【エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング:シーズン1-12】誰もがみな「リーダー」である(後編)
(1)「ゴール」よりも大切なこと
こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
いよいよシーズン1の最終回になりました。
今回のメインテーマは「大義」です。
本連載でも扱った「コーズ」(「なぜ、それをするのか」といった理由、信念、ルーツ)ともつながっている「大義」は語り尽くすのが難しいテーマなのですが、ここでは、アントレプレナーシップ、会社を興す、起業という視点からお話ししたいと思います。
「大義」というのは、起業で成功するためには欠かせない要素であり、ある意味「ゴール」よりも重要です。
たとえば、自分で事業を起こす場合、つまり、「ゼロイチ」のケースでは、自分が感じた痛みを解決することに注力するのが最もパワフルです。つまり、起業家、あるいは社内起業家自身が、本当に痛い、つらい、苦しい、うれしい、楽しいと感じるテーマ、自分の脳と心と身体に根差した課題の解決に取り組む必要があるということです。
セカンドベストは、自分が感じた痛みではないけれど、周囲の人たちが切実に感じている痛みを解決すること。
では、
「こういう技術があるので、こういうのをつくったら役に立つのではないか、売れるのではないか」
「きっと世の中でこういうことで困っているに違いない」
「こんなことで困っている人がいると聞いたので、こういうアイデアでやったらどうだろう」
ぐらいのスタートで商品やサービスをつくるケースはどうでしょうか。
残念ながら、形になることはほとんどないでしょう。「絶対うまくいかない」と言ってもいいくらいです。
(2)「大義」は「正統性」に直結する
なぜ、自分の脳、心、身体に根差したテーマがよいのでしょうか。
その事業に粘り強く取り組める、クリエイティブに考えることができるだけでなく、「大義」は「正統性」に直結するものであり、「なぜ、それをやるのか」という理由が自分の脳、心、身体に根差したものであればあるほど、「正統性」を身にまとうことができるからです(紙の書籍をお持ちの方は236ページをご覧ください)。
私は「大義」の説明をする際、「正当」ではなく、「正統な後継者」というような形で使われる「正統」のほうをあえて使っています。私がここでお伝えしたいのは、「正統性」を得るために大義をかざしたほうがいいということではなく、「大義」をもっていることが結果としてものすごくプラスに働く、パワーをもつということです。
そもそも「大義」がなければ人は動いてくれません。
「人を巻き込み動かす力」を説明した際にもお伝えしたように、人に支援されない限り物事はうまくいきません。
つまり、人に応援されるような自分、事業、アイデアでなければ、先に進むことができないのです。もっといえば、自分自身の「コーズ」を高めて、「これはみんなのためになることなんだ」とすることができれば、ものすごいパワーとなるのです。
世の中で成功していることには、そういうものが備わっています。
「ビジョン」が大切にされているのもそのためです。ファッショナブルなビジョンである必要はなく、「この製品、サービスを通して、人の役に立ちたい」ということがしっかりと語れていれば十分です。
いま、流行している「パーパス経営」も同じような意味合いです。日本ではアメリカから渡ってきた言葉がブームになることがありますが、日本と世界を見ている私としては、日本人にとってわかりやすい言葉を使えばいいと思っています。
ですからまずは、「ご自身の事業の大義は何か」を考えてみてはいかがでしょうか。
(3)コーチングに必要な「覚悟」と「責任」
次に、前回予告した「コーチング」を勉強したいと考えている方にメッセージをお送りしたいと思います。
“ing”がついている「コーチング」は、たとえば「ウォーキング」と同じように、本質的には誰にでもできることだと私は考えています。実際、誰もが誰かのサポートを日常的に行なっているはずです。
ただ、職業として「コーチング」を行なうには、「覚悟」と「責任」が必要になります。
「CEOコーチング」というのは、CEOだけでなく、CEOに相当するような厳しい環境に身を置いている方を支援するものであり、トップアスリートの方の支援を行なうこともあります。
もし、10万人の社員を支えている社長のコーチとなるなら、社長を含めた10万1人を支える覚悟をもっていただきたいと思います。そういう覚悟をもって、自分にとっての利益ではなく、ひたすら相手にとっての良いことを考える。その姿勢が、「CEOコーチ」には絶対的に求められます。
CEOコーチングをしていると、時として「大事件」に遭遇することがあります。そういうときには、時間帯、あるいは費やす時間などは関係ありません。全力を注ぐだけです。
たとえば、「明朝の経営会議が勝負だ」となったなら、夜中の1時でも2時でも電話会議をします。対面でお話しする必要があれば、「いまから行きますね」と言って、夜中に車を走らせることだってありますし、飛行機に乗って10時間かけて海外に出張することだってあります。
「CEOコーチング」というのはそういうものなのです。
ちょっと話を聞いて、なんとなくそれっぽいことを話して済むほど甘いものではありません。ですから、もし、「CEOコーチング」を実践したいということであれば、そういう覚悟をもって挑戦していただければと思います。
(4)リーダーを経験できるのは幸せなこと
シーズン1の最後は、責任ある立場で仕事をされている方々へのエールで締めくくりたいと思います。
昇進してCEOになった方、起業して社長になった方、あるいはご家族から引き継ぐ形で責任あるポジションに就任した方もいらっしゃるでしょう。
投げ出したくなるほどの痛みや苦しみを感じられることもあるでしょう。それでも続けていくことで、少しあとになって、「あのとき投げ出さなくてよかった」と思うことができる最高のポジションが「リーダー」です。
そして、組織のリーダーというのは、誰もがなれるものではなく、リーダーを経験できることは幸せなことだと私は思います。
「ドリームキラー」になるわけではありませんが、順調なとき、調子のいいときには「落とし穴」が用意されています。
「落とし穴」に落ちるのが正解ということもあります。最初から「落とし穴はあるものだ」と思って進められるなら、「次はどうすればいいか」を考えることができます。これから経営者になるという方も、そういうものだと思って、心して臨まれることをおすすめします。
次回からは、シーズン2に入ります。引き続き、経営者、リーダーのみなさんが、さらに先に進むための思考やマインドを獲得し、磨いていくお手伝いをしていきたいと思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは、シーズン2でお会いしましょう。
注)シーズン2までの間に、数週間インターバルを取らせていただきます。
再開後も引き続きよろしくお願いいたします。
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