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#05  2人目妊活 私が一人っ子を決断するまで 2人目妊活に積極的になれない 社会に取り残されていく不安

不妊治療退職をして13年、一人っ子決断して6年。 そんな私が一人っ子を決断するまでの様々な葛藤に関して、綴っています。

第3話

第4話

1人目の子育て、ワンオペ育児に必死だった私は、2人目を積極的に考える余力はありませんでした。ただ私が2人目妊活に積極的になれなかった理由はそれだけではありませんでした。

第5話では私が2人目妊活に積極的になれなかった、もうひとつの理由について綴っていきます。

社会に居場所がない

不妊治療退職から2年。不妊治療・妊娠・出産・育児と駆け抜けて、ホッと一息ついた時に、何とも言えない虚無感に襲われることが増えていきました。

我が子は可愛い、不妊治療を優先して仕事を辞めたのは納得しての決断、そう思っても途方もない虚しさに、行き場のない思いを抱えて日々の生活を送っていました。

2001年卒業の私は、いわゆる超氷河期世代。医療関係とはいえ、新卒での就職は難しく、「女性はパートか契約社員でしか採用していないんだよね」と言われたことも1回や2回ではありませんでした。

既に内定者が決まっていると噂された病院の試験も受けにいったこともあります。そんな中、正社員で就職できた会社は今でいういわゆるブラック体質の会社でした。

そんな会社ですから、もちろん社員の入れ替わりも激しく、私自身も転職を繰り返して前職の正社員・技術職というポジションにたどり着いたのです。

ようやく、ようやく掴み取ったポジションでした。

しかし一度手放してしまったものはもう戻ってきません。私は、不妊治療退職で、仕事やキャリアだけではなく、社会の居場所も失ってしまったのだと気が付くまでさほど時間はかかりませんでした。

育休ママ支援の中での疎外感

そんな私の思いをさらに強くしたのが、当時あちこちで取り組まれていた、「育休ママ復帰支援」と名を打った様々な施策でした。

2010年といえば、育児・介護休業法が改正された年でもありました。少子化の流れを変え、子育てをしながら働き続けることができる社会を目指そうという取り組みがあちこちで行われていました。(2024年の今、少子化を止めることは出来ていませんが…)

ただ、この「育休ママ復帰支援」はあくまでも「育児休暇」を取得している女性が対象でした。そのため、様々な子育てイベントや教室に参加しても、育児休暇中の女性とそうでない女性でわけられていました。

そして当然盛り上がるのは育児休暇中のグループです。職場復帰予定のないママたちは置いてけぼりでした。

育児休暇中の女性しか参加できない幼児食教室やイベントも少なくありませんでした。

そんな環境の中でしたから、社会に居場所がないことを痛感するしかありませんでした。

社会に居場所が欲しい

そんな私の中で「社会復帰」への焦りが徐々に大きくなっていきます。このまま何年も子育てだけをしていたら、社会に戻る居場所がなくなるのではないだろうか…今なら離職して2年。まだなんとかなるはず…

2人目妊活を考えるといよりは、社会復帰への焦りばかりが大きくなっていったのです。

ただ周りは「不妊治療退職してまで授かった子供。後は子供のために生きるべき」そう言ってくる人も少なくありませんでした。

その言葉がさらに私に追い打ちをかけることになったのです。

とはいえ、当時は待機児童Maxの状態。現在仕事に就いていても就業状況によっては認可保育園に入園させることすら難しい時代でした。

もちろん求職中の状態で保育園入園なんて論外でした。

そんな中で、実家に子供をお願いして、健康診断の仕事に復職します。子どもが1歳を過ぎた春でした。

本来、子育てに専念し、働いていなくても「社会に居場所」はあるはずです。

しかし、当時の「専業主婦VSワーママ」論争や、わざわざ育児休暇中の女性とそうでない女性を区別した行政の子育てサポートが、私の中の不安を必要以上に煽っていたように感じます。

不妊治療退職さえしていなければ

こんな時、いつも私の頭の中をよぎったのは、「あの時、不妊治療退職さえしていなければ…」という思いでした。

会社員として働いていれば、産休・育休後に戻る場所さえあれば、私はもっと2人目妊活に積極的になれていたのではないか?と思う事も少なくありません。

今、ここにもう一人子供がいたのかも?と思う時もありました。

社会に居場所がない、戻る場所がない、このことが2人目を考える上で、ここまで大きく影響してくるなんて、不妊治療退職した時には思ってもいませんでした。


本日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。

不妊治療退職は社会の居場所への不安以外にも、経済的な不安も同時にやってきます。特に2人目を考えるのであればなおさらです。

第6話ではこの経済的不安について綴っていきます。

このシリーズは「子供は2人」という考えに何も疑うことなかった私が、不妊治療、不妊治療退職、出産を得てひとりっ子を選択するまでの心情の変化を、10回に渡って綴っていきます。

次回も金曜日更新しますのでお付き合いいただければ幸いです。

第6話はこちら





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