【交換日記】怖い話
私は霊感ゼロですが、幽霊、UFO、UMAの類は存在すると信じています。こと心霊ネタは大好きで、心霊番組や都市伝説番組は良くチェックしており、稲川淳二の怪談ナイトも毎年欠かさず観に行っていた根っからのオカルト好きです。
これはそんな霊感皆無の私が体験した身の毛もよだつ話。
高校を卒業して初めて迎えた夏、同じクラスだった友人と兼ねてより計画していたキャンプ旅行を実行に移した。行き先は県内でも有名なキャンプ場。キャンプ初心者の私たちはテントを張るのが億劫で場内にあるコテージを一棟貸り、そこに一泊することになっていた。
当日は天候にも恵まれ、正午頃、十数名の高校時代の同級生がキャンプ場の最寄り駅に集合した。
半年ぶりの再会を喜び合うのもつかの間、三台用意した車にそれぞれ乗り合い、バーベキューの買い出しのため駅から少し離れた大型スーパーに向かう。
道中の車内では大半は今通っている大学の話。各々の近況を確かめ合い、実は同じ大学に通っていたなんてことが分かったりして盛り上がっていた。
手早くバーベキューの買い出しを終え、キャンプ場に到着した私たちはチェックインを済ませた後、駐車場からコテージまで荷物を運ぶとすぐにバーベキューの準備へ。
キャンプ場から貸りたコンロを使い、数名で火起こしにあたるが炭に火が着く気配が全く無い。悪戦苦闘しているうちになんとか着火。成人していない私たちはジュースを片手に乾杯。まだ明るいうちからのバーベキューと半年ぶりの旧友との会話を大いに楽しんだ。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、辺りはいつの間にか暗闇に侵食されていた。
屋外は山奥にあるキャンプ場のため、周りに何棟かあるコテージの玄関先のライトがなければ目の前にいる人の顔の判別すらままならない。
夜も七時を回ると少し肌寒くなってきた。そのせいかコテージの中に入る者がちらほらと現れ、コンロを囲んでいる者は私を含め数える程となった。
そんな中、誰かが
「肝試しをやらないか?」
と言った。
私は二つ返事でそれに同意し、残りは渋々。じゃんけんで組み合わせを決め、二人組のチームが二つ。三人組のチームが一つ。私は後者のチームになった。
肝試しのコースはコテージから少し離れたところにある使用されていない古びたシャワー棟まで行き、中で三分間待機してから帰って来るというもの。
「前の組がスタートしてから三分後に次の組がスタートしよう」
私たちの組は一番最後の出発になった。
日中は何も感じなかったが夜になると風に揺れる木々のざわめきがどこか不気味で、現実とは違う世界にいるような感覚に陥る。
すぐに私たちの順番が来た。先頭の組はまだ戻って来ていなかったが、三分経ったのを確認し出発する。
暗闇の中を携帯の明かりを頼りに進む一行、不意に隣を歩くMくんが
「連絡の取れなくなった先輩がいて、その先輩から聞いた話なんだけどさ…」
と話出した。
「その先輩、幽霊に魅入られたみたいで、地元の有名な霊能力者に除霊お願いしたらしいんだけど…」
私とケイタは
「こえー」
と言いながら、Mくんが話す彼の先輩の心霊体験に聞き入ってしまった。
「結局先輩も行方不明だし、霊能力者が幽霊を封じ込めるために作った祠も何者かに壊されていたらしい」
「とりあえず〝ぼぼぼぼぼぼ〟ってう声が聞こえたら注意して」
Mくんの話に夢中になっていた私たちは、気づいた時にはシャワー棟で三分待機し、コテージに帰って来ていた。肝試しでは特に何も起こらなかったが、久しぶりにとても怖い話が聞けた私の心は踊った(その先輩には申し訳ないが)。
この話は絶対に他の人に言わないでと釘を刺されてその日は就寝。
翌日はバーベキューのあとかたずけをして、午前中には最寄りの駅で解散。キャンプ旅行はあっさり終了した。
ここからは旅行後の話。
旅行から数日経ち、私はふとMくんの話を思い出していた。〝ぼぼぼぼぼぼ〟という印象的なワードが頭から離れなかったのだ。先輩とも未だに連絡が取れてないようで、Mくんのためにも何かネットに情報はないか調べてみることにした。
〝ぼぼぼぼぼぼ〟〝心霊〟
と検索してみる。すると
〝八尺様〟〝怖い話〟
というワードが入った検索結果が出て来た。いくつか出て来た結果のうちの一つをクリックしてみる。
するとそれは誰かが書いた『八尺様』というタイトルの怖い話だった。文章の出だしは
「連絡の取れなくなった先輩から聞いた話なのですが…」
気づいたら私はケイタに電話をかけていた。
「もしもし、あのMくんの話ってさ…」
するとケイタは
「ネットで調べたんでしょ?同じ話たくさんネットにあったわ」
「こわ〜」
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【次の人は..ズシシΔです】
ほんとにあった怖い話