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いつだって、誰かがいてくれる スヌーピーたちは無理しないで生きている

著者  A・J・ツワルスキー
原作  チャールズM.シュルツ・コミック
訳   笹野洋子

1998年6月20日 第1刷発行
発行所 株式会社 講談社


【3ポイント】

1.スヌーピーは読むクスリ?

「スヌーピーと仲間たち」の生みの親で漫画家の「チャールズ・シュルツ」は、人間の行動を理解する才能に恵まれ、人間行動の観察者のなかでも抜きんでた才能と洞察力を備えた人物の一人でした。

そして、著書のツワルスキー氏は、ユダヤ教の教師であり精神科医で、「ピーナッツ」について何冊か本を書いていますが、「スヌーピーとその仲間たち」の言動をあざやかに読み取いているのです。

訳者は、絵を眺めるだけ、セリフの一つ二つを拾い読みするだけで心がギザギザ、ザラザラしていても、この本をめくっているうちに、なんとなく心がまるくなるのです。

「人間にたいするやさしい愛情にささえられた著者の慧眼と「ピーナッツ」の作者の観察眼によりはないかと思います。

よって、読むクスリと言っています。

本書のテーマはおもに、きょうだいや家族の問題、友達・人間関係一般で、きょうだい関係がどういうふうに大人の行動につながっていくかを考察しています。

2.自分をもっとよく知るもうちとつの大事な関係とは?

「親」が子供の人格形成に影響力をもつことは誰もが認めることですが、もうひとつの大事な関係は、「兄弟」です。

核家族になり、両親が共働きなどで、「きょうだい」の関係に影響を与えるかもしれません。

きょうだいの関係についての資料が比較的少ないのは、このテーマがあまり研究されていないからではなく、臨床的にも学問的にもぴったりくるような答えを出すことがむずかしいからです。

「はっきりしているのは、兄弟や姉妹のあいだにおける性格と利害の組み合わせは、それがどんなものであっても、”同一視”の二つの仮定にあてはめることですべて説明がつくということである」

「ピーナッツ」には大人が登場しません。子どもたちの世界ですが、その世界は大人にありがちな行動もたくさん出てきます。

事例の観察、鋭い直観に支えられたチャールズ・シュルツの洞察緑で書かれた「ピーナッツ」から情報を得ることで理解を深めることができます。

3.スヌーピーがよく空想をするわけ

自分に自信がもてずに空想の世界に逃げ込んでいます。スヌーピーは人間に支配された文明社会に生きる動物として、自分が「序列が低い存在」であることに気づいています。さらに、「丸頭の男の子」にごはんをたべさせてもらって生きていることも承知しています。

スヌーピーは自慢できることもないけど、一目おかれたくて仕方ないので、空想の世界に逃れリーダーとなるのです。

【1アクション】

スヌーピーは短文なのに、しっかり心理をついたお話になっています。
短い文章で表現する工夫をしていきます。

【1エピソード】

この本は、疲れていた時に、スヌーピーのほのぼのとした表紙と題名にひかれて購入した本でした。スヌーピーの話が、こんな深い内容だったことをはじめて知りました。

訳者が「読むクスリ」というのもわかる気がします。

かわいい絵にほっこりしながらも、短い言葉に凝縮された人間心理が隠されていていて奥深いです。


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