さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(30)

1月25日。
痰の吸引の講習を受けに病院へ。
ティッシュ5箱ちゃんではない、
私が勝手に親しみやすいと感じている
看護師さんが担当で、ちょっとほっとする。

口からの吸引はさして難しいことはないが、
鼻からの吸引では、
15センチも挿入しなければならず、
抵抗を感じるとおっかなびっくりで、
それでもなんとか、奥に入れられる場所を
手探りしながら挿入する。
苦戦しているうちに、
母の目に涙がたまっていくのが、
痛いと言われるよりも辛く、
申し訳ない気分になる。

機械がきたら、まずは自分の鼻で、
そして家人の鼻で試してみなければ。

3週間ぶりに会った母は、
ぜいぜいと息も苦しそうで、
私には、逝きたがっているように見えた。
点滴の管、尿管、酸素吸入の管、
バイタルをとるための色とりどりのコード。
そういったもので、
この世につながれている母は、
自宅介護に切り替わったら、
少しは楽になるのだろうか。

今回の退院の目的は、
「看取り」という一方通行のものだから、
訪問医療のチームもきっと、
延命よりも快適な最期を念頭に
対処してくれることだろう。
「もう少しのがまんだよ」と
言うべきか言わざるべきか、考えながらも、
「大丈夫だよ。家で待ってるよ」と
無難な声がけで終始してしまった。

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