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広がる世界、深まる関係。

久しぶりに個展へ行った。
大阪の陶芸家、脇山さとみさんの『サンスイスイ』へ。


DMにはこんな言葉が書いてあった。

水湧き立ちて人集まる
人、山を目指して旅をする
高みから見下ろす景色を楽しむように
楼閣が建ち
山深い景色に心奪わる
古今東西、境を知らず 

脇山さとみ

脇山さんはいつもテーマを自分で決めていて、毎回この文体から伝わるかろやかさがいいなぁと思う。個展という形式ばったハードルを下げてくれるような、どこかほっとする空気。

私が脇山さんと出会ったのはおよそ1年前。
過去にこのnoteでインタビューしたことをきっかけに、連絡を取り合ったり個展に行ったりしている。


インタビューした当時は、私はまだ書くことを始めたばかりで、めちゃくちゃドキドキしていた。それが、脇山さんのおだやかな雰囲気と明るい笑顔が私のこわばりを一気に溶かしてくれて..。
それは昨日会ったときも、変わらなかった。


それで、個展の話を。

会場に入った瞬間、私はとにかくびっくりした。
脇山さんの世界がどんどん広がっていくなぁと。

それはどういうことかと言うと、私が初めて買った脇山さんのうつわはこれで、

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次に、今年の春の個展で買ったうつわがこれ。

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それで、昨日の個展で見た作品は、こんな感じ。

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え!すごくないですか?
オブジェ付きの花器とか、びっしり絵が描かれたうつわとか、大きな壺とか...。

古風な感じの色や質感、絵が、どことなく中国や韓国などアジア的な雰囲気を漂わせる。つくる規模も、描く絵も、私の想像を超えてどんどん広がる世界観に、まずギャラリーに入ってびっくりしたのです。

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脇山さんにとって、今回の個展は新しいチャレンジだったのだとか。今まで日常使いできるようなうつわや小さなオブジェを中心につくってきたけれど、オブジェ付きの花器も、細長い花器も、大きな壺も、今回作品として出したのは初めて。

脇山さん曰く、絵を描いていくとどんどんイメージが膨らむのだそう。絵を描くときは軽く下書きをしてから、寝かせて、描いて、寝かして、また描いて、を繰り返しながらつくっていて、その過程が楽しいんだとうれしそうに話してくれた。

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脇山さんの頭の中で広がる世界。
ぐるぐると赤いうずまきのようなものが絡み合って、雲ができてその上にまた一つの景色がつくられる。山があって月があって、また次の世界へどんどんつながっていく。

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おもしろいなぁと思った。
作品からワクワクが伝わって、脇山さんが描く物語の世界にぐっと入り込んだような気持ちになる。

そして、やっぱり私は脇山さんがつくるオブジェが好きだ。
物思いにふけながらも、何か言いたそうな子たち。猫背だったり、首をかしげたり、お腹が出ていたり。ジェームズとかトムとか、一人ひとり名前がついているのも可愛かったなぁ。

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集まるとペチャクチャお喋りしているようで、なんだか楽しそう。

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久しぶりに個展を見にいって思ったのは、やっぱり作品をじっくり見ることはつくり手の頭の中をのぞいているようだなということ。ひとつの作品をつくるのに、陶芸家さんは手でかたちを整えたり釉薬を塗ったり絵を描いたりしていて「こうかな..あぁかな..」と試行錯誤している。その軌跡がちらりと見えるようで、それがよりいっそう味わい深さを生み出している。

と同時に、そもそも人間はひとつの側面だけじゃないんだなということも考えた。

私は1年前にインタビューをしたけれど、それが脇山さんにとっての考えの全てではなくて、刻まれる時間と積み重なる経験とともに考え方はどんどん変化していくのだろうと思う。「変化」は「進化」とも言い換えることができて、それが結果的に作品として滲み出てくるのだろう。

そう考えるとそもそもインタビューというのは、その人のことを知る「きっかけ」にすぎないのかもしれないなぁ。大事なことは、それを入り口に、作品を使ってみたり、興味をもち続けることで、人と人、人とものとの関係がより深い結びつきになる。そんなことを作品を見ながらぼんやりと考えた。

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コロナが落ち着いたら、また近いうちに色々お話を聞きたいなと思う。きっと脇山さんにとっても、私にとっても、新しい発見がありそうな予感がする。



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