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代表の有名なチャントを巡るカルめのお話~応援の声に飢え気味なあなたへ【Short Letter】

この文章は2021年8月6日に行われた東京五輪の三位決定戦よりも前に記述していることをご容赦願いたい。
なお、試合の結果はご存知だろうし、それ故にここでは特に記載はしない。

先日の五輪準決勝のスペイン戦を途中から観ていて、これで勝てたら絶対に痛快だよなあ、と思っていた。ボクシングの終盤のラウンドみたいな様相を呈し始めていたので、勝機があるかも、とちょっとワクワクした。

こんなツイートをしてしまう程度には、少年じみた期待に胸を膨らませていたのである。

だが……そうは簡単にことなんか運ばないよね。

こんなツイートをしてから程なく、決勝点を決められた。17年前の予感は当たったが、今回は違ったらしい。

ただ、こういう時に声がないのは、何だか少し物足りなさを覚えてしまう。喜び、驚嘆、落胆。何であれ声はあってほしい。

だが、ない。

無観客故に声や歌による応援がないことはみんな知ってるんだから、それを言っても仕方がないだろうなあ……と思いはしたものの、やはりスタジアムにあるべきものがないのは、ちと寂しい。

無観客である以上、残念ながらメキシコとの三位決定戦でも声や歌による応援はないが、それがあるものだと想像しつつ、熱狂と共に試合を観てみるのもいいかもしれない。


そういう前置きを踏まえて、何を今更、という話をするので、しばしのご容赦を。

皆さんはこの曲をご存知だろうか。サッカーの、特に応援に関わる方なら、大概は聴いたことがあるのではないか。

「Safety Dance」などの曲で知られるポップスユニットのMen Without Hatsが1987年にリリースした楽曲「Pop Goes The World」だ。

これ、タイトルや歌メロだけ聴いてもピンとこないかもしれないが、イントロのフレーズとかを聴けば「ああ!」ってなる人は確実にいると思う。

「おお!バモニッポ~ン!ニッポン、ニッポン、バモニッポ~ン!」というあれだ。

代表の応援だけでなく、各チームの応援でもしばしば聴かれる。我らがガイナーレ鳥取でも採用していて、私も応援活動をしていた頃には何度となく歌ってきた。

歌詞がシンプルに「おお!バモ〇〇!〇〇、〇〇、バモ〇〇!」の繰り返しでしかないので、採用しやすいというのもあるだろう。多くのチームで聴かれるものとなっている。


このように歌メロはちっとも有名でないが、間奏のフレーズだけはやたら有名なこの曲について、私はと言うと、実はサッカーとは全く無関係に日本で出回り始めた頃から知っていた。

昔、テレビ朝日系列で放送していた、小林克也さん司会の洋楽のビデオクリップを紹介する「ベストヒットUSA」という番組で見たと思う。まだビデオデッキを持っていなかったので音を録音した覚えがある。
時期的にも1987~88年頃だったと思うので、恐らくこの曲がリリースされた頃だったんじゃないか。
この頃は、特にFMラジオの放送をカセットテープに録音する、エアチェックというものをしていたのだが、それをこの曲に関してはした覚えがない。
なので、恐らくテレビで見たのが最初のはずだ。

ともかく、手段がどうだったかはもう覚えていないが、この曲を知ったことによって、長らく愛好する作品となった。

しかし、まさかそれなりに時期を経た後、それがサッカーの応援に転用されているとは知る由もなく、更にそれを自分でも歌うことになろうとは思いもしなかった。


今、私は観戦はするものの、応援の現場にはいないので、もうこの曲を歌うことはなくなった。
それはそれで寂しい気もするけれど、サッカーの応援が続く限り、声が出せる御時世に戻っていけば、またこの歌がスタジアムに響く日々が戻ってくるだろう。

実際のところ、その日を待ち遠しく思っている。私は結局のところ、病気などを理由に応援活動こそ止めたものの、サッカーの現場に足を運びたがるサポーター気質のある人間なのかもしれない。


ところで、政府などの尽力もあり、出遅れたの何だのと言われつつも、次第に日本国中にCOVID-19に向けたワクチンが行き渡ろうとしている昨今の情勢だ。
そうしたこともあって、この歌が再びスタジアムを揺らす日は近いのかもしれないと感じている。

もしその時にあなたがスタジアムにいるとして、歌える人は、サポーターが合唱するのに合わせてワンフレーズ程度でも良いので、一緒にこの歌を歌ってみてほしい。
現場での一体感を醸成するには、これ以上はないファンファーレだと思うから。

おお!バモ〇〇!〇〇、〇〇、バモ〇〇!

たったこれしかないフレーズで、情報量も飛び抜けて少ないが、だからこそ訴求力は段違いだと思う。
この曲などは、むしろフレーズそのものの強さが、情報量の少なさを明らかに凌駕する一例だと思っている。これだけの僅かなフレーズながら、何処までも訴えかけてくる強いメッセージ性を感じてしまうのだ。


なるべく早い時期に、例のワクチンが国中に行き渡ると良いのに。そうすれば、またスタジアムで声が出せるし、その声を聴ける日々が来る。

我々はCOVID-19の効果で、抑制の効いた日常に慣れっこになってはいるのだろうけど、その一方でやはり本当は、もう少し自由度の高い日常が恋しく思うのだ。

そんな日が一日も早く、我々の元に戻ってきますように、と願わずにはいられない。

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