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ガザ地区の停戦案とその後どうなるか

イスラエル軍によるガザ地区での攻撃が続くなか、5/31にバイデン米大統領は、イスラエルがハマスに示した新提案を演説で公表しました。

今回の新停戦案

今回の新提案では、以下のとおり3段階で進める案となります。

第一段階:6週間停戦。ガザ地区の人口密集地よりイスラエル軍が撤退
     イスラエルはパレスチナ囚人釈放
     ハマスは高齢者や女性の人質解放
第二段階:イスラエルはガザ地区から軍撤退
     ハマスは男性兵士含む残りの人質解放
第三段階:ガザの再建

バイデン大統領いわく、今回はイスラエルが出した案ということなので、当然イスラエルは賛成するものと思われますが、イスラエル側は人質返還ハマス壊滅という当初の目的を変えておらず、「すべての目的を達成するまで戦争を続ける」と表明しており、本当にイスラエルが提案したものなのか、よく分からない状況。

一方で、ハマスは「肯定的に受けとめている」とコメントしており、交渉に前向きな姿勢を見せています。

今回の内容において、第一段階は前回決裂した案とほぼ同じ内容となっており、さらに人質解放の人数等は明確になっておりません。
また、最も重要なのは第三段階で、今後のガザ地区をどう統治していくのかが何も述べられていないところは問題だと感じます。
今後もハマスが統治するのであれば、イスラエルからすると戦争前と状況が変わらず、また襲撃を受けるリスクを残したままとなります。
ここの部分を曖昧にしていては、これからもずっと報復の連鎖となり、パレスチナ問題がずっと変わらないままとなると感じます。

これからのパレスチナ自治区

私は、今回イスラエルが攻撃を続けても、おそらくハマスは壊滅しないと思っています。なぜなら、ハマスの指導部は既に外国に逃げていたり、地下に潜っており、いくら攻撃しても犠牲になるのは民間人となっているからです。
イスラエルがハマス壊滅を掲げて戦闘を続けても、目的は達成できず、イスラエルに対する憎悪を持ったハマス予備軍が増えるだけになってしまうと感じます。

そのような状態でこのままイスラエルが攻撃を続け、その後パレスチナ自治区をイスラエルが統治することは不可能だと思うし、報復の連鎖が繰り返されてしまうと思います。
一方でハマスがこれまで通り統治したとしても同じで、報復の連鎖は繰り返されると思います。

私は、これからのパレスチナ自治区は、ハマスのような武装組織ではなく、国連が認めたパレスチナ人による政府を立ち上げるべきだと思います。
オスロ合意のとおり、パレスチナとイスラエルの共存を両者が認め、さらに国際社会もそれを支援していくべきと思います。
そして、歴史を繰り返さないように、国連が中心となって、イスラエルによる入植が行われないように厳しく監視していくことも大事だと思います。

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