たり、ものに当たって得た情報(=なまの情報)を、自分自身の考えに重点を置いて書く。

  • 自分は何を目標としてその文書を書くのか、そこで何を主張しようとするのかを熟考して、それを一つの文(目標規定文)にする。

  • ある問題を論じるときには、(a)何が問題なのか明らかにし、(b)それについて確実にわかっていることを明らかにし、(c)よくわかっていなくて、調べる必要があるのはどんな点かを明らかにする。

3 文章の組み立て

  • 起承転結または序論・本論・結びを基本構成とする。

序論

  1. 本論の主題となる問題は何か

  2. その問題をなぜ、どんな動機によって取り上げたか

  3. その問題がなぜ重要か

  4. 問題の背景はどんなものか

  5. どういう手段によってその問題を攻めようとするのか

結び

  • 本論の主なポイントを簡明に列挙してまとめ、それらの重要性を強調し、また将来の発展への道を示唆する。

本論の叙述の順序

  • 概観から細部へ

  • 細部については、どういう順序で書くかを思い定めてから書き始め、途中でその原則を侵さない。

  • 最も簡明な道に沿って書く。(自分が紆余曲折してたどり着いた結論そのままの順序がそうとは限らない。)

文章の構成案の作り方

  • 目標規定文を念頭に置いて、材料と考察を、記述の順序、文章の組み立てについての原則論に従って配列・構成する。

4 パラグラフ

  • パラグラフは、一つのトピックについて一つのことを言う。(これを端的に表した一文をトピック・センテンスという。)

  • パラグラフ中のトピック・センテンス以外の文は、トピック・センテンスを具体的に、詳しく説明するものか、そのパラグラフとほかのパラグラフとのつながりを示すもののどちらかである。

  • できればパラグラフの先頭にトピック・センテンスを書く。

5 文の構造と文章の流れ

  • 一つ一つの文は、読者がそこまでに読んだことだけによって理解されるように書く。

  • 論述の主流から外れてわき道に入るときには、わき道に入るところでそのことを明示する。

  • (少々くどくなっても)論理の鎖の環をなるべく省いてはいけない。

6 はっきり言い切る姿勢

  • 文を書くたびに「この文は正確に言うと何を意味するか」を自問する。

  • ~と思われる。~と考えられる。などの表現は避ける。

  • 「ほぼ」「約」「ほど」「ぐらい」「たぶん」「ような」「らしい」を避ける。

7 事実と意見

  • 事実と意見を書き分け、事実の裏打ちのない意見は書かない。

  • 事実=事象や法則、過去に起こった事件で、然るべきテストや調査によって真偽を客観的に確認できるもの

  • 意見=下記の推論や判断、あるいは自分なりに考え、あるいは感じて到達した結論の総称

    • 推論=ある前提に基づく推理の結論、または中間的な結論

    • 判断=ものごとのあり方、内容、価値などを見極めてまとめた考え

  • 事実の記述に際しては以下の点に注意する。

    • その事実に関してその文書の中で書く必要があるか

    • ぼかした表現をせずに明確に書く

    • できるだけ名詞と動詞で書き、主観に依存する修飾語を混入させない

  • (第三者を含む)意見に対して意見を書く場合は、参照する意見を事実のように書かない(「もしそれが事実なら」などと断る)ように注意する。

  • 事実を書いているのか、意見を書いているのかをいつも意識して、両者を明らかに区別して書く。

  • 事実の記述には意見を混入させないようにする。

  • 事実の裏打ちがあってはじめて意見に説得力が生まれる。その際、事実は特定的、具体的であるほど価値が高い。

8 わかりやすく簡潔な表現

  • 文は短く。

  • いつでも「その文の主語は何か」をはっきり意識する。

  • 格を正しくそろえる。例えば以下の文は「ことである」と終わらなければならない。

ここで問題となるのは、端子容量とケーブル容量が大きすぎると発振が停止したり、不安定になったりする。

  • 理解できるように書くだけでなく、誤解できないように書く。例えば以下の文は8通りに読めるといわれている。

黒い目のきれいな女の子がいた

  • 簡潔に書く。必要ギリギリの要素を洗い出し、それだけを、切り詰めた表現で書く。

  • 読みやすさに配慮する。難しい漢字やかたい漢語はできるだけ避ける。

  • 受動態はできるだけ能動態に置き換える。

  • 並記の方法は、例えば以下のようにする

研究費の申請書は
(a) その研究のねらいは何かを具体的に、明確に示し、
(b) 自分がこれまでやってきたことと、これからの研究方針とを、専門家が評価できるようにきちんと述べた
ものでなければならない

  • 書名を引用するときは『』を使う。

  • 文末の述語が連続しないようにする。(「である」の連発など)

9 執筆メモ

  • 言葉は正確に。辞書を引く。

  • 他人に読んでもらう。読んでもらえる人がいない場合はしばらく寝かせてから読む。

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