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【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-11】「再現性」と「組織の覚醒」(後編)

(1)「バランスホイール」というパワフルなツール


こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
 
そろそろシーズン1も終わりに近づいてきました。
前回に続き、今回も拙書『CEOコーチング』に沿ってお話ししてきたシーズン1を総括する記事をお届けしたいと思います。
 
『CEOコーチング』は、お伝えしたいことを一冊にぎゅっと詰め込んでいるため、密度が高いこともあり、「難しい」という感想をいただくことがあります。
ただ、諦めずに繰り返し読んでいただければ、会社を経営していたり、リーダーシップを発揮する立場にある方であれば必ず遭遇する場面が、ほぼ全て網羅されていることをご理解いただけると思います。

書籍『CEOコーチング』(ソフトカバー、kindle)
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本書では、リーダーが遭遇するであろう場面を包括的に捉えるための方法をご紹介しています。紙の書籍をお持ちの方は220ページの図表「組織のバランスホイール」をご覧ください。
 
バランスホイールについては以前にもお話ししましたが、組織版の場合は、会社やチームにとって重要な項目、テーマ、トピックなどを列挙していきます。
たとえば、220ページの図表では、「顧客」「従業員」「株主」「取引先」「売上・利益」「キャッシュフロー」「イノベーション」「プロセス」「海外」「事業承継」などを挙げています。
 
もし、みなさんがリーダーシップを発揮して、組織を牽引しているのであれば、その項目一つひとつに対して、望ましいゴールを書くことができるはずです。
たとえば、単純に「売上・利益はこれくらい」ということだけでなく、「海外事業をどう考えるか」「事業承継はどうしていくべきか」といったことを考えていくのは、とても重要なことであり、みなさんが会社全体を見ながら、さまざまな意思決定・判断をしていくうえで、プラスになると私は考えています。
 
リーダーというのは誰でも、バランスホイールに書くような内容を漠然と考えているものです。その漠然としたものを、はっきりとした形で書き出して、理解していくためのツールとして、組織のバランスホイールはパワフルなのです。

(2)ぶつかり合うことで、組織は覚醒に向かう

「CEOコーチング」に興味をお持ちいただいた方からは、「組織が突然覚醒する」ことについて質問されることも多いですね。
 
「突然」というのはやや極端であって、5分前は沈んでいた組織が、5分後に突然覚醒するというわけではありません。ただ、感覚としては「一夜明けると……」というくらいのことは十分にありえます。
 
たとえば、スポーツチームであったり、劇団であったり、オーケストラ、バンドなど、人が集まって何かを成し遂げようとする際には、意見が食い違ってぶつかることがあります。青春ドラマではありませんが、「なんだ! お前!」と胸ぐらをつかみ合うみたいな感じでぶつかることによって、お互いの理解が深まる。
「雨降って地固まる」という言葉があるように、場の雰囲気が変わっていく、強くなっていくということが、フィクションの世界だけでなく、現実の世界でも起こりますし、経験したことがある方もいるはずです。
 
認知科学、ゴールドビジョンの視点においても、本音を言い合って、ぶつかることはとても大切な要素になります。
 
「コンフォートゾーン」についてお話ししたことを覚えているでしょうか。Aさんには「こういうときにはこうするものだ」というコンフォートゾーンがあって、Bさんにも「こういうときは、こうでしょう?」というコンフォートゾーンがあります。
慣れ親しんだ現状が違う2人が、ぶつかりながらもしっかりと話し合っていくことによって、抽象度が一段上がることになります。AとBとを包摂、包括したレベル、Aでもない、BでもないXになるわけです。
 
Xは折衷案というわけではありません。AもBも含むより優れた案、アイデア、姿勢、取り組み方がXであり、いままで狭い世界、小さなことにこだわっていたことに気づいて、ふっと意識が上がる――。
これが覚醒する瞬間であり、波に乗っていく、風に乗っていくイメージ、あるいは組織全員が少し浮かび上がる感じになります。それはどうしてかというと、抽象度が上がるからです。
 
「ぶつかることは避けたい」という気持ちは誰もが持っているかもしれませんが、「ぶつかること」は、組織が覚醒するためには必要なことなのです。

(3)「コーポ―レートトーク」と「リーダーの醍醐味」

組織が覚醒すると、周りのメンバーも含めて、より目線が上を向くようになります。上を向いて、「あっ、できるかも!」と思うようになってくる。
無意識は、集合的で、なんとなくつながっていると言う人もいるくらい、意
外と垣根がないのではないかと思える面があります。


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周りの人の気持ちをそのまま反映するような感じで、集合的な無意識、集合的な潜在意識みたいなものが働いて、「あっ、できないと思っていたけれど、私たちはできるんだ!」と思うようになって、目の色が変わることがあります。

 このことを言葉で表現しようとしても、「あるんです」としか言えないのですが、体験したことがあればご理解いただけるでしょうし、なんとなくイメージできる方もいらっしゃると思います。

 

リーダーとメンバー数人のチームだったり、5人から10人くらいの部下がいるような課であれば、その変化は感じやすいのではないでしょうか。チーム全体が「やろう!」という気持ちになって、メンバーの発言が急に前向きになったりした経験はありませんか。

 一方、50人、100人、1000人といった大きな組織がぱっと変わる瞬間は、なかなか目撃しづらいのも事実です。全員が「おー!」と気勢を上げて戦(いくさ)に行くわけではないので、表面化しづらいのですが、よくよくつぶさに見ていると、みんなの心が「やろう!」と変わっていくことがあります。そういうところに敏感になっていくのも、リーダーの役目であり、醍醐味の1つかもしれません。

 

私たちは、「組織のセルフトーク」を「コーポレートトーク」と呼んでいます。
AでもないBでもないXという高みにあるような何かを目指すような時にはコーポレートトークは必ずポジティブなものになっています。強いコーポレートトークが組織内で飛び交うようになっていく瞬間を、私は何度も目撃しています。

「覚醒」というとかっこよすぎるかもしれませんが、何かしらそういう変化の場面に立ち会ったり、きっかけをつくるのが、リーダーの役目、経営者の役目です。なかなか大変な仕事ではありますけれども、ぜひ、みなさんも楽しみながらやっていただければと思います。

さて、これでシーズン1は終わりとなります。
長いことお付き合い下さりありがとうございました。

次のシーズンも役に立つ面白い話をお伝えしますので、引き続きご覧ください。
またお会いできるのを楽しみにしています。

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