見出し画像

来ないかもしれないフォンセカスパーズ

モウリーニョが去ってから約2ヶ月新しい監督を探しているスパーズ、噂だけならいろんな監督がノースロンドンへやってきた。

はじめはフリーだったサッリ、アヤックスのテン・ハーグ、同じプレミアからレスターのロジャース、ブライトンのポッター、ウルヴスを退任したヌーノ、イタリア方面からアレッグリやラツィオのインザーギ、インテルを退任したコンテ、さらにはPSGからポチェッティーノを引き戻そうともした。
しかし、誰一人としてスパーズの監督にはならなかった。

そんな中浮上したのはフォンセカだった。奇しくもスパーズが解任したモウリーニョが向かったローマの元監督だった人物だ。

さてさて、監督候補が出てくるのはいいが果たしてフォンセカがスパーズの監督の条件に合っているだろうか。

私たちは、新しいヘッドコーチの採用に注力します。私たちは、この偉大なクラブの価値観を反映した人物を選ぶ必要があることを痛感しています。そして、私たちを体現するスタイル、すなわち流れるような攻撃的で魅力的なフットボールに回帰することであり、経験豊かな人材とともに、アカデミーから若い選手を輩出するという私たちの希望も継続する必要があります。

これはレヴィ会長が最終節の前に出した声明である。これを基にいくつか新監督への条件をまとめていく。

1:ハイプレスやポゼッションによる攻撃的なフットボールをすること
2:現状の戦力を使いながらアカデミー出身の選手を登用すること
3:ハリー・ケインを納得させるタイトル獲得への野心が見えること

私はローマでのフォンセカしか分からないが1と2の条件は備えている。
ローマでの基本システムは3-4-2-1を使用していた。3バックの中央には本来中盤のクリスタンテを起用し、後方からビルドアップするポゼッション指向なサッカーを見せた。一方、守備時はポチェッティーノほど前線からのハイプレスは行わないが、ディフェンスラインを高く保ちボールをなるべく相手ゴール近くで奪う狙いも見える。お国柄イタリアではなかなか評価されずらいサッカーではあったがスパーズでは好まれるものかもしれない。
また、若手選手の登用も積極的に行っていた。アカデミー出身ではないが20代前半のイバニャス、クンブラ、ビジャール、マジョラルをレギュラーに定着させ、アカデミー出身の19歳のダルボエは終盤にレギュラーに抜擢している。それも消化試合をこなしたわけではなく重要なローマダービーでもスタメンとして出場している。
一方で、中堅やベテランも上手く起用している。プレミアリーグから連れてきたペドロ、ムヒタリャン、スモーリングなどのピークが過ぎたと思われた選手を復活させた。加入後活躍できずカルスドルプや他クラブで伸び悩んでいたスピナッツォーラも今シーズンのセリエAのSB(WB)の中でトップレベルのパフォーマンスを披露した。

ここまでいい部分しか話していないが、解任されたのには理由がある。それは上位陣との対戦成績だ。
今シーズンと昨シーズンのセリエAはユベントス、インテル、ミラン、アタランタ、ナポリ、ラツィオ、ローマの7チームが占めている。しかしローマの上位陣との対戦成績は終盤のローマダービーでの1勝のみと勝負弱さを見せてしまった(そこがスパーズらしいかもしれないが)。これはタイトルを狙ううえでは致命的な部分だ。この内容でケインを引き留められるかは不安である。

ここまでフォンセカ招聘の可能性について考えてきたが、仮に就任した場合のスカッドを考えてみる。

まずはGKから。足下の技術に不安があるもののロリスのポジションは揺らがないだろう。一方でセカンドのハートのところには足下の技術の高い若い選手を獲得して世代交代を見据える可能性はあるが、パンデミックによる財政難ではテコ入れする余裕はなさそう。
次に問題のCBだ。誰一人として固定されなかったCBはかなりビルドアップで貢献する必要がある。中央のCBにはアンカーでも対応できるような選手を起用するだろう。フォイスに買い取りオプションがついていなければ復帰した後にチャンスが来てたかもしれないが、ビジャレアルに向かうであろう彼は来季スパーズにはいない。現有戦力でフォンセカのお眼鏡にかなうのはトビー、ロドン、デイヴィスといったところで急務の補強ポイントになるだろう。
続いてWB。フォンセカのWBとしては、コンテのようにWGをコンバートして起用するというよりは攻撃的なSBを配置することが多い。その面ではレギロンとセセニョンで左はおそらく問題はない。右はウルヴスで慣れ親しんだWBに置かれることでドハーティの復活に期待をしたいが、オーリエが退団を明言していることから補強もしくはWGのルーカスやベルフワインのコンバートが必要かもしれない。
続いては中盤について。ここのポジションは比較的テクニカルな選手が多く補強はないかもしれない。守備的なタスクをしっかりこなせるホイビュアに対してウィンクス、スキップ、エンドンベレ、ロ・チェルソを試合に合わせて組み合わせる形になるだろう。また、エンドンベレとロ・チェルソは10番的なタスクのシャドーの1角をアリとも争うことになりそう。もう片方のシャドーに関してはソンフンミンで確定だが、彼の控えとして突破力がありゴールも決められるWGの獲得はあり得るかもしれない。
最後にCFだ。ケインが残ることを前提に彼の控えが必要。ヴィニシウスは3000万ユーロの高額な買い取りオプションは行使できない。仮に彼を残すなら再レンタルになるだろう。しかし、それよりも首脳陣は将来有望なスカーレットを今後のエースとして成長させるようにフォンセカへ要求するかもしれない。

ここまでツラツラと各ポジションのスカッドについて考えてきたが、補強ポイントはCBとRWB(RSB)とケインの控えになるだろう。しかしこれはどの監督が来ても同じこと、早く監督を決めて動かないとケチなレヴィ会長の交渉ではまた取引を成立できずに苦しいシーズンを送ることになるかもしれない。

来るか来ないか分からない監督のケツを追いかけずにしっかりと監督を決め、選手の補強に動いてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?