混乱という継続路線のトッテナム
開幕3連勝を飾り今シーズンの期待感が高まっていたトッテナムだが、その後3連敗とジェットコースターのようなシーズンをスタートさせた。
しかし、ただの3連敗ではない。
1つはスコアだ。3試合クリーンシートを記録した後に3試合とも3失点と守備が崩壊をはじめた。
もう1つは相手だ。3試合ともロンドンダービーで1つは因縁のチェルシーでもう1つは最大のライバルのアーセナルだ。この結果では今週中にヌーノ監督の解任が発表されてもおかしくはない。
結果だけを見て解任を騒ぐのはフェアではない
現代のサッカーではデータ分析が進み様々な角度からチームを見た結果で物事を話す必要がある。退場者が出てしまったパレス戦、前半は互角だったチェルシー戦、後半に一矢報いたアーセナル戦とひとつひとつ振り返ってみる。
まずはパレス戦。今までの力関係でいえばトッテナムがボールを保持しながらリズムを創り、パレスがカウンターを狙うような展開が予想された。
その予想は真逆になった。
ヴィエラ新監督は若手選手を中心にボールを保持してポジショナルなサッカーを試み、一方でヌーノ監督はソンフンミン不在とはいえ中央を固めて退きながらブロックを作る守備的な4-3-3を選択。南米組のサンチェスとロメロ不在のCBとはいえシティ戦で上手くいった守備的な戦術をパレス相手にも選んだことに開幕3連勝からの期待値がかなり下がった。試合はダイアーの負傷交代やタンガンガの退場とCBにアクシデントがあったとはいえxGは2.89対0.08、シュート本数も18対2と完敗している。
内容的にも中盤のスライドが間に合わずにサイドで自由に持たれ移籍後初出場だったエメルソンがザハに齷齪し、自慢の攻撃力を出せずにそこからタンガンガの1枚目のイエローカードに繋がってしまった。
次にチェルシー戦だ。
この試合では選手層の差と監督の修正力を
見せつけられた。
前半はモウリーニョ前監督が採用していたケインが中盤に降りてゲームメークするプレーで中盤で数的優位を創り、同時にCBにズレが生まれたところにソンフンミンが走り込むことで決定機を創った。前半にゴールを決められなかった不運は多少あったであろう。劣勢だったトゥヘル監督は後半開始からカンテを投入し中盤を厚くすることでマークの相手を明確にしズレをなくした。後半開始早々のCKでの失点は不運だったが流れを見たら失点するのは時間の問題だった。その後選手を代えるも状況を変えられず0-3と完敗した。
3試合目のノースロンドンダービーでは
新SDのパラティチの補強策が悪手だと証明した。
トッテナムは前線からプレスをかけアリ、エンドンベレ、ホイビュアと比較的攻撃的な3人の中盤も前に重心をかけてアーセナルへ圧力を与えた。しかしアーセナルは落ち着いていた。なぜならディフェンスラインがオーバメヤンのスピードを嫌ってかラインを上げられずにいたからだ。比較的サンチェスは前にチャレンジする回数があったがダイアーは裏のスペースに怯えラインを下げているように見えた。前掛かりの前線とラインを下げる後ろから生まれたギャップにウーデゴールやスミス=ロウが顔を出しビルドアップの逃げ場をつくる、ラインの低いトッテナムのCBが後手に対応することで他にフリーが生まれる。後半からスキップを入れてホイビュアとスキップ2枚でライン間を任せることでカウンターは防げたが、アリを失ったことでケインがエリア内で孤立した。ブライアン投入でレギロンとソンフンミンで左を崩して一矢を報いたが終わってしまった。
パレス戦の防戦一方の試合内容、チェルシー戦の修正力、アーセナル戦での戦術と人選と上手くいっていない。さらにいえば監督人事で大忙しだったこの夏の補強策は奇しくもアーセナル戦で失敗の烙印が押された。トッテナム土壇場でRSBのエメルソンを2500万£で獲得したがノースロンドンダービーでは違いを見せられず、ノースロンドンダービーで活躍した元々のターゲットであり、トッテナムが2000£を出し渋った冨安はアーセナルが1800£程で獲得している。
監督人事、試合内容、補強策とピッチ内外で混迷を極めているトッテナムに明るい未来があるのだろうか?
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