「愛」という名のやさしい暴力

【著　者】斎藤学　
【発行所】株式会社扶桑社　　

　2020年 9月30日　初版第１刷発行
　

「愛」って時には暴力にもなる。お互いを思うがあまり縛りつけ、身動きができない状態にしてしまうこともある。

１．３ポイント

（１）共依存とは

アルコール依存症者（アルコホリック）の飲酒を止めようとしてかえって助長してしまう人）の特徴として使われてきたもの。

著者は、共依存を「他人に必要とされる必要」と言っていたが、「他者の願望・期待を読み取り、それに合致するよう生きようと常に努力し続けること」と再定義した。

共依存を増やしているのは日本の家族で、事故の確立を妨げていることに一役かっているのではないか？と著者は言っている。

たとえば、酔った夫に暴力を振るわ続けている妻が離婚できない。
親は「子どものため」と思い、子どもは「自分のためにしてくれるている」と信じ行動する。が、実は脅迫的なものだったりする。

子どもから「自分らしく生き生きとした人生」を奪うことは、まぎれもない暴力。子供を愛するがゆえに干渉し、拘束し、期待し、要求するーそんな「やさしい暴力」を免れている家族は、今の日本には少ないのではないか？

一見恵まれた「理想の家族」のもとで育ち、寂しさと生きづらさを抱えた「普通の人々」が著書（精神科医）の元に訪れている。

（２）「憂鬱」は障害ではなく健康の証

何かストレスになる原因があり、それに反応して心にわだかまりが残った状態を「適応障害」というが、こんな名前をつければ何でもそうなる。

お金がないからくなって親にかりようとしたら、「いい年して何だ！」と怒られた。好きな人に逃げられた。大学受験に落ちた。このように、辛い目にあえば気力がでず、落ち込むのは当たり前で、「憂鬱」であることが健康。

大変な状況に心が反応しているのだから、障害ではなく健康の証。

（３）何かに依存しなくても「ありがままの自分」でいられること

依存患者は、二つの感情（両価感情）を分けて使おうとする。プラスの感情は、醒めたときの自分と結びつけ、酔ったときにはマイナスの感情を出そうとする。

たとえば、アルコール依存者が酔った時に奥さんをせて立てて、しらふの時は奥さんに感謝する。どちらの感情も本心。

依存症から回復するとは、「自分のしたいように生き、酔わないですむ」状態になること。酔わずに、その人があるがままの姿でいられることが大切。

２．気づき

「憂鬱は健康の証。心が健康だから辛いことにキチンと反応している。当然のこと」ハットした。
確かにつらいことがあってもはしゃいでいるほうがおかしい。
以前の私は、大変であれば大変なほど、明るく元気にふるまっていた。どんなにつらくても絶対知られないようにとふるまっていた。

当時を振り返ると、本当の自分ではなかったと思う。

「愛」という名のやさしい暴力 (扶桑社ＢＯＯＫＳ)

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