【お店雑記】 「また来ます」が現実になったとき。
私はもう1年半以上お店をやっているというのに、いまだに人が来るとびっくりする。ここまでよく来てくれました、という新鮮な気持ちがいまだにあるのだろう。
先日も、男性がひとりで来てくれてびっくりした。
掃除をしていたら「入っていいですか?」と聞かれて、「あ、はい。もちろんです」と焦り気味でいったら男性は低姿勢でお店に入ってきた。
あれれ、なんだかお見かけしたことあるような気がするぞ?
でも間違っていたらだいぶ失礼だよな、と思いながらおそるおそる
「あれ?もしかして…はじめて…じゃないですよね」と聞いてみたら、
「はい、オープン当初に来ました!」と話してくれて。瞬間、当時のことをクリアに思い出してきた。男性が家族と来てくれたこと、暦生活のファンで、私が書いている記事も読んでくれていること、どんな職業で、どんな家族構成で、どんなうつわを選んで、どんなお話をしたか。ほぼすべて覚えていた。
それをまたおそるおそる伝えたら、男性はパーっと笑顔になってうれしそうに色んな話をしてくれた。相変わらず暦生活を愛読していること、家族が増えたこと、草々で選んだうつわは割るのがこわくて慎重に使っていること、あれから陶器が気になって壺を見に展示会へいったこと…。
うつわを見ながらポツリポツリと話してくれたんだけど、これがもうほんっとうにうれしかった。あぁそうですか、と相槌を打ちながら心からのうれしさを込めて頷いていたと思う。
そうして男性は「毎日触れるうつわを選びたい」といってお茶碗を家族分選んでくれた。彼にとって二つ目の、手作りのうつわを迎えた瞬間だった。
***
「また来ます」が現実になったとき、誰に伝えたらいいかわからないほどの「ありがとう」の気持ちが溢れてくる。
だって、再会できるということは大前提として私がお店を続けていなければいけない。さらにお客さんも健康でいて、また来ようと思い立ったりタイミングや条件が合わないと再会することなんて困難だ。県外から来る人はなおさら。色んな奇跡のようなことが重なって、「また来ます」が実現することになると、私は思うのだ。
私は店主として、お客さんに「また来ます」といわれると、うれしいけれど次はいつ会えるかな…というほんのり寂しい気持ちも残る。この言葉は小さな約束のような気もしていて、だから逆に私もお客さん側としてお店へいったときに店主に伝える「また来ます」はとても大事にしている。だって、また絶対に行きたいと思えるお店なんだから。行けるうちに行っておきたい、行かなくちゃ、と思うお店なんだから。そういう場所ってなかなか出会えないから大切にしたいと思う。
決まり文句ではない、心からの「また来ます」。
そんな言葉が飛び交って、現実になるようなお店にしていきたいなぁ。
男性の背中を見送りながらあらためて、そう思ったのでありました。
うつわと暮らしのお店「草々」
住所:〒630-0101 奈良県生駒市高山町7782-3
営業日:木・金・土 11:00-16:00
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