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【交換日記65日目】Dくん

高校の入学式が終わり、各々のクラスへと集められた僕たち新入生。教室の奥には異質なオーラを放つ二人の生徒がいた。どちらも長身で、ひとりは腕にトゲトゲのアクセサリーをつけ、もうひとりの髪色はかなり明るかった。進学校であったためか、品の良い生徒が多いなかトゲトゲと茶色は浮いていた。列の最後尾である彼らがプリントを回収する。なんと恐い。いつそのトゲがこちらに飛んで来るのか教室の隅で慄いていた僕は確信する。このクラスは間も無く彼らに支配されてしまう。何があったのかいつの間にか仲良くなっているふたり。登校初日の距離の詰め方ではない。なぜ学校は彼らを隣同士にしてしまったのか。とんでもないクラスに振り分けられてしまった。登校初日に希望に満ちた高校生活に暗雲が立ち込めた。

と思ったのも束の間、光が差す。僕は彼らと仲良くなった。彼らはクラスメイトに分け隔てなく接してくれた。存外、良い人達であった。その後急速に仲良くなった茶色=題のDくんである。

笑いの中心にはいつも彼がいた。面白いやつだった。「ラーメン屋フリスク事件」「のどパンチ」「一日無駄にした話」「ブラジャーの変」など。詳細は伏せるが、タイトルから彼との思い出がいかに多感な時期の僕に影響を与えたのか察してもらえたら幸いである。

彼は何か持っているやつだった。僕の人生にたまに現れるこいつ何か持っているやつ。例えば運動部所属の彼が美術の時間に描いた作品は美術部員を差し置いて全て賞を獲った。開催者に飛行機代を出してもらい遠方での表彰式に出席する。その後彼は美術部顧問から熱烈な入部勧誘を受けるが首を縦に振ることはなく筆を置いた(美術の授業がなくなったため)。今でも僕は、もし彼が芸術の道を志していたならば物凄いアーティストになっていたのではないかと信じて疑わない。

彼に魅せられ、人が集まる。彼がやることに間違いはない。先には必ず面白いことが待っていた。残りの高校生活も彼と一緒にいれば楽しいに決まっている。次の学年も同じクラスになるといい。入学式の日とは正反対の事を思っていた。しかし、一年次以降彼と同じクラスになることはなかった。

彼と最後に会ったのは、高校卒業後何年か経ってから、てんてんと三人で地元の居酒屋で飲んだのが最後だった。その後、彼とは連絡が取れなくなり疎遠になった。

そして最近、ひょんなことから彼の連絡先を手に入れる。連絡を取ってみると、なんと驚くことに転勤で近所に引っ越して来ていたのだった。

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【TつぐからKCへの質問】
最近ハマっているストレス発散方法は?
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Dくんとは最寄りの駅で待ち合わせ、何年振りに再会した。当時と雰囲気も喋り方も何も変わっていないDくん。思い出話に花が咲く。何年もの時を取り戻すように時間を忘れて語りあった後、互いの趣味に話題が移った。彼はよくジムでトレーニングをするらしく、今度彼が契約してるジムに一緒に行こうということになった。僕も近くにある違うジムに通っている事実を伝えると、どこにあるのか教えてくれということになり、ご飯を食べたその足で僕たちは僕の通うジムへ向かった。彼はジムへ着くとすぐに一年契約をした。別なジムに通ってるのでは?「お互いにジム行くときに連絡し合えばトレーニングが億劫な日でも行ける。そこに投資した。2箇所契約してれば気分転換にもなるしね」そうだ。こういうやつだった。面白い。彼がやることに間違いはなかった。

運動はいい。ストレスの対極が運動なのではないかと思う。走っていれば嫌なことも忘れられるし、トレーニング後の達成感もなかなかに良い。Dくんから勧められハマってしまったNetflixオリジナルドラマ『スタートアップ: 夢の扉』の挿入歌〝Running〟を聞きながら走るのが専らのルーチンだ。ちなみに彼は『梨泰院クラス』を見終わったその日に、韓国行きの航空チケットを予約した(結局まわりに止められ行くことはなかった)。笑

その後Dくんには個室サウナも教えてもらうことになるのだが…サウナについては長くなってしまいそうなのでまたの機会に。

いくつになっても彼は僕に良い影響を与えてくれる。

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【次の人は..ケイタです】
KCの好きなところを3つ教えてください。

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