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【お店雑記】 広がりの時間。

この前、お客さんからDMをもらった。関東に住んでいて、お店に行きたいけれどなかなか行けない。うつわを郵送で送ってもらえないか?ということだった。

草々は通販をやっていない。でも、具体的に欲しいうつわも決まっていたし何回かやりとりをして送ることになった。実質はじめての通販だ。
ドキドキしながら梱包して、お手紙を書いて郵便局で出した。

出したあとでも、割れてないかな、気に入ってもらえるかな、そんなことをぐるぐる考えながら到着の連絡を待った。
そうしたら「無事に届いた」とDMがあり、ホッとしながら読み進めたら、思いがけずこんな言葉をいただいた。

どの作品もとても気に入りました。食事を作る時間、盛り付ける時間、食べる時間、洗う時間、乾くのをふと眺める時間、飾って愛でる時間を豊かにしてくれそうです。

私はこの言葉にハッとした。そして、もう一回なぞるように読み進めた。

「食事を作る時間、盛り付ける時間、食べる時間、洗う時間、乾くのをふと眺める時間、飾って愛でる時間..」

そうかぁ、そうだよなぁ..としみじみ思った。

うつわを買った後のたのしみって一言でいえば「食事をする」なんだけど、細かく分解するとそれだけに留まらないのかもしれない。

食事をつくりながら、新しいうつわにどれを盛ろうかなと考えてニヤニヤしたり。盛り付けをしながら、新しいうつわの手触りや上からの景色に心が踊ったり。食べながら、目に入るだけで食事以上の栄養がもらえたり。洗いながら、大事に扱おうとしている自分に愛おしさを感じたり。洗ってラックに置いたうつわの後ろ姿にふと、見入ってしまったり。

そこにいるだけで、心が少しだけ潤う気がするのだ。

なんだかこの言葉をもらって、自分に置き換えてみて思ったのは、ものを届けるってこんなに広がりがあるものなんだなぁと感じた。たった一つのものでも、暮らしまわりの時間がぐぐっと変わったりする。
これは、ほんの一瞬のことかもしれないし、自分だけにしかわからないことかもしれない。でも、だからこそいいのかなぁと思う。忙しい日々の中で、ごきげんになれるスイッチを自分で押すことができたら、清々しい生き方のような気がする。

思えば私もそんな生き方に憧れて、導かれるようにうつわが好きになって、お店をはじめた。いまはさらに、お客さんから日々、うつわから広がる時間を教えてもらっている気がする。

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