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「若かったから」で済ましてはいけないアーセナルの実情

残り3試合まで4位をキープし、UCL出場権争いの主導権を握っていたアーセナルはノースロンドンダービーに敗れ、続くニューカッスル戦で連敗を喫するとライバルのトッテナムに抜かれUCL出場権を逃した。しかしクラブ全体として選手の若さやスカッドの薄さを言い訳に今シーズンを正当化しようとしている。この考えはアーセナルをビッグ6から転落させるほど危ういものだと危機感を持って来シーズンに臨むべきだろう。

若いチームは過去にもあった

今季のアーセナルは確かに若手を中心にした面白いチームであったのは間違いない。しかし若いチームなら今までにも結果を残している。例えばポチェッティーノ就任直後のトッテナムだ。アカデミーからケインやメイソンを重宝し、20代前半だったエリクセンやラメラを起用しながら初年度は5位、そこから優勝争いに加われるチームに仕上げた。近年でいえばランパードのチェルシーも若いチームだった。今までの遺産があったとはいえ補強禁止処分を受け、レンタルバックのマウントやエイブラハムを積極的に起用しUCL出場権を1年目で確保している。
アーセナルもサカやスミスロウといったアカデミー選手を昨シーズンから起用し、年齢の近いウーデゴールやマガリャンイスなどを補強しチーム作りをした。アルテタ途中就任だった19/20シーズンは抜きに考えても20/21シーズンは8位、21/22は5位と順位を上げたとはいえ目安のUCL出場権は獲得できなかった。競争力が年々上がっているプレミアリーグで過去シーズンの他クラブと比較することがすべてではないが若いことだけが言い訳にはならないチームはビッグ6に存在していることは事実だ。

スカッドの薄さはただの言い訳

今シーズンに限らずアーセナルのスカッド不足は言い訳できないのが現実だろう。
まず、今シーズンのアーセナルとトッテナムの補強の収支の比較だ。

アーセナルの補強の収支
トッテナムの補強の収支

売却益は同じくらいな額の一方で、買取に使ったお金は倍近くある。もちろん移籍形態よりこの金額がすべてを表しているわけではないが、アーセナルがコロナの影響等によりスカッドを厚くする十分に可能だったことが理解できる。ただスカッドが薄いことを嘆いてしまっているのは監督を含めたフロントの責務以外のなにものでもないだろう。

次に怪我人が多いことだが、これはベンゲル時代から終盤に負傷者を理由に優勝争いから離脱していたことを考えるとチームとしてメディカルに問題がないか調べることが必要だろう。特にチームの需要な役割を担っていたトーマスと冨安の離脱は何度も同じ場所を怪我をしておりチームとして試合時間の管理をしなければならなかったのではないか。つまり特定の選手に疲労を蓄積させ、酷使してしまったことによる怪我なのであれば、チームとしてそれらを防ぐことが出来たのではないだろうか。

選手たちは「若かったから」5位という順位にそれなりの評価を得られるかも知れないが、チームとしては監督の手腕、補強に対する投資の仕方、長年の怪我人の多さなど蓄積された問題を解決しなければ、正しく成長しつつあるウエストハムやニューカッスルにビッグ6の座を奪われてしまう日がそう遠くないかも知れない。

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