【お店雑記】ずっと欲しかった場所。
会社は人がつくりあげている、とよく言うけれど、すべてにおいてそうだと思う。私がやっているお店もまさにそうで。
店主の人柄はもちろん大事な要素なのだけれど、やっぱり日々お店に行き交う人々がどういう人なのか。一人ひとりの集合体が渦巻くようにお店の雰囲気をつくりあげていく。草々をはじめてからよりいっそう思うようになった。
それは、その人がどれだけの有名人で、どれだけすごい仕事をしているのか、など記号的なことが重要なのではなくって。どういう心持ちでお店にやってきて、そこで経験したことにどう心が動くのか。純粋に湧き出てくる「うれしい」や「たのしい」気持ちに出会えたかどうか。これは、目に見えないことだけれど、わざわざ言葉や行動にしなくても、空気を通して伝わることだなぁと実感している。
どの箸置きにしようか家族でじっくり選ぶ時間や、
ひとり暮らしの相棒になるうつわと出会おうとする時間。
ここにはきっと、ネガティブな感情はなくって、未来をつくる仕込みの時間が含まれているのかもしれない。
しかし、いっぽうでこれらの時間は「儚さ」と隣り合わせであることも知っている。物理的、精神的に揺らぐようなことがあったら、一瞬で雰囲気が変わってしまうのだろうなぁと思う。
だからこそ、おだやかな時間がなるべく多く、長く続いてほしいと思うし、これからたとえ動揺することがあっても、負けないくらいのしなやかな強さを持っていたい。「あのお店なら、大丈夫」と思える安心感を育てていきたいなぁと、心から思うのです。
結局さ、こういう場所を一番欲していたのは、自分なのかもしれないなぁ。
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