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お客様との体験から学ぶための徹底したロープレ

いろいろと整理していたら、だいぶ前に書いた調査レポートの下書きが出てきました。ある会社の営業組織の組織力向上のためのレポートです。

その中で、営業活動を

Customer Intimacy(お客さんとの親密性)
Product Leadership(商品の優位性)
Operational Excellence(卓越したオペレーション)

という観点で分析していました。

営業組織におけるオペレーショナルエクセレンス

さきほどの3つは、差別化のフレームワークです。優れた営業組織は、この3つの掛け算を行っているということをレポートに書きました。例えば、お客さんと仲良くなって商材を買ってもらえるようになるのがCustomer Intimacyです。もちろん、商材が優れていないと勝負になりません。このとき他社より優れた商品があればProduct Leadershipとなります。ただ、レポートした組織では、ライバルと差がつきづらい業界でした。そのため、Customer Intimacyを武器にする営業さんが多かったように思います。しかし、それだけでは限界があります。個の戦いになってしまうからです。そこで、仕組みを考えます。つまり、Operational Excellenceです。レポートでは特に、社内の仲間との情報共有の仕組みについて分析していました。営業は、個人商店になりがちですが、チームで取組んでいる組織の方がやはり成績が良いです。メンバー同士がお客様の情報を共有する場や仕組みをマネジャーが意図して作っています

ポイントは、掛け算にあります。というのも、仕組みを作って個が死んでしまっては意味がないからです。チームで取組もうとして、案件の数字を見える化してマネジメントしようとするとうまく行かないことがあります。営業パーソンが数字を「隠す」のです。見込み客の情報をあげると、その後、その案件はどうなっているのか、という「詰め」が始まるからですね。結果、お客様のためを思った営業活動ではなく、数字を追う活動になってしまいます。うまく行っているチームでは確かに情報共有をしていましたが、それは他のチームもそこそこやっていました。一番の違いは、お客様が本当に何を思うのか、どのようなことを感じるのかといった情報共有ができている点です。

お客様から学ぶことを徹底したすごいロープレ

様々な営業組織を見ていますが、やはりお客様から学ぶ仕組みを徹底しているところは強いです。あるカーディーラーさんでは、商談のロールプレイをやることが文化として定着していました。ロールプレイというと商談の応酬話法のようなものを思い浮かべるかもしれません。しかし、このディーラーさんのロールプレイは一味違いました。

ディーラーでの車の販売は、お客様のお迎えから始まり、アンケートの記入、車の案内やヒアリング、試乗のおすすめ、今乗っている車の下取り査定、見積もり提示、成約…といった流れで進みます。もちろん、すんなりいくとは限りません。特に若手だと商談に行き詰ることがあります。試乗もせずに帰られてしまうのです。行き詰った場合は、状況を店長さんに報告して、指示を仰ぎます。このことで、商談を前に進めるとともに、どのように判断し、行動すべきなのかを学んでいきます。そして、その後のロールプレイでは、実際に体験した商談をケースに行います。将棋の感想戦の様なものです。振返りもかねて、仲間の前で再現ロープレをすることで状況を共有するのです。面白いのは、店長に相談にいくところも含まれていることでした。実は、以前の振返りの中で、自分で何とかしようとしすぎて失注してしまうことがあったのです。そこで、どうなったら店長に聞きに行くかというところまで決めて練習していたのです。そこまで徹底することで、お客様に対して何を伝えるべきか、どのような気持ちになってもらいたいかを全員が考えられるようになっていたのです。

お客様志向の小さな一歩の積み重ねが組織能力となる

オンラインでの商談も増えてきています。その時もやはり、オンラインという仕組みにするだけでは、Operational Excellenceにはなりません。お客様との接点をどのように作ると良いのか、そのための行動はどうあるべきなのかを徹底して考えることがやはり大切だと思います。オンラインであれば、様子を録画したものをプレイバックしながら振返ることもできますね。
そうした積み重ねが、大きな違いを生んでいくのだと思います。

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