オンライン学会の技術サポートをやってみた

Online Synaptic technologyの小瀬(かずゆき・かーず)です。

2020年11月現在、北海道では100人近い検査陽性者が確認されるなど、まだまだCOVID-19禍は続きそうな予感がします。

例年6月頃には多くの学会大会が開催されるシーズンではありますが、COVID-19禍の影響で開催を断念、あるいはオンラインでの開催を行う学会団体も多く、「オンラインでの学会開催をしたい」と依頼をいただき、技術サポートを行ってきました。

今後の備忘録としていくつかのポイントを残しておこうと思います。(一部個人的なノウハウもあるため、全ては公開していません)

1.開催概要

開催期間は2日間、申込人数は200人強、ピーク時の参加者数は170人弱の参加でした。

今回はオンライン参加のみ、事務局数名のみ同一会場に集まって学会の進行を行うスタイルでの実施。事務局は会場キャパシティの1/10ほどの部屋に集まり、マスク着用、アクリルセパレータで区切って感染症対策実施しました。

オンライン会議システムには「ZOOM」を利用、大人数オプションを使用し、ウェビナーモードは使用しませんでした。

1日目は基調講演、各種表彰、複数のテーマに分けて分科会のディスカッションを実施、夜は懇親会を目的とした「オンライン飲み会」を開催しました。

2日目は10数演題の発表を1トラック(1ルーム)にて実施、夕方には複数のブレイクアウトルームに分けてポスターセッションを実施しました。

2.準備

開催の2ヶ月前に、おおよその開催概要を受け取り、大会開催のための必要要件の設定を行いました。

他のWeb会議システムと比較し、使用比率も高く、すでに使い慣れている参加者も多いと思われましたが、念のため学会で必要となるであろう操作について、その操作をまとめたマニュアルを作成し配布を依頼しました。

また発表者の先生方は、画面共有によるスライド投影が必要になるため、画面共有の操作やポイントに関する「発表者用マニュアル」を作成し配布することとしました。

加えて、画面操作に不安のある先生からはPowerPoint資料をお預かりして万が一の場合には事務局にて画面共有を行うように準備しました。

加えて、操作接続に不安のある先生方に慣れていただくため、事前の接続テスト日を設け、問題なく接続ができるか、テストを行いました。

3.学会当日

学会の当日は、使用施設のセキュリティ制限から、施設の有線LANに接続可能なパソコンを大会事務局メインPCとして、自身の持ち込みパソコンは別系統のネットワークから接続してトラブル時の対応に備えることとしました。

会場メインPCにはホスト権限を設定、サブPCおよび他事務局のPCには共同ホスト権限を設定し、万が一のメインPCダウン時にもすぐに復旧できるよう設定しておきました。

申込人数は200人強、1日目の参加者数はピーク時は170人弱だったと思われます。これは他オンラインイベントでも同様かと思われます。

4.学会運営で難しかったこと

学会大会の開催で難しいポイントは3つのポイントがあげられると考えられます。

4-1.参加者のITスキルのばらつきをどうするか

COVID-19禍以降、テレワークやその他オンラインツールを用いたコミュニケーションの利用が増えてはいるものの、まだまだツールに慣れた人も多いとは言えず、少なからずトラブルが発生します。

ITツールに苦手意識がある、あるいは使えない参加者をどこまでフォローするかは永遠の課題となりそうです。

4-2.質問の受付方法

本学会においては「ZOOM」のチャット機能を用いて、質疑の受付を行いました。

チャット機能を用いた質疑応答では質問を取りこぼす可能性がない、音声が明瞭でなくても質問を受け付けられるというメリットがある一方で、チャット機能操作が困難な参加者、例えば操作がわからない、あるいは不安がある参加や、タブレットやスマートフォンのように文字の入力がやや煩雑と感じる参加者にとっては、質問しづらかったかもしれません。

そのためか、質問もやや一部の参加者からの質問が多かったようにも見受けられました。(もちろん、対面の参加であったも、多く質問をされる参加者であった可能性もあるので、この限りではないと思われます)

4-3.演題発表におけるタイムキープ

今回の学会では、質疑応答の時間が十分に取られていたこと、また発表の間の休憩時間も十分に設定されていたことから、発表時間が大きくずれるといった事態は発生しませんでした。

技術的に不安のある発表者に対して事前のフォローを行うことで、発表開始時のタイムロスを最小にする。発表時間タイマーを画面に表示することで、残り時間を意識していただくといった工夫によって発表時間を適性に管理できたこと。

また、チャットによる質問受付は、事前に質問が受け付けられることから、発表者が目視によって確認した上で返答ができるため、簡潔に対応できるというメリットもあったように思われます。

5.オンライン学会のメリット・デメリット

オンラインで開催するメリットとして、COVID-19禍においては感染リスクを限りなく0に近づけられるということがそのメリットとして挙げられます。

また、遠方から参加する場合には旅費やそのための休暇取得といったことも不要となります。今回対応させていただいた学会では、「例年の会よりも学生の参加比率が高かったようだ」という報告がありました。

オンライン授業の対応などにより、学生にとってオンラインツールの使いこなしのハードルが低いこと、またオンサイト(現地)で開催される学会と違い「費用がかからない」あるいは「費用を抑えられる」学会であればその参加への興味が上がると推測されます。

主催者に取っては、会場の設定や準備する抄録など資料の量、あるいは懇親会の手配など、実際の参加人数によって左右される不確定な要素の問題を最小限にできるというメリットがあると思われます。

一方、デメリットもないわけでなく、オンライン参加に抵抗感がある参加者には参加しづらい学会であること。

また、オンサイトの学会と違って、発表後にちょっとした質問がしづらい、あるいは、懇親会などでのカジュアルな会話もしづらいというのはまだまだ慣れが必要かもしれません。

今回は準備期間や打ち合わせにも限りがあり、詳細な要望全てに答えられたわけではありませんが、これをベースに今後さらなる提案が行えそうです。

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