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時計を買わせた話。

大々的に宣伝されてはいないようだが、
今BREITLINGブティックに来店予約をして試着をするとノベルティをプレゼント!
とのキャンペーンが開催中なのをご存知だろうか?

一応顔は隠すことに。戴いたキャップ!


公式LINEからそのようなお知らせが届き、
そういえば今年の新作も見れてないし、ちょうど時計に興味を持ち始めた後輩がクロノマットやアベンジャーみたいなゴツくて男らしいのが好み!と言っていたので、
後輩を引き連れてBREITLINGブティック表参道にお邪魔してきた。

後輩は時計店自体が初めての来訪。
まずは一通りのモデルをぐるっと眺めながら、簡単に説明してまわった。
ここ数年でダイヤルカラーも豊富になり、仕上げもより洗練されてそのどれもがキラキラと目映い輝きを放つ。

以前もご対応いただいた担当の方と共に、
いくつかのモデルを見させていただいた。

まずは私自身も大注目、そして後輩の本命であるクロノマット。
今年の新作であるチタンクロノマットは並べて比較しないと、いや比較したとしてもチタンとは思えないほど美しい輝き。
一昔前の鈍色っぽさはまったくない。
持ってみればその差は明らかで、本当に軽い!

写真撮ってなくてすみません…実機は商品画像より格段に"チタンらしくない"輝きっぷりです。
ダイアルのグレーも縦筋目仕上げで程よく光を反射しキラキラと輝きます。


ちなみにグレード5チタンというのは
Ti-6Al-4Vらしい。
チタンに6%のアルミニウムと4%のバナジウムを混ぜたチタン合金だ。
この合金は航空機材料にも使用されているとても優秀な材料。

一般にチタンの比重は鋼の6割ほど。
そのうえ比強度は鋼を超える。
機体重量を少しでも減らしたい航空産業にとっては夢の素材…なのだが、
機械加工が困難であり価格も高いことから、頻繁に使われ出したのはここ最近の航空機だ。

当然研究による材料の進化もあるだろう。

従来機では油圧系統の配管に鋼材を使用していたが、
ボーイング787やエアバスA350といった最新鋭の飛行機ではふんだんにチタンを使用。
その上、充分な強度を持っていることから圧力を上げることができ、
パスカルの法則…簡単にいうと圧力を上げることで断面積を小さくできることから、
油圧系統のアクチュエーターを小さくできる。
結果、かなりの重量軽減に繋がっている。

最新鋭機でいえばもうひとつ、CFRPの採用も重量軽減のひとつだ。
カーボンファイバーを積層し、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、いわゆるレジンを流し込んで押し固めたもの。
胴体部分のガワのほとんどはCFRP。
しかし強度が必要な部分についてはやはりチタンや鋼を用いている。

ちょっと話が脱線したが、近年どんどん増えているチタン製時計の進化は
材料と加工技術の進化によるもので、まさに現代だからこそ作れる時計なのだ。

(ちなみにTiにAlを添加すると軽くなり、弾性限度が上昇する。
しかし6%以上添加すると加工性が悪くなる。そのためVを添加している。
Vを添加すると引っ張り強度、硬度、耐衝撃性を良くし靭性が増す。)

あくまでわたしの専攻は電気電子で、これまで述べた材料の話は航空機材料で学んだ話なので専門家ではないことにご留意を。


軍事や航空宇宙業界で作られてきた素材が今、あなたの腕にも乗せることができるというのは感慨深い。

…しかし、チタンクロノマットは160万ほど。
さすがに後輩の初めての一本に激推しするわけにもいかなかったが、
ネットで見て「カッコいい!」と思った時計を実機で触れて、クロノマットを基準として他の時計と天下一武道会をシュミレーションしてもらえば、
おのずと時計選びのゴールが見えるはず。

わたしもかなり好みの時計…
チタンはまだ持っていないし、純粋にカッコ良すぎる時計だが…

時計を買う。完結編をまだ投稿していないのであれなのだが、結論某クロノグラフを買ったばかりなのだ。笑

お次はわたしのターンで、数年探し求めているGMT。
新作のナビタイマーGMT…これは実機を見れて本当に良かった!

昨年はクロノマットGMTが出て、今年はナビタイマーGMT。
プレスの時点では3針ナビタイマーにGMTが追加されたんだ~くらいであまりしっかりと見ていなかったが、
実機を見ていろいろな発見が。

特に推しはアイスブルー。
ダイヤルカラーが華やかになったのもここ数年の技術向上によるものだが、
やはりジョージ·カーン氏がCEOになってからのBREITLINGはかなり変わった。
昔のままならありえないだろうなと。

7連ブレスも滑らか!

他にもカラーバリエーションはあるが、
注目すべきはダイアルの仕上げだ。
24時間表記の内側は一段下がっており、外側にアプライドインデックス、そして
ナビタイマーといえばの計算尺がついたベゼル連動の見返し部となっているが、
絶妙に色味を変えることでより表情が豊かになっている。
ダイアルは目映いサンレイ仕上げだが、計算尺は細かな数字があるのでマット仕上げに。
実に華やかで素敵な一本だと思う。

唯一の懸念は…やはりナビタイマーなので、防水性が30mと少し心許ない点。
わたしはGMT機能をそのまま機能としてガッツリ活用したいので、
海外でビーチやプールに行く際にも着けていたいのだ…

その点ではクロノマットGMTがガッツリ使い倒せる有力候補。
いろいろと検討しながら、資格拡張の記念に購入するGMTを見つけることにしよう。

初めて来店予約のうえでブティックを訪れたが、しっかりと時間を取って対応していただけるのはとても有難い機会だった。
もし購入を検討しているとか、
気になるモデルがあるとか…
そういう際は予約をして訪れることをオススメしたい。
わたしも実に良い経験になった。

ご対応いただいたスタッフさん、今回もありがとうございました!

で。
その後も近辺のブティックを散策しながらとにかくいろいろな時計を眺めて…
事前に後輩の好みや予算感はいろいろと聞いていたので、実は現実的なバランスでドンピシャなモデルを一本、提案していた。

とはいえ私自身も実機を見れてはいないのでワクワクしながら某店に。

その時計とは?
NORQAINだ。

時計好きならばご存知、新進気鋭の最注目ブランドの筆頭だろう。

創業10年にも満たないノルケインを今所有している…
いまはまだ一部の時計好きにしか認知されていないかもしれないが、
今後その価値は間違いなく上がっていくであろうことを確信している。
(価値、とは価格のことではなく、所有する喜びのことだ)

そのバンド、デビュー前から応援してて幻のEP持ってるぜ!的な。笑

で、現行のノルケインは独自素材のノルテックを開発し、
ケニッシ社とパートナーシップを締結し、とゴリゴリ成長を続けている段階だと思う。
当然価格もどんどん上がっているわけだが、
今だから買える汎用ムーブメント時代のモデルがあるのだ。

わたしは正規ブティックでの購入体験も強くオススメするが、
ノルケインを扱っているのはまだ一部の代理店だけ。
それに汎用ムーブメントならオーバーホール時にもある程度選択肢があるので、
代理店に拘るメリットよりも、購入価格を抑えてまずは機械式時計の楽しさを知ってもらうほうが良い選択だと考える。
業界では超有名な並行輸入店なのでその辺の信頼もバッチリな…そう、あのお店だ。笑

並行輸入店の面白いところは、様々なブランドを一挙に見ることができるところ。
中古品も扱っていれば、現行にはない思わぬ発見もあるだろう。
ちょっとした宝探し気分が味わえる。

一通り見て、いよいよお目当ての一本を。

後輩が腕に乗せて程なくして
「買います」

!?
鱗滝さんもビックリの判断の早さ。
ちょ、ちょい待てよと制止して、わたしが気になった点を指摘する。

型番が同じものがもう一本あったので、いずれも新品だが製造日の違い等、要はより状態の良い方がよいので確認をお願いした。

よくよく見てみると、実はブレスレットに若干の違いがあったのだ。
どちらが新しいタイプかはわからないが、
片方はブレスの中央がポリッシュで他はサテン仕上げ、そしてバックルにはNORQAINの文字とノルケインマークが。
もう片方はさらにコマのサイド部分がポリッシュになっており、バックル部はノルケインマークのみ、ここもポリッシュ仕上げだ。

店員さん「サテンのほうが指紋が目立たなくていいですよ」

いやいや待て待て。明らかに後者の方が仕上げに手間が掛かっているだろう。
武骨で大盤なクロノグラフだが、基本的にサテン仕上げのなかラグのエッジ部分はポリッシュでキラッとしていて、
ブレスもセンターだけポリッシュで仕上げ分けされているわけで、
さらにブレスのサイドもポリッシュのほうがよりメリハリが出て高級感が出る。
と、わたしは感じた。

結果的に彼は後者を選んだ。うん、間違いない!

そしてコマ詰め…ちなみに彼の手首はわたしよりも細い。
わたしが16.5mmなのでなかなかの細腕さんなのだ。

まさかの調整コマ全抜きでジャストフィット。
わりかしコマの一つ一つが大きいので心配だったがなんとか合ってよかった。

ちなみに調整後の時計はわたしの腕に通せなかった。手が入らなかった。笑

そうしてひっそりと機械式時計デビューを果たした青年が誕生した。
24歳でノルケイン、機械式クロノグラフ。
これは将来大物になるぞ…!

他人から見たらこんな感じだよーと雑に撮った写真なのでご了承を。

わたしもなにか一本欲しくてたまらない気持ちになったが、試験が終わるまでは我慢しよう。
我慢できる大人になろう。笑

おせっかいかもしれないがその人の予算や好みに合った時計を提案したり、
一緒に時計を見ながら細部について談義するのは新たな楽しみだった。

次はわたしの番。

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