朝倉未来選手の脳震盪について

皆さんお疲れ様です。

こんにちは。

BRAIN TOKYO堤です。


実は、僕はもうずっと昔から格闘技が好きなんですが、昨日は朝倉未来選手対YA-MAN選手の試合を見ました。

YA-MAN選手の強烈なパンチでダウンをして、朝倉未来選手がKO負け。


その後の様子を見ていると、もう表情から記憶が無さそうだなというのが分かった。

実際に、
なんで試合をしてるのか?という記憶もなく、自分が誰かもよく分からない。という話をしています。



これを見て、ネットを見てると一部の人が、
演技してるみたいとか本当か?みたいな事を言ってたりするので、
脳震盪とか、脳震盪後の後遺症について、少し話していきたいと思います。


結論から言うと、脳震盪起こすと記憶が無くなるのは良くあることで、実際に記憶を無くしてるのだと思います。

アメフトやラグビーのトレーナーをしている人は、実際によく見ていると思います。

まぁよく見ると言っても、記憶無くなるぐらいの脳震盪は、やっぱりかなり強い脳震盪なので、すごく良くある事ではないです。

実は、脳震盪のうち、意識喪失(または「ブラックアウト」の期間)を伴うのは約10%だけと言われています。

僕が初めて実際に見たのは、
社会人アメリカンフットボールのインターントレーナーをやっていた時、レシーバーの選手がタックルをされたか?で、脳震盪に。

脳震盪で交代した後も、
「これから試合だよね?」
「今何してるんだっけ?」

という質問をします。

しかも、それを試合が終わった後もまた
同じ事を聞いていたりしていて、

「あー本当にこういう風になるんだ…」
と結構衝撃を受けました。


その後は、急に容態が変化して最悪死んでしまう事があるので、絶対に1人で寝かせないようにします。
朝倉未来選手の動画では、仲間が朝まで一緒にいるよと言っても
「1人で寝る」
と言っており、とても危険だなと思いました。

幸い、無事に朝起きて、記憶も戻っていたようなので良かったです。


僕は今はチームで脳震盪を直接見るような環境ではないんですが、
お店では脳震盪後の後遺症が回復しない方なんかに、脳機能の回復するようなエクササイズの指導をしています。


通常の復帰プログラム

脳震盪後は、復帰のプログラムがあります。
常に先頭を走ってきたのはラグビー協会だと思います。
きっちりとしたルールを作って、いきなり復帰させるのではなく、段階的に復帰をさせていきます。


脳震盪の症状回復した。
はい、復帰します!

というわけにはいかないんですね。


サッカー協会にも出ています。


各協会、昔より脳震盪についての指針を明確にしています。


格闘技の団体のRIZINでも復帰プログラムが出ていて

KO負け後のプログラムなど、格闘技用に作られています。


さらにさらに、
今や総合格闘技の総本山といえばUFC。

UFCは、UFCパフォーマンスインスティチュートという研究も兼ねた施設あって、
そこがとても有意義な資料を無料で開放しています。

こちらからダウンロードできます。


外傷性脳損傷は選手の人生を大きく変える可能性があり、MMAの特性を考えれば、選手の幸福のために考慮しなければならない重要なテーマである。

外傷性脳損傷(脳震盪)は、頭蓋骨内で脳組織が急激に加速または減速することによって生じる。
このような脳組織の急激な動きは、脳細胞の損傷や脳機能の変化につながる。

この損傷はまた、脳内の化学的および代謝的変化を引き起こし、脳細胞の機能を困難にし、体内の多くのシステムに影響を及ぼす可能性がある。


特にMMAのようなコンタクトスポーツでは、活動再開が早すぎると、その後の筋骨格系の損傷や回復に時間がかかるだけでなく、さらなる脳震盪(セカンドインパクト症候群など)のリスクが高まり、慢性的な神経症状、永続的な障害、死に至る可能性がある。


脳震盪後24~48時間は、物理的・精神的安静が脳の回復に最も適切な方法である。


高い精神集中を必要とする活動(ビデオゲーム、テレビ観戦、メール、パソコン作業など)は制限すべきである。

脳震盪の症状を悪化させるような身体活動も避けるべきである。

鎮痛のために使用する薬はアセトアミノフェン(タイレノールなど)のみにすることが推奨される。

イブプロフェン(アドビル、モトリンなど)やアスピリンなどの他の鎮痛剤は、脳内出血のリスクを高める可能性があるため避けるべきである。

最初の48時間に症状が悪化した場合
時間以内に症状が悪化した場合、および/またはセクション44で述べた "レッドフラッグ "症状がある場合は、直ちに医療機関に連絡することが重要である。


などが書いてあります。

また復帰のプログラムもかなり細かく作ってあります。


さすがですね。
という感じで脳震盪後は、これに従い復帰を目指していけばいいです。


ところが問題は…

ところが問題は、
基本的には症状が出たら、休むというのが基本で、休めばだんだん回復してきて、その回復状態に合わせて、復帰のために段階的にレベルを上げていく。

というのは、どこの協会も出しています。


しかし、実際には、休んでも回復していないという選手も多々います。


朝倉未来選手も、メイウェザーとの戦いの後は、数ヶ月頭痛が続いてたと言います。
(まぁ彼の場合はあまり休んでなさそうだけど。)


その事を

Post-Concussion Syndrome(脳震盪後症候群)

と言います。

Post-Concussion Syndrome(脳震盪後症候群)
は、少なくとも3つの脳震盪後の症状が長く続くこと。一般的に3ヶ月以上続く場合はPCSと定義される。

脳震盪起こした人の5〜30%が何らかの形でPCSを経験すると言われている。


実はこれのリハビリをちゃんとやれる所は少なく、基本的には休むという選択肢一つしかないのがほとんどです。

その為、実は休んでも回復しないという選手は結構います。


実際に僕が最初に臨床を得たのは、
脳震盪後から1年以上復帰できていないラグビー選手がいました。
練習をするとすぐ気持ち悪くなったり、イライラなど気分障害が出たり。

でも病院に行っても、「特に悪い所はない」と言われてしまうので、チームとしてもどうしたらいいかわからないという状態で、本人も「もう引退しようかな」という状態でした。

それが、脳のバランスを整えるような刺激をするセッションを1ヶ月〜2ヶ月ほどやったら、みるみる回復していき、無事に復帰できたということがありました。


つまり、休んでも回復しない人もいて、そういう人はしっかりリハビリしないといけないし、
仮に復帰できてたとしても、リハビリをしないで復帰した選手は、何かしら脳機能が低下したまま復帰してる可能性があります。


朝倉未来選手もメイウェザー戦後から、どこか悪くなっていたのかもしれません。


まぁ何が言いたいかっていうと、朝倉未来選手ダメージ深そうで心配だなっていうのと、
脳震盪後のリハビリもしっかりして欲しいなってのと、
一般の方に脳震盪後は記憶なくなることもあるし、それ以上に危険なことも沢山あるよってのが言いたかったです。


以上。

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