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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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#コンサルタント

葛藤を超えて:組織と個人のレジリエンスと成長のダイナミクス

マラソンのトレーニングをしていると、走りが変わったことに気づく瞬間が訪れます。「ああ、こういう動き方をすれば良いんだ」と実感するわけです。それまでは、「こういう風に動かそう」と体の特定の部分を意識しながら走るわけですが、すぐには思うようになりません。頭では分かっていても、身体は今までのままだからです。それでも、意識して繰り返しているうちに、無意識の領域で身体が変わっていき、いつしかできるようになります。 経営も似たようなところがあります。 たとえば、管理職がいつまでもプレー

中小企業における経営幹部の育成と覚悟の重要性

ここのところ、経営幹部育成の課題についてよくご相談をいただきます。私の場合は、中小企業の経営コンサルをしているので、その社長さんからの相談が多いです。 「なかなか次の幹部が育たないんだよね」 そんな素朴なボヤキから始まります。コンサルタントとして、その「育った状態」とはどういう定義なんだろうとまずは理解しようとします。一番多いのは、決めない、決められない、判断を委ねてくるといったものです。「結局、覚悟がないんだよ」とおっしゃることも度々です。 経営者は苦労して、覚悟を育

AIツール活用レビューもかねて…:中小企業における変革的リーダーシップの主な特徴とは?

中小企業の経営コンサルをしているとなんだかんだで、社長のリーダーシップが重要だと感じます。どんな先行研究があるのかAIのツールを活用して概観してみました。 Consensus で概観してみた結果 ”Consensus”というツールを使って論文を検索してみました。このツールは質問を投げれば、それに対応する全世界の論文を検索し、結果をワンセンテンスに要約してくれるAIツールです。 詳細はこの記事が参考になったのであわせてリンクを貼りますね。 使ってみると、質問文が検索結果

リーダーシップの意外な盲点:組織の長期的な原動力を生むのは何か?

リーダーシップ発生の起源 人が二人以上存在すると、リーダーシップが発生します。その二人が、持ち場を分担するだけなら話が早いのですが、仕事はそんなに単純ではありません。最初から答えやアプローチが分かっていることは、ほぼないからです。私たちの仕事は問題解決の連続です。問題が大きくなればなるほど、細かく分解して取り組んでいく必要があります。それを一人で片づけていくと物量的に終わりが見えません。分解して、一人ひとりが自分の持ち場で力を発揮していくことが求められます。 目標達成の重

効率化の影で見失うもの: 仕事の価値と働きがいの再発見

家のごみを出しに行ってふと思いました。 「エッセンシャルワーカーって言わなくなった?」 コロナ禍によって、浮彫りになったことの一つにエッセンシャルワーカーの存在があります。 家族が罹患して濃厚接触者になったときにすごく気をつかってゴミを出しました。その時、「確かにごみを収集してくださる方は危険と隣り合わせだ、しかも休めない、本当に有難い」と身に染みて思いました。 ところがいつのまにか意識していない自分に気づきました。 「やれやれ、今日もごみを出さないとな、よし、出した、仕

朝の15分が育てた自己効力感:習慣の力と小さな一歩

毎朝のルーチンがあります。 日記を書く、数ページずつ3冊の本を読むといったものです。起きて15分くらいの時間です。 上司が実践している内容を取り入れました。 日記は、3年連用日記を使っています。まもなく3年分が終わりそうです。つまり3年つづけています。 3日坊主を3日坊主にしないことが継続の秘訣 日記は、3日坊主の代表格(?)だと思います。過去も何度かトライしましたが、つづきませんでした。でも、今回は3年つづいています。習慣になりました。振り返ると「あ、忘れてた」なんて

早朝の27キロ:冒険、感謝、そして気づき

週末27キロ走りました。 中途半端な数字ですが、25キロ予定で走りはじめて、2キロプラスになったのでした。 大体、3時間くらいかかります。日中は、色々と家事やら子どもの相手やらもしたいので時間が取れません。…というわけで、朝3時半に起きて、4時にスタートしました(笑)。ランニング用の電灯を胸につけて走ります。そうやって足元を照らせば案外大丈夫。田舎なので、車も人もいません。コンビニを給水所にしながら走りました。 最初の10キロは、本当に暗くて静か。地元の氏神様が祀られてい

お客さまから学び、躍動する組織をつくる人間観

企業の成長は、お客さまの声に耳を傾けることから始まります。 例えば、ジェフ・ベソスが創業したAmazonは、「地球上で最もお客さまを大切にする企業」という理念を掲げています。ベソスは、その理念に忠実に事業を発展させてきました。今では、あたり前になっている「カスタマーレビュー」も当初は、「お客さまからの不評の声まで載せたら売れなくなるに決まっている」と酷評されていたのです。 お客さまから学ぶ組織で働く喜び 私たちは、お客さまが何を求めているのか、素直に学び、商品・サ

お客さまから学び続けた200週。

この投稿で、連続投稿が200週となります。 2020年の3月が初投稿でした。もうかれこれ4年になろうとしているのですね。毎週、最低でも1本は投稿しようと続けてきました。 最初は、書くのが本当に大変でした。 仕事でお客さまの課題解決の提案書やプレゼン資料などを作っているので、アウトプットはそこそこできると思ってました。 しかし、いざ書こうとなったら、なかなか書けない。何を書くかテーマで悩み、さらにどのように伝えるかで悩み、公開したものの「スキ」が全然つかなくて悩む…の繰り

素直な「ありがとう」が開かれた組織文化をつくる

質問への感謝の姿勢 「質問を受けたら、ありがとうございますって、いいましょう。」 あるディスカッションの場でそうお伝えしました。 質問には、意見が隠れていることがあります。結果として、反論しあうこともあります。でも、意見の違うことなんて当たり前です。質疑応答をすることで、互いの考えが深まれば良いわけです。 でも、質問されると、ガードがあがってしまうこともあります。自分を守ろうとして、ファイティングポーズになってしまうのですね。そうすると、互いの意見が深まらなくなります。

目標と関係性: 学習する組織のマネジメントの鍵

組織が成長し、良い方向に進むためには、目標と関係性のバランスが大切です。でも、どうやってマネジメントするか、難しいですよね。ここでは、組織が学び、発展するための秘訣として、目標と関係性に焦点を当ててみましょう。 多様性を阻害せずに、建設的な対話によって切磋琢磨する、そんな学習する組織になるためには、目標と関係性という2軸からマネジメントを見直すことが有効です。 対話を深めるなら、どのような目標を設定して対話をするかで深さが変わります。図の縦軸の「目標レベル」は、そのことを

専門家の役割と成長:専門性の洞察を磨くための対話と自己啓発

「うわ、こんなに後傾しているとは思わなかった…」 朝ランをしていて、ふと、自分の走っているフォームがどうなっているか確認したくなりました。田舎なのでまるで車は通りません。反対側の歩道の縁石にスマホをおいてビデオをまわしました。ここのところ足の運び方を改善してきたので、比較的楽に長距離を走れるようになっていました。 期待と現実のギャップ その足の動きを確認したかったのですが、それよりも、上半身が自分の思っている形と違ったのでショックでした。想像よりも後傾していて、腰が落ち

2023年「スキ」をいただいた記事Best10で振返る私の仕事

今年も残すところあとちょっとですね。 1年の振返りとして、「スキ」をいただいた記事Best10を紹介していきたいと思います。 一番「スキ」をいただいたのはこちら。 「規律の中の自由」は、多くのリーダーが理想とするところだと思います。ここでいう規律は、ルールそのものというより、それを守ろうとする心の強さです。ただ、人間は弱い。では、何が心を強くするのか。それは、他者の存在です。 上記は、ラグビーをやっている知人が教えてくれた「規律」のつくり方です。今年学んだことの中でも一

【読書メモ】コンテクスト・マネジメント 個を活かし、経営の質を高める

経営者や経営を担うリーダーの皆さんとこれを探求したい、そう強く思いました。 著者は大学院大学至善館の理事長兼学長の野田智義さん。野田さんの著書「リーダーシップの旅」を15年前に読み、深く感銘を受けました。その野田さんの本が出てることにAmazon で気づき、すぐにKindleで読み始めました。 本書は、至善館での講義録のような形をとっています。野田さんが受講者に敬意を払いながら、対話している様子もまた素敵だと思いました。 組織の壊れやすさと人のポテンシャル本書で、もっと