見出し画像

「生理にキラキラしたイメージもさわやかなイメージも必要ない」2020年のあの炎上から、生理用品のCMは変わったのか?

こちらの記事は2020年8月に別サイトで書いた記事を加筆修正したものになります。

まだフェムテックという言葉がそこまで浸透していなかった2020年「生理は個性」と打ち出した花王のプロジェクトがSNS上で批判が巻き起こったことがある生理を「個性」と表現したことが原因だった。

以下は2020年8月に書いた記事をそのまま掲載しています。(最後のまとめは2024年に追記)

生理を「個性」で片づけてはいけない

確かに生理は「個人差」が大きいのは事実だ。同じ女性同士でも、他人の生理の辛さを理解することは難しい。生理痛一つとっても、まったく痛みを感じない人もいれば、たまに鎮痛剤を服用する程度の人もいれば、鎮痛剤を服用しても日常生活に支障をきたす人もいる。

ちなみに鎮痛剤を服用しても日常生活に支障をきたすレベルであれば、それは何か婦人科系の疾患が隠れている可能性があるので、一度婦人科を受診した方がいい。

生理の不調には何か疾患が隠れているかもしれないし、そこに不妊の要因があるかもしれない。そういう意味でも生理を「個性」で片づけてしまうのは問題である。この点に関しては、もう既に多くの婦人科の医師が発信されているので、今更、私がどうこういうレベルではないのだが・・・

ただ、私達は「生理」についてまともに学ぶ事なく大人になってしまった。今の自分の生理の状況が果たして婦人科に相談に行ってもいいのか?医師に一瞥されて終わってしまうのではないか?そんな不安を感じている人も少なくないのではないかとも思う。

というのも、多くの女性は生理の問題は自分で解決しなければいけないと思ってきたのではないだろうか・・・

タブー視されてきた生理のこと

そもそも長い間、生理のことはタブー視され続けてきた。生理が始まれば、まるで隠れるように生理用ナプキンを隠しながらトイレに行った経験のある女性も少なくないのではないだろうか?

私達は生理用品が入ったポーチさえ堂々と持つことをはばかられた世代だ。学生時代は予想外の生理の訪れに友人に「あれ持っている?持ってたら貸して・・・」と決して「ナプキン」や「生理用品」という言葉は、女性同士でも口にしないで会話をしたものだった。

生理中であることは他人に知られてはいけない・・・なんとなくそんな暗黙の決まりがあった。

だからもちろん他人の生理の状態なんて知らない。知っているのは書籍類に書いてある「月経の定義」と自分の生理だけだ。

周りと情報交換をすることもない。それゆえに、自分の生理が異常なのかどうなのかも判断つかず、とりあえず毎月やってくる生理期間を淡々と過ごすしかなかった。

それはもしかたら、今も昔もさほど変わらないのかもしれない・・・

生理中でもさわやかに過ごさなきゃいけない・・・というCMのインパクト

生理用品のCMといえば、「快適」「普段とかわりない」「白いパンツでも大丈夫」とりあえず、さわやかさの全面押しだった。多分、それは今もあまり変わっていないのだろう。

まぁ正直言うと、生理期間は不快だし、トイレの回数は増えて面倒だし、なんなら生理痛はあるし(これは産後かなり軽減されたが・・・)気分は憂鬱だし、漏れないか気になるし、とりあえず眠いし、なんとなく頭はさえないし、生理用品を変えたところで何一つ快適さなんてない。

あえて言うと、怖くて「白いパンツ」も「白いスカート」も生理期間中にはいたことがない。私は月経周期が短めで、予定より4日、5日前倒しなんていうのは日常茶飯事だったので、予定していたお出かけに「白いスカート」がはけなかった事は何度もある。その度に心の中で「生理のやろう・・・」と舌打ちしてきた記憶だけはある。

20代の頃に、今のようにピルの情報がもう少しあれば、迷うことなくピルを選択しただろうと思うぐらい、私にとって生理は憂鬱で不快なもの以外何ものでもなかった。何より月経周期が短い(23日~26日前後)というのが嫌で嫌で仕方なかった。

それでも植えつけられたCMのイメージもあってか・・・生理に対する不満を人前で口にすることはほとんどなかった。(同僚に言わすと不機嫌さはアップしていたようだが・・・)今、思えばCMのイメージ戦略によって、何も変わらず過ごすように知らず知らずに強制されていたのだろうなと思う。

生理の問題は自分で解決しないとダメ?

タブー視され、さわやかさを強要された「生理」。本来なら生理期間も日常と変わらず快適に過ごせるはずなのではないか?と知らず知らずに我々は洗脳されてきたのではないだろうか?

生理期間を快適に過ごせないのは何か自分がおかしいのではないか?と疑問を抱き、解決方法を模索した人も少なくないのではないか?その証拠に、本屋には女性向けのセルフケアの本が多く並ぶ。

「冷え」「子宮」「膣」テーマに取り上げているのものは、その時、その時のブームがあるが、必ずその根底にあるのは「生理」だ。書籍に取り上げられているセルフケアをすることで生理期間も快適に過ごせる事を謳ったものが少なくない。

逆を言えば、生理期間に不快さ憂鬱さを感じるのは「セルフケア」が足りないから、極端なものになると「女性性」やら「自分」を大切に扱っていないからだ・・なんて結論に導かれるものまである。

そんな書籍が、一部のコーナーに埋め尽くされているのを見ると、いかに生理の問題が「個人の管理責任」の中におかれてきたのかがよくわかる。

多くの書籍は医療の必要性はほとんど伝えていない。自分たちでなんとかしよう・・・というものばかりだ。断り程度に最初か最後に「必要に応じて医療機関の受診を」と書かれていればましな方である。

多くの女性は「生理の悩みは自分でなんとかしなければならない」と長年植え続けられてきたのである。きっと今回のプロモーションを企画した人達も、同じようなイメージを植え続けられて大人になった人なのではないかと思う。

生理に対する女性の本音

ただ、もう多くの女性は「生理」に対するきれいごとにうんざりしてしまっているのだと思う。

「生理なんて面倒、無い方がいいんだけど・・・」これが多くの女性の本音だろう。「生理中は、仕事も家事も育児も全部放棄したい・・・」そんな風に思っている女性は少なくないだろう。「生理なんて必要な時だけあればいいのに」と思っている女性もいるかもしれない。

そして、ようやくそのような声が表に出始めた。と、同時にピルやミレーナという選択肢がようやく広く知れ渡るようになってきた。

不快な生理と我慢して付き合う必要はない。医療の力で快適に過ごす方法を選ぶことが出来るんだ・・・と知った女性も少なくないだろう。

ようやく、ようやく面倒な生理と毎月付き合わなくても良いんだと思い始めてきた時に出てきた、今回の「生理は個性」という発言。多くの女性は「そんな個性なんてなくて結構」と思ったのではないだろうか?

生理なんてキラキラもしていなければ、さわやかに過ごせる期間でもないし、女性を輝かせるものでもない。生殖のシステム上、なくては困るが、それは必要な時だけで十分。普段は生理に煩わされることなく過ごしたい・・・それがきっと多くの女性の本音なのだろう。

そしてそれを解決するのは「生理用ナプキン」ではない。多くの女性は生理用ナプキンがどれだけ進化しても、生理の煩わしさから解放されない事も知っている。

所詮、生理がある以上ブルーデイはブルーデイなのだ。ブルーデイを無理やりハッピーデイにすることは出来ない。もう、生理のイメージを心のもちようや無理やりポジティブに変換するのは終わりにしてほしい。


2024年 改めて読み返してみて

あれから約4年。果たして生理の理解は変わったのだろうか?今、改めて読み返してみて、変わったところもあるし、変わっていないところもあるなというのが正直なところである。

ただCMは私が検索する限り、キラキラしたものは少なくなったような気はする。

ただ相変わらず生理に関するトンでも情報をあちこちで見かけるし、生理痛の対応に食や冷えなどのいわゆる体質改善系を訴えるものもまだまだ少なくない。

フェムテック商品でも、セルフケアや自力でなんとかしようというものを見かける。

そして何より、性教育はまったく進んでいない。小学校にもよるのだろうが、相変わらず生理の授業は女子だけ。男子は自習という…そしてまともに学んでこなかった大人に対しても、健康経営の一環として月経に関する知識や学びを企業の取り組みに依存しているのが現状である。

生理についての社会の認識が変わったなと本当に思えるのは、20年後、30年後なのかもしれないなと思う。


現在、不妊治療と仕事の両立支援に関するアンケートを行っています。

期間:2024年3月14日~2024年5月15日

アンケート対象者・不妊治療と仕事の両立に悩んだことがある人、現在悩んでいる人・治療ステージは問いません・悩んだ結果、治療をしなかった方も対象になります。

少しでも多くの方にお答えいただければ嬉しいです。アンケート回答のご協力、シェア・拡散をどうぞよろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?