さよならだけが人生か。でもさよならにも言い方がある。(03)

11月17日。
母の体温は36℃台に下がって、
からだも昨日よりは少し動くようだ。

好評のパン粥と栄養ドリンク、
ヨーグルトの朝食を自分で食べる。
が、目を閉じて食事をする習慣は、
そうかんたんには直らないようだ。

午前10時に訪問看護の看護師さんが到着。
熱が上がっていて心配に。
昼食は先日スーパーで買いだめしておいた、
キューピーのレトルトやわらか食とお粥、
そしてやわらかく煮ておいた大根とかぼちゃ。

車椅子からトイレの便器に抱きかかえて座らせる
介助動作がきつすぎて、腰ががくがく。
「私自身の身体がもつかどうか、自信がないよ。
私どうしたらいいんだろう」
と思わず、母に弱音を吐いてしまい、
その後に激しく後悔することになる。
車椅子のなかで行き場もなさそうにうつむく
あのときの母の申し訳なさそうな顔は
きっと一生忘れないと思う。

食事の後、録画しておいた朝ドラを一緒に見る。
このときは、そんなことは知るよしもなかったけれど、
母と一緒に観た最後のテレビになってしまった。

午後2時15分、訪問リハさんがきて、
トイレ介助の方法などを教えてもらう。
とはいえ、そうそう簡単にはいかないのだ、素人には。
リハのあと、母はグッタリと疲れたようで、
どら焼きもどきのおやつを食べ始めるが、途中でうとうと。
夕方に仮眠をとり、訪問眼科の先生がやってきても、
ベッドの上で受診。

自宅でベッドに寝た状態で、
眼圧まで測定してもらえることに感心する。

私自身の身体を考えて、深夜から朝5時までは、
トイレ介助はせず、オムツを使ってもらうという、
取り決めで、母と合意する。
久しぶりにまとめて5時間眠らせてもらった。

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