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読書メモ

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読みっぱなしになりがちなので、ちょっとメモを残します。 ①読んでみて印象に残ったことを一つあげる ②そこから考えたことを書く てな感じで、時々書きます。
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記事一覧

【読書メモ】ユニクロ

やはり、その問いが肝か。 「ユニクロとは何か」「ユニクロの服とは何か」 ユニクロが事業の節目を作ったのが、この問いであることに深い感銘を受けました。 ユニクロの創業期から現代までを詳細につづったドキュメントです。著者は杉本貴司さん、日経新聞の記者です。綿密な取材で、柳井さんをはじめとした人物一人ひとりの葛藤がつづられています。 葛藤や挫折からの学びが人生を豊かにする 人も会社も葛藤やときに挫折があって歩んでいくのだと思います。読んでいるうちに"Fail fast, l

【読書メモ】お金のむこうに人がいる

利益を上げることは目的ではない。経営の原理原則の一つであるこの言葉の意味を深く噛みしめることのできる一冊です。 著者は、元ゴールドマン・サックス金利トレーダーの田内学さん。文中でも「資本主義のど真ん中にいた自分が」と書いている通り、金融の世界にいた人のお金の話です。 …となると、個人資産を増やすうまいやり方とか、知らないと損する○○、とかそういう話が出てくるのではないかという直観をもってしまいます。 これこそが、お金の本質を捉えちがっている最たる例でしょう。 タイトルは

【読書メモ】コンテクスト・マネジメント 個を活かし、経営の質を高める

経営者や経営を担うリーダーの皆さんとこれを探求したい、そう強く思いました。 著者は大学院大学至善館の理事長兼学長の野田智義さん。野田さんの著書「リーダーシップの旅」を15年前に読み、深く感銘を受けました。その野田さんの本が出てることにAmazon で気づき、すぐにKindleで読み始めました。 本書は、至善館での講義録のような形をとっています。野田さんが受講者に敬意を払いながら、対話している様子もまた素敵だと思いました。 組織の壊れやすさと人のポテンシャル本書で、もっと

【読書メモ】頭のいい人が話す前に考えていること

「頭のいい人が話す前に考えていることは何か」と聞かれたらどう応えるでしょうか。 結論からとか、仮説からとか、話の構成から…とか、色々出てきますね。 確かにそれらのこともこの本には書かれています。 でも、本書を読んで、一番大切だなと思ったのは「相手のことを考える」ということです。 私が本書で一番グッと来たのは という言葉です。 そもそも知識と知性の違いを考えないとならないですが、知性は、知識を使うことで現れるものと読むことができます。つまり、知識は道具、知性は使い方と

【読書メモ】対話力―仲間との対話から学ぶ授業をデザインする!

自分の原点に立ち返ることのできた一冊です。 本書のタイトルは、「対話力」。といっても、コミュニケーションスキルの本ではありません。 著者は白水始さん。学習科学や認知科学の実践的な研究者です。私たちが対話によっていかに賢くなるのか、対話にはどのような力があるのか、学習科学の知見や現場での実践をもとに書かれています。 私たちが誰かと対話するとき、頭の中で何が起こっているのでしょうか。多くの人が、誰かに何かを伝えようとすることで「自分が言いたかったのは本当はこれなんだ」と気づ

【読書メモ】体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

いや、面白い。人間の可能性ってまだまだ分からないことばかりだ。 そんな感想を抱きました。 著者は、伊藤亜紗さん。これまでも彼女の著作について、noteに書いたりしています。独特な感性による着眼点と一歩踏み込んだ洞察が示唆に富んでいます。 以下は、Amazon の紹介文からの引用です。 伊藤さんと対話する5人の科学者/エンジニアの実践は、いずれも固定観念を良い意味で裏切られる内容です。こうした発見が科学の醍醐味だと思います。科学的な正しさを担保するだけではなく、その背景に

【読書メモ】アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方

アオアシ、本当に魅力的なマンガです。 選手としての成長、葛藤を乗り越えて勝利する喜び、チームメイトとの絆、ちょっとしたラブコメ要素。そしてなにより、知的刺激にあふれています。 身体知や感覚的な要素が多いのがスポーツですが、あえて「言語化」をすることで、より高いところへ到達する、それがアオアシの主題のひとつです。 そのアオアシを題材にしたのがこちらの本です。 この本のテーマは、「自ら考えて動ける人材」のヒントを「サッカー的思考法」から得よう、というものです。 サッカー的

【読書メモ】会社という迷宮――経営者の眠れぬ夜のために

個人的には、コンサル論として読みました。 Amazonには、こんな説明が載っています。 「経営者論」とあるのですが、会社さんという人の話のような印象です。 会社という法人にも人格のようなものがある。一人ひとりの人生が違うように、会社もそれぞれ違う。なのに、あたかも良い学校に入ることを画一的に求めるようなところが、経営論には存在する。結果、我が社がどうあるべきかを考えつくせていないのではないか、そんな主張が展開されています。 そして、コンサルタントは「経営論」を振りかざし

【読書メモ】THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す

やっぱり、素直で謙虚ってことかな。 本書は、私たちが陥りがちな建設的ではないコンフリクトについて様々な示唆を与えてくれます。 読みながら反省したのは、自分の「思い出し怒り」です。誰かとのやり取りを思い出して、「あんな言い方しなくたっていいだろうに」「そもそも言っていることがおかしい」などなど後から思い出して頭に来てしまいます。 これはヘルシーじゃないですよね。何も解決しないし、不毛だし、疲れます。その場で、互いに再考(Think Again)をする機会を持たずに済ませて

【読書メモ】 先生、どうか皆の前でほめないで下さい

「う、あるなあ、これ」と思いながら手に取りました。 軽妙な文章で書かれていて、思わず笑ってしまいます。でも、笑うに笑えないところもあります。 以下は、Amazonに掲載されていた目次紹介です。 もう、これだけで苦笑いがこみあげます。 著者もしっかりと断りを入れていますが、若者みんなが同じわけではありません。彼らから学べることはたくさんあります。問題は「いい子症候群」を生んでしまっている社会環境にあります。笑うに笑えないのは、私たちオジさん側も同じような問題を抱えていた

【読書メモ】イノベーションの競争戦略

「イノベーションの本質は行動変容である」 この一言に尽きます。 著者は、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さん。「仮説思考」をはじめとして数々の著書がでています。その内容は、いつも知的なインパクトをもたらします。 本書は、イノベーションについての内田さんの論考です。 イノベーションは、様々に語られます。私がこの本にたどり着いたのは、イノベーションの本質や目指すところ、目的は何なのだろうという思いです。 イノベーション自体は目的ではないはずです。ではいったい、何の

【読書メモ】拝啓 人事部長殿

私のような氷河期世代でマッチョ感の残る昭和人間が、このタイトルを見ると「働きにくさへの提言だろう」と思ってしまいます。 そうではありませんでした。 本書は、「会社は本来、人々を幸せにするためにあるのに、働く人々は閉塞感を感じてしまう。それを何とかしたい。」そんな真摯な思いからつづられた日本全国の人事部長への手紙です。 先人たちも苦労してきた人事のあり方著者は、ただ思いをつづるだけではありません。自らが感じた閉塞感への疑問をそのままにせず、日本の人事の仕組みについてその歴

【読書メモ】LEADER'S LANGUAGE 言葉遣いこそ最強の武器

私たちに求められるのは、プレースタイルの変更です。 上記は、帯に書かれている言葉です。たしかに責任や主体性にかける残念な言葉です。ただ、そう言わせているのはリーダーである私たちなのかもしれません。 私たちはまだ産業革命期のプレーをしている 本書で印象に残ったのは、「私たちはまだ産業革命期のプレーをしている」という指摘です。 上記は、著者のL.デビッド・マルケが提案するリーダーシップのための新たな6つのプレーです。マルケは、アメフトをイメージして「プレー」という言葉を使

【読書メモ】チャレンジング・トム-日本女子バスケを東京五輪銀メダルに導いた魔法の言葉

あの夏から1年が経とうしているのですね。 著者のトム・ホーバスさんは、女子バスケットボール日本代表、アカツキファイブのヘッドコーチを務めた方です。TOKYO2020の銀メダルの快挙は、記憶に新しいところです。現在は、男子の日本チームのヘッドコーチとして、パリ五輪を目指しています。 トム・ホーバスさんといえば… 「何やってるんですかー!」 ですね。流腸かつ熱い、それでいて妙に丁寧な日本語による叱咤激励が話題になっていました。 私もテレビでその様子を見た時のインパクトが