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高人さんが猫になる話。13


13は、性的な描写を含みますので苦手な方はこのまま回れ右を推奨致します。大丈夫な方のみ先にお進み下さい。
誤字脱字、ご容赦下さい。
よろしくお願い致します。

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チュン太、驚いてるな。ふん。

気を抜いたら、すぐに主導権を奪われてしまいそうに思うのは、いつもこういった駆け引きに惨敗しているからだ。俺はプライベートでのハプニングに本当に弱い。だが役者としての自分なら?
自分を、別の何かとして演じてしまえば恥ずかしくないんじゃないか?と考えたのだ。
じゃあ、誰の姿を借りようか。

ふん。そんなの1人しか居ない。こいつだ。
気付かないよう逃げられないよう真綿でくるみ、心に入り込み、占領し、食い尽くす。
コイツの視点で考えると、本当にとんでもない奴に好かれたもんだと溜め息が出る。

だからこそか、そのはっきりと明確な好意が俺には好ましかったのだが。

「高人さん…その…すみませ…」
「うるさい。」
謝罪を認めるなどあり得ない。

西條は、喋ろうとする東谷の頬を撫で、首筋に触れていく。風呂上がりに首にかけたままであったタオルに手を伸ばすと、スルリと抜き取り、ふわりと東谷の目を隠し軽く結んだ。

「…え。」

「…見えないだろ?見なくていいよ。」
クスリと笑い、ふわりと頬を撫であげる。

床に押し倒されて、目隠しをされた東谷の首筋に顔を埋める。
「見えないと他の感覚が研ぎ澄まされていくよな。見えないから次が分からなくて翻弄される。頬を撫でただけで、身体に触れただけで…無防備な身体はどんどん熱くなっていく。」

暗示のように耳元で囁く。
「欲しいだろう?」
これはこの間の舞台で演じた「死」が言いそうなセリフだなと思う。
耳元で囁くと、ビクッと東谷の身体が強張り、顔を背けてしまう。
「お前はどこ触られるのが好きなんだ?」
「…高人さ…っごめ…も…やめてッ」
呼吸が乱れているのが手に取るように分かる。理性をフル稼働させて我慢してる姿は見ていて気持ちいい。

「…目隠しは、ちょっと……だめ…ッ」
東谷が目隠しを取ろうと動いた右手を西條の手が絡め取って床に縫い付けた。

「お仕置きだって言ったろ」

軽く指で唇に触れただけでビクリとする。
ああ、なるほど。これは苛虐心が刺激される。お前こういう気持ちだったんだな。
西條の身体をゾクゾクと興奮が走り抜ける。

無意識にペロりと舌舐めずりをしていた。
俺は今どんな顔をしているだろうか。
見られてなくて、本当に良かった。

空いた右手は、温もりを求めて東谷のシャツの中の厚くしなやかな胸板を弄った。

ちゅっちゅっと啄むようなキスをし、次第に深く深く舌を絡めていく。
「んっ……ッ…っ」
東谷もまたそれに応えてくる。求めるように、左手を頬に添えてきた。
ちゅっくちゅッ…ぴちゃっ…と、濡れたキスの音が静かな部屋に響く。
「ふッ…はっ…」
「はぁっ…っ…ッ」
どちらとも分からない吐息が漏れては混ざり合う。
唾液を口の端から垂らして、東谷は動くなという言い付けを守って与えられる快楽を貪っている。
口を離すと、ツッと唾液が糸を引いた。
「ハッ…ハァッ…ッ…」
荒く呼吸をする東谷を見下ろし何もしない。

もっと…という風に、伸びてくる東谷の手を反対の手でまた床に縫い付けた。ズルズルと両腕を頭上まで押し上げ一つに纏めて左手で固定する。

「高人さ…ッ」
懇願するように名前を呼ばれる。

「なぁ、チュン太、お前、あそこにいた猫が俺じゃなかったら、どうしてたんだ…?」

「…そんなの…貴方を探して探して…死んでたら俺も死にますよ…ッ」

「ふーん」
それはいつものお決まりの答えだろ?

東谷のシャツを捲し上げて、胸板にキスを落としていく。
「ちょっと…それ以上はッ…」
慌てたような東谷の声をよそに、胸を弄っていた手をズボンの中に滑り込ませて、猛る東谷自身をヌチュッヌチュッと擦ってやる。

「すごい音…」
西條はクスリと笑い、耳元で囁いてやった。
「貴方が煽るからでしょう…ッ」
イラついた声が返ってくる。

イケないなまぬるい刺激を与えて続けてやる。
粘液のいやらしい音が羞恥心を煽っていく。

ビクッと体を震わせて押し寄せる快感に耐えながら東谷はなんとか口を開く。
「…ハァッハッ……っ高人さ…俺は…っ貴方が居なくなった後…ずっと…考えてて…、中身が消えた服、とか…なにも盗まれてない…荷物とか…っはっ…ァッ…くッ」

喋れなくて、荒く呼吸をする。快感で考えが纏まらないんだろう。お前がいつも俺にやってる事だよ。

「それで…?」
胸板をツーーッと舐め、たどり着いた胸の突起を舌で弄ぶ。手は、さらに硬くなった東谷自身をグチュグチュと弄ぶ。

東谷の身体にゾクゾクとした快感が走り抜ける。息を吐き必死に耐える。
「…高人さ…やめて…喋れないっ…ハッ…んンッ」
「喋って?」
お前が、俺じゃない誰かと歩む道があったのかどうか。
耳元で囁く。
「どうなんだ…?」

「…ハッ…もう…っ」
東谷が手を振り解く。
「っ!?」
驚いた西條は体を起こすが背後に腕を回わされ抱き寄せられると、そのままグイッと横倒しに身を組み敷かれた。ダンッと身体が床に押し付けられる。見上げればそこには目隠しを今まさに取ろうとしている東谷が居た。
フーーッフーーッと獣のように睨みつけてくる眼光が姿を表す。
「…いい加減にッ…話聴いてください…ッ」

「勝手な事やってんなよ…!せっかく楽しくお前を虐めてたのに。」
今は顔を見られたくない!ばっと顔を隠す。
口元は、自嘲気味に笑みを浮かべてやる。

「だったら、どうして…」
西條の腕を無理やり引き剥がし、床に縫い付ける。
そこには、涙に濡れた西條の顔があった。
「…だったらどうして、そんな泣いてるんです!」
楽しいと言いながら、泣いてたんだこの人は。
東谷は顔を歪ませ、キツく西條を抱きしめた。


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