さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(21)

1月3日。
母はとりあえず、
新年を迎えることができた。

ドラッグストアでおむつとパッドを買って、
病院に持って行く。
おむつ代は、医師に使用証明書に記入し、
6ヵ月以上使用が必要となる場合は、
医療控除の対象になるらしい。

先日市役所に行ったときに、
一応証明書の書類はもらったものの、
医師から聞かされている母の余命を考えると、
なんだか無意味なものに感じて、
そのまま放置していた。

まだ三が日も明けていないし、
もしかしたら、前回と同様、
特別に面会させてくれないかなぁと
淡い期待を抱いていたが、
同じ柳の下に二匹目のドジョウはいなかった。

看護師さんに母の様子をたずねると、
「昨日はまた熱を出していたんですが、
今日は熱も下がって、しゃべってますよ」
とのことで、少しほっとする。

一方、12月30日に無事に日本に入国し、
現在、アパホテル横浜ベイタワーで
待機中の夫は、ようやくホテル待機も
折り返し地点まできた。

12月31日に、牛乳やフルーツ、
お菓子類などを差し入れに行ったが、
要冷蔵のものは受けられない、と
牛乳は返されてしまった。

部屋には冷蔵庫があるのだが、
スタッフ不足で、部屋に届けるまでに、
時間がかかってしまうことがあり、
その間、食品の品質を保つことが
できない場合がある、
というのがその理由。
本来常温保存でも大丈夫なはずの、
UHT殺菌(超高温殺菌)されている
日本の牛乳が、そうそう簡単に腐るとは
思えなかったが、
口論するには、少々疲れ過ぎていたので、
おとなしく牛乳を持ち帰った。

日本に帰ってきてから、
いろいろ、腑に落ちないこと、
納得いかないことも多いけれど、
労力を惜しむが故に、
飲み込むことも多くなってきた。
こうやって、私もふつうの日本人に、
近づいていくのだろうか。


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