虚誕解説 Part9(Remember11 Loop4)
この解説は、以下のinfinityシリーズのネタバレを含みます。
以下の作品をプレイしたことのない方は、解説をご覧になる前にプレイすることをお勧めします。
なお、このマガジンでは、Ever17についてXBox版の内容を含みません。
Never7 -the end of infinity-
Ever17 -the out of infinity-
Remember11 -the age of infinity-
時空間転移装置
榎本の説明によると、時空間転移装置は、量子テレポーテーションと時間を歪める機能を組み合わせることで時空間転移を実現します。
この内、量子テレポーテーションの方は、悟も理論上可能であると認めます。
一方、時間を歪める機能の方は、経験上認めざるを得ないものの信じられない様子です。
しかし、Ever17をプレイしたことのあるプレイヤーなら、この時の榎本の説明に既視感を抱くと思います。
実は、優春のBW召喚方法と似たようなことを言っているのです。
このことから時空間転移装置に異次元体が関与していることが推測出来ます。
[補足]BWによる時空間転移の実例をプレイヤーは経験しています。
前述した通り、ココロ空間とサトル空間は別の空間です。
しかし、同じ空間だと勘違いしているBWは、片方で観測した事象をもう片方に反映します。
これは、3次元存在にとって時空間転移と同等の現象です。
キュレイ空間は、可能性の重ね合わせの状態となる量子力学的世界です。
ゲームとしては選択肢で表現していますが、これは本来古典ビットで表現出来るものではありません。
一方、TIPSには量子コンピューターの項目があります。
量子コンピューターに使われる量子ビットであれば、可能性の重ね合わせを表現出来ます。
つまり、量子コンピューターならキュレイ空間をエミュレート出来るということです。
量子コンピューターでエミュレートするキュレイ空間は、ユウキドウ達でも俯瞰することの出来る2次元世界です。
ユウキドウ達は、丁度プレイヤーがゲームをするように操作し、テラバイトディスクで保存することが出来ます。
一方、異次元体にとって、2次元世界も3次元世界も俯瞰出来ることに変わりはなく、模倣されれば区別することは困難です。
テラバイトディスクを参考に3次元世界で2次元世界を模倣されると、異次元体は錯覚を起こし、3次元世界に召喚されます。
また、2次元世界と3次元世界がリンクすることで量子コンピューターが時空間転移装置として現実化します。
[補足]こころや悟達以外の人格交換の対象でない人物の視点に立って、時空間転移が起きた時にどうなるかを想像します。
穂樽日鉱山跡に時空間転移して来た時、サークルの外側が鉱山の内部に覆われることになります。
閉鎖空間で外に出ることはないとはいえ、窓から外を眺めただけで異常事態が起きていることに気付かれてしまいます。
これを誤魔化すためには、朱倉岳や青鷺島の空模様として違和感のない白に染めるなどの対策を施す必要があります。
一方、球状である時空間転移装置をサークルに見立てた場合、白い部屋の壁は鉱山跡の対策を施した状態と一致します。
当然ですが、時空間転移が本編中の説明通りなら、対策すべきはサークルの外側であり、サークルの内側にある部屋の壁を白く塗る必要はありません。
まるで、時空間転移装置が入れ子のキュレイ空間の場であるかのように扱っています。
X地点
Remember11のクライマックスは、X地点の雪崩です。
最初にX地点が問題化したのは、2012年のゆにが持ってきた新聞でした。
こころ達は、未来の新聞記事によって雪崩に巻き込まれることが予言されます。
時空転移がなければゆにが新聞を持ってくることもなく、こころ達がX地点を訪れることもなかったので、X地点の雪崩はユウキドウ計画によって導かれたことになります。
しかし、ユウキドウ計画に含まれていると考えた場合、不可解な点があります。
ユウキドウ計画の目標の1つは、朱倉岳組を救出することです。
そのためには、歴史をなぞって衛星電話を通じるようにする必要があります。
衛星電話までの行為は全て必然性があるので、新聞を持ってくることも当然含まれます。
しかし、逆に言えば、衛星電話の後は、必ずしも歴史をなぞらなくても良いことになります。
X地点の雪崩は、衛星電話の後の出来事です。
それぞれ協力者がいるのでX地点に向かうのを止めることが可能であり、それをしないのは救出のリスクを増やすことになります。
[補足]この時、なぞるべき歴史は、セルフを捕まえて因果のループが成立したキュレイ空間のものです。
他方、特定のバッドエンドを迎えた場合、ループが破綻することがあります。
その場合、2012年のゆにが転移してこないので、朱倉岳組が避難小屋に導かれずに墜落現場付近で息絶えたことになります。
(それに伴い、新聞記事の内容も変化します)
常識的には、時空間転移の存在しないこちらが本来の歴史のように思えるかもしれません。
しかし、キュレイ空間においては、ループの破綻によって収縮する可能性の1つに過ぎません。
そこで思い付くのが、X地点がセルフの捕獲に関係している可能性です。
X地点では、雪崩の前後で天候が急激に変化します。
一方、本編の雑誌記事によれば、朱倉岳は悪天候が続いており、晴れ間がのぞくのは午後になってからです。
雑誌記事を信用するなら、雪崩の発生する午前6時53分に晴れるのはあり得ません。
このことから、雪崩に乗じて最後の時空間転移が行われたと考えられます。
時空間転移装置は量子コンピューターであり、キュレイ空間をエミュレートすることが出来ます。
一方、infinityシリーズにおいて、キュレイ空間はBWの妄想です。
だとすれば、時空間転移装置は人格の器たりえます。
最終レベルの時空間転移時、犬伏の肉体に宿るセルフと時空間転移装置の間で人格交換が行われます。
時空間転移装置が設置されているのは、穂樽日鉱山跡の白い部屋です。
転移してきたセルフの意識は、白の世界に覆われることになります。
それはあたかも、雪崩に巻き込まれた後、死の虚無が訪れたように感じられたことでしょう。
ユウキドウによって時空間転移装置に閉じ込められたなどとは思いもよらず、永遠を過ごすことになります。
一方、時空間転移装置でエミュレートされていた人格は、犬伏の肉体に宿ります。
雪崩後の犬伏は、ココロ視点のラスト以外言葉を口にしていません。
ココロ空間とサトル空間は別空間なので、サトル空間では犬伏の人格は観測されていないことになります。
ここに別人格が宿っていると解釈する余地があります。
犬伏の肉体に宿ったのが、具体的に誰の人格かは不明です。
こころかもしれませんし、ユウキドウの妹の沙也香かもしれませんし、穂鳥かもしれません。
いずれにせよ、ココロ視点のラストとは別の未来を迎えます。
[補足]仮に、テラバイトディスクの循環を利用することによって、ココロ空間ではBWが捕らえられてサトル空間がエミュレートされ、サトル空間ではセルフが捕らえられてココロ空間がエミュレートされるとすれば、異次元体を捕らえる循環的な因果のループ(ダビデの星、α空間を加えればソロモンの星)が成立します。
こころの籠女という言葉は、囚われの身であることを暗示するかのようです。
ただし、Remember11では描かれていないので、参考として挙げるに留めます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?