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なんで、英語、やるの?

3年前から少ない人数ながら小学生に英語を教えています。小3・小4ではじめた子どもたちですが、あっという間に小6・中1になりました。

私も長年仕事で英語を使ってきたものの教えるのは初めてだったので、試行錯誤しながらの3年間でした。どうやって教えるのが最適なのか、どんな教材を使えば良いか、どんなメソッドがあるのか、ずっと探し続けていました。

なかなか答えが出ないまま、中学生はこれから定期テストや高校入試があるという現実もあり、今までの理解度の確認のために、英検を受験してみることにしました。数ヶ月前から英検対策用の教材を使い、今までやってきたことをふりかえりながら過去問題に取り組んだのですが、

正直、まったく面白くありません。

答え合わせをすると、子どもたちは「あ〜、3つ間違った」「リスニング、何言ってるか、ぜんっぜん分からん」「何点取れたら合格できるん?」と、今までにない反応を示しました。

いままではどちらかというと会話中心で「間違えることを怖がらずに、どんどん使っていこう」という方針だったのですが、合格・不合格がはっきりする検定試験の対策においては、正しい答えを選ぶ必要があり、合格基準を満たすことが求められます。教える側も、教わる側も、必然的に「間違えないように」することばかり考えます。

子ども達が過去問題に取り組む様子を見ていると「実際に話す場面で聞き取れなかったら”Excuse me?” “Please say it again?” って聞き返せばいいだけやんな。」「言いたいことが出てこない場面で、自分の脳内に似た単語が4択で並ぶことなんて、ある?」と、もやもやします。英語力を客観的に測るものさしとして、ひとつの基準にはなるし、目の前に小さな目標をおいて、それをクリアしていく達成感を与えるのも大事だと思います。ですが、それを最終目標にするのは、あまりに寂しい気もしています。

英検対策の指導法についてのセミナーにも参加してみました。「なぜ英検合格のための指導をするのか」という冒頭のディスカッションで「英検合格→入試に有利(最近は高校・大学入試で英検を持っていると加点などの優遇措置がある学校もある)→有名大学に入れる→大手企業に入れる→年収1000万も夢じゃない」とスライドで示された時、大きな大きなクエスチョンマークが頭の中に浮かびました。

「そこぉ?」

Twitterのいわゆる「英語垢」の方々がTOEICや英検について、また英語を使ってのキャリアアップや年収増のツイートをされているのを見るたびに感じていた違和感が、増幅して大きな固まりになって自分にぶつかってきた気分でした。

「それが最終目標でいいの?」

たしかに、英語ができると入試に有利です。就職に有利です。キャリアアップ、年収増も見込めるかもしれません。でも英語ができることでの、もっと違う喜びや、メリットもあると思います。

私が子ども達に一番伝えたいのは「英語を使えば、自分の世界を広げることができる。世界の人たちとつながることができる。」ということです。自分自身、以前、多くの海外の人たちと一緒に仕事をしてきて、いつもそう感じていました。仕事としてそういう場面がなくても、日本を訪れる外国の方と話をしたり、自分が海外に行った時に英語が通じたりすると、嬉しい気持ちを味わえます。直接会って話をすることが少ない今でも、SNSを通じて気軽に世界中の人とコミュニケーションできる時代です。世界中に友達を作ることは決して難しいことではありません。

テストで満点、検定合格も確かに嬉しいですが「通じた!」「伝わった!」「世界の人とつながった!」という喜びも、それ以上に大きなものだということを、子ども達に伝えてあげたい。

そのためにどうやって教えていけばいいのか、どのように取り組めば良いのかを、考えていこうと思います。教え方や教材、メソッドなどのいわゆる「How・What」の部分も大事ですが、なぜ英語を学ぶのかという「Why」の部分や、英語を学んだその先にある、広い世界とつながる喜びを、子ども達に伝えることを忘れたくないと思います。そこを見せてあげられたら、どうやって勉強する、何を使って学習する、テストの点数、英検の級、なんてその手前にあるもので、軽々と超えていけるはずなので。

とはいえ、HowやWhatの部分については引き続き模索中なので、もし同じ想いで英語や英語教育に取り組まれている方がいらっしゃったら、参考になる情報をいただけたら嬉しいです。「通じる・伝わる・つながる」ための英語を身につける取り組みを、少しずつ広げていきたいと思っています。

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