サッカーを愛する皆さん、御機嫌如何でしょうか?【Short Letter】
かつては東京12チャンネルといったテレビ局で、今で言えばテレビ東京の看板アナウンサーだった金子勝彦さんが、三菱ダイヤモンドサッカー(上の動画などがお馴染み)やJリーグ中継などで、冒頭に言う台詞がある。
サッカーを愛する皆さん、御機嫌如何でしょうか?
このフレーズを聞くと、妙に安心するし、これからサッカーの試合が始まるぞ、とワクワクし、興奮を隠せない状態となる。
金子アナのインタビュー記事はこちら。界隈では非常に有名な「ごはん、ときどきサッカー」に登場されている。
最近、こういう定形の言葉を番組の冒頭などに言うアナウンサー、あるいは司会者がいなくなったのではないか。
サッカーでなくても、例えば歌番組の有名どころだと、昔TBS系で放送していた「ロッテ歌のアルバム」で司会の玉置宏さんが常に冒頭に言っていた「一週間のご無沙汰です」みたいな名文句はつとに有名だろう。
あるいは、タレントとしても名高い愛川欽也さんが司会した番組でよく言っていた「お待っとうさんでございました」みたいなヤツだ。あれも大変に有名だし、どんな番組だろうと思ってしまう。
そういう定形のフレーズを述べてから、話を進めていくスタイルの人をあまり見なくなったような気がする。昔のアナウンサーや司会者には多かったような気がしているのだが。
スタイルとしては、なるほど古典的かもしれないが、ある程度の年齢になってからスポーツ中継とかを見た場合、そういうのがあると、何故か安心してしまうのだ。
実は私が不勉強にして知らないだけで「今でもそういうスタイルのアナウンサーはたくさんいるよ!」という人もいると思う。
サッカーだと、倉敷保雄さんや下田恒幸さん、桑原学さんなどが、そういうスタイルを採り入れているかもしれない。
だとしたら、私が悪いことなので本当に申し訳ない。私の不勉強を嘲笑しておいていただければ良い。
ともかく、冒頭に定型文を述べるスタイルは少なくなったように思える。特に地上波テレビ局のアナウンサーには。
どう言ったら良いのだろう。やはり金子アナウンサーの「サッカーを愛する皆さん、御機嫌如何でしょうか?」などは「視聴する側のスイッチが入るきっかけ」というのが適切なのかもしれない。
実況解説する側にもそうだろうけれど、視聴する側もああいう一言によって気持ちが入るというか「よし、これからこの楽しそうな試合をじっくりと見てやるか」と思ってしまう。
競馬実況などには、流れの中での名フレーズがよく登場するし、これはその他のスポーツ実況でもしばしば登場する。もちろん、サッカーにだってあるだろう。
ただ、そういうものは意図して発せられることはなく、多くの場合、狙って発したものは失敗に終わるケースが多いようだ。
何故って、スポーツの事象は概ね予測が困難で、先が読みにくい。これが例えば、体操のように事前に技の組み立てがある程度明確な競技ならまだともかく、球技などは特に難しいだろう。
だから事前にフレーズを用意しておいて、というようなことは難しいんじゃないかと私は思ってしまう。
たまたま用意したフレーズがうまくハマったとしても、それで視聴者の共感が獲得できるのかどうかは、また別の問題だと思う。
以上を踏まえて、スポーツ実況を頻繁に担当するアナウンサーの人に、一つ提案があるのだけど、番組の冒頭に何か定形のフレーズを一つ挟んでみては如何だろうか?
これからそのスポーツが始まるぞ、という合図の代わり、みたいな位置づけで、そういうフレーズを口にするのだ。
もちろん、現段階で自分は既にそれをしている、という人は、これからも続けていただければいい。
今、そういうことをしていない人に、特にお勧めしておきたいのだ。それをやると、見る側もその気になりやすいし、これから中継するスポーツの世界に引き込まれやすい。
何より、実況解説する方が大いにやりやすくなるのではないだろうか。そのアナウンサー個々人のアナウンスの特性まで変化させられないにしても、その競技に見る側が集中しやすくなるだろうと思う。
なので、ぜひ一度だけと言わず、できればある程度の期間、継続してやってみてほしい。きっと印象が異なって見えてくるはずだから。
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