見出し画像

写真展『ここで種を蒔く』

幼かった頃、両親が共働きだったので、学校から帰るといつも祖父母と過ごしていた。
祖父は、朝早くから畑仕事に精を出し、祖母は夜遅くまで薄暗い明かりの下でミシンの内職をしていて、一日中休むことなく働いていた。
祖父母からはいつも土の匂いがして、僕はその匂いが好きだった。

実家を離れて生活するようになり、写真に興味をもつようになってから祖父母にカメラを向けるようになったことはごく自然なことだった。
あるとき、ファインダーを通して祖父母と娘を見ていると、自分の幼い頃にタイムスリップしたような感覚を覚えた。懐かしさとともに、湧き上がる祖父母に対する幼き日の想い。それは僕を今まで支えてくれていた記憶だった。

この写真は祖父が亡くなり、その後次女が生まれ、長女が小学生になるまでの家族の記録だ。
子どもの頃から永遠に続くと思っていた実家の景色も祖父を失ってから、少しずつ変わっていっているけれど、祖父が残した畑に立つ祖母の姿だけは今も変わっていない。

僕は、祖父母が僕のカメラの前に立ち、伝えようとしてくれることを娘に伝えたいと思う。
いつの日か訪れる実りの日を待ちながら。

画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

画像16

画像17

画像18

画像19

画像20

画像21

画像22

画像23

画像24

画像25

画像26

画像27

画像28

画像29

画像30

画像31

画像32

画像33

画像34

画像35

画像36

画像37

画像38

画像39

画像40

画像41

画像42

画像43

画像44

画像45

画像46

画像47

画像48

画像49

画像50

画像51

画像52

画像53

画像54

画像55

画像56

画像57

画像58

画像59

画像60

画像61

画像62

画像63

画像64

画像65

画像66

画像67

画像68

画像69

画像70

画像71

画像72

画像73

画像74

画像75

画像76

画像77

画像78

画像79

最後までご覧いただきありがとうございました。これらの写真は、僕が撮り続けている祖母と娘の写真を現時点でまとめた『未完』の作品です。家族の形は時間とともに変化し、その中で関係性も少しずつ変わっていくと思うけれど、きっと変わらないものがあると信じて、これからも彼女たちにカメラを向けていこうと思います。

いつかすべて写真になる日まで。  2020年6月 川原 和之




この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?