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【シーズン3-6:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】「やりたい軸」でゴールを考える ~「want to」と「have to」

(1)仕事は「やりたいこと」ばかりではない


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
シーズン3では、書籍のタイトルにもなっている「ゴールドビジョン」についてお話ししています。
 
前回ご説明したとおり、ゴール設定をする際のポイント(ゴール設定の3要件)は、「現状を大きく超える目標であること」(すごい軸)、「自分が心から望むものであること」(やりたい軸)、「ゴールはたくさん設定すること」(たくさん軸)の3つです。
 
今回は、その中でも「やりたい軸」を深掘りしていきます。
人は「やりたい」と思えることであれば、モチベーション高く取り組めるはずです。だからこそ、心から「やりたい」と思えることをゴールとするのが基本となります。
 
これは「当たり前」に聞こえるかもしれませんが、仕事においては、心から「やりたい」と思えない目標を設定させられて、やらされてしまうことがあります。「設定させられる」「やらされる」というのは、受け身すぎる表現かもしれません。しかし、心情的にはそう感じるケースも多いのではないでしょうか。そのようなとき、「やらなければしようがないから、やるぞ」と、自分を奮い立たせて取り組んでいる人も多いのではないでしょうか。
 
私はそのこと自体を否定するつもりはありません。
ひょっとすると、「『have to』(しなければならない)はないほうがいい。ゼロにしたほうがいい」「可能であれば、すべてが『want to』(望んでいる)になっているほうがいい。それが健全なんだ」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
 
もちろん、それが望ましい状態なのかもしれませんが、組織で仕事をする場合には特に現実的ではありません。
また、「want to」ばかりが続くのは、現状が続いていくことを意味しており、かえってリスクを高める可能性もあります。人は、ある程度負荷がかからないと成長しません。「ちょっときついな」と思わないと成長しないのです。そして、「きつい」と感じることに対して、嬉々として取り組める人はそんなにいないでしょう。

(2)光の当て方、表現の仕方、捉え方を変えてみる


こうした現実に対して「表現」の仕方を変えるとどうなるでしょうか。
「きついなあ。やだなあ。でも、やらなきゃしようがないな」を「have to」に分類すれば、「have to」になります。一方で、「きついなあ。やだなあ。でも、自分でやるって決めたことだしな。やろう。よし、がんばるぞ」と表現して「want to」に分類することも可能です。
 
いろいろな要素が混ざり合っているのが、人の心です。
相反する感情をもつことを、英語では「ambivalent」と表現します。望んでいるけれど望んでいないこと、嬉しいけれど嬉しくないこと、いやいやだけれど喜んでやること……等々が世の中には存在していて、それらは光の当て方、表現の仕方次第であることは、大人になるにつれ、ある程度わかってくるはずです。
 
つまり、ゴール設定においては、「want to」であることが望ましいけれど、「心から望むもの以外はダメ」ではないのです。
 
繰り返しになりますが、会社を経営するケースを含めて、組織で仕事をする場合、「have to」だらけと言っても過言ではありません。
 
たとえば、会議が大好きな人はそう多くはないでしょう。長々と訓示を垂れる偉い人であっても、だんだんと飽きてきて、面倒になったりすることを考えれば、会議を心から愛してやまない人は少ないはずです。
 
とはいえ、会議は必要なもの、しなければならないものでもあります。
ですから、「have to」に対して、光の当て方、表現の仕方、捉え方を変えることで、「want to」に分類できることが重要になってくるのです。

(3)抽象度を上げて、「have to」を「want to」に変える


今度は「抽象度」(階層)という観点から、「have to」を「want to」にする方法を説明してみたいと思います。
 
日本でもどこの国でも、ゴミを捨てる作業は誰かがしなければなりません。
でも、ゴミ捨て場までゴミをもっていく作業をこよなく愛している人はそこまで多くはないでしょう。その意味では、ゴミ捨ては「have to」に分類される作業になります。
 
でも、抽象度を一段上げて、「家をきれいにしたい」「気持ちよく過ごしたい」とすると、「want to」になります。つまり、大きな「want to」の中に、小さな「have to」が含まれている場合、トータルとしては、「want to」になるのです。
 
このように抽象度を変えることによって、全体を「want to」として再認識することは可能です。実際、嫌だったらやめればいいのに、それでもやっているのは、実はやりたくてやっているからにほかなりません。
 
ここまでの話を復習すると、相反する感情が混ざり合っていることを理解したうえで光の当て方を変える方法と、抽象度を上げることで解釈の幅を広げることによって、気持ちよく行なえるようにする方法を解説しました。

(4)「2段階」で伝える


もう1つ最後にお話ししたいことがあります。
本日お伝えしたことを、リーダーが社員やスタッフに「どう伝えるか」についてです。
リーダーが社員やスタッフに「やるべきこと」を伝えた際、顔に出すかは別として、「マジですか?」「やるんですか?」という気持ちを社員やスタッフが抱いたとしましょう。そのような場面で、いきなり抽象度が高いメッセージをかぶせると、社員やスタッフは反論ができなくなってしまいます。社員やスタッフとしても、「言いくるめられた」感じがして、不満が溜まってしまいます。ですから、一度、同じレベルまで降りて、「そうだよね。大変だよね」というやりとりをして、「できることがあったら協力しよう」という雰囲気づくりをしたうえで、抽象度を上げたメッセージを伝えるとよいでしょう。
 
別の例を挙げましょう。
親が子どもに「ゴミを捨ててくれる?」と言って、「えー!」となったとき、「家をきれいにしたいだろう?」と「正論」を伝えるのではなく、まずは「そうだよね、悪いね。ありがとう」と伝えるのがよいでしょう。そのうえで、別の機会に「家をきれいにするためには、掃除は大事だよね」と伝えておく。こんなふうに2段階のコミュニケーションをするのをおすすめしています。
 
今回は「やりたい軸」をテーマにお話ししましたが、いかがでしたか。

最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。
 
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