【シーズン4-6:エグゼクティブの成功マインドを磨くCEOコーチング】「周囲」とうまくつきあう②~経営者にとっての上司とは?
(1)社長にも「上司」はいる!?
こんにちは。
エグゼクティブ専門コーチの久野和禎です。
シーズン4のテーマは、「つきあい上手になる考え方」。
前回から「自分以外の人」とのつきあい方を扱っていますが、今回の対象は「上司」です。
ここでは「上司」という言葉の意味合いを広く捉えて、「意見を聞いたり、意識したり、考慮したりする相手」としたいと思います。
その定義に則ると、本連載のメイン読者であり、「上司」がいないと思われがちなCEOや社長にも「上司」(=意見を聞いたり、意識したり、考慮したりする相手」)がいることになります。たとえば、「株主」や「銀行」、あるいは「監督官庁」等です。
2代目社長、3代目社長の場合は、会長や相談役になっている父親や母親も「上司」的な存在になりますし、配偶者の意見を大切にしている社長もいるでしょう。創業者が次期社長を指名した場合は、次期社長にとって創業者は「意見を聞いたり、意識したり、考慮したりする相手」になります。
事業の種類にもよりますが、クライアントやカスタマーが意思決定や判断に影響を与える可能性があることを考えると、「お客様」も「意見を聞いたり、意識したり、考慮したりする相手」になります。
絶対君主のような社長は少数派であり、多くの社長は、他者の声に耳を傾けながら、時には顔色を伺いながら仕事をしているとすると、上司のいる人はもちろん、上司がいないと思われがちなCEOや社長であっても、今回の話は応用可能だといえます。
(2)想像しながらコミュニケーションする
上司と上手にコミュニケーションするには、まずは相手が「何を目指しているのか」「どんなゴールをもっているのか」を深く理解する必要があります。「上司のゴール」と「あなたのゴール」があまりにもかけ離れたものだと、一緒にやっていくのは難しいからです。
逆にいえば、上司のゴールを理解して、意識しながらコミュニケーションしたり、アクションを選択していけば、大きくかけ離れることはないはずです。
もちろん、お互いにこれ以上は譲れないラインというものがありますから、なんでもかんでも合わせるのではなく、「ここは譲れないけれど、ここだったら少し譲ってもいい」という形で、お互いにいい塩梅でコミュニケーションできるようになればいいと思います。
上司のゴールを知る際に役に立つのが、「バランスホイール」的な視点です。
「バランスホイール」を書いてもらえば、相手がどんなゴールをもっているかすぐにわかりますが、上司に書いてもらうのは難しいでしょう。でも、会話をしながら想像することはできます。「こういうゴールをもっているのではないか」と想像しながらコミュニケーションすれば、自ずと関係性はよくなっていくはずです。
(3)「お山の大将」になってはいけない
もし、あなたに「上司」がいないのなら、上司的な存在を探すことをおすすめします。たとえば、もともと心根のいい人であっても、「お山の大将」になって、なんでも自分で決められるようになったり、自分が決めたことでうまくいきはじめると、だんだんと横暴になったり、勘違いしてしまうものです。
成功しつつある30代、40代の起業家が「自分は無敵だ」と思ってしまうのは、リスクだと私は思います。
そうならないためにも、自分にモノを言ってくれる存在を確保することをおすすめします。
方法はいくらでもあります。自分よりも経験のある人に弟子入りしたり、コンサルティングやコーチングを受けるのもいいでしょう。あるいは本業とはまったく違うジャンルの集まりに参加して率先して「素人」になったり、年上の人が多いグループに入ったりして、「王様」や「女王様」ではなく、応援してもらう存在、かわいがられるような存在になるのもいいでしょう。
(4)誰もがみな、ループの中にいる
上にも下にもよく思われたいのが人間ですが、言いづらい相手に忖度するのではなく、「正直に自分が思うことを話せるような自分」になっていくほうがいいと私は思います。
「久野さんの言う通り思ったことを言ったら大喧嘩になりました」とか「株主総会で解任されました」と言われても困りますので、無理強いするわけではありません。
ただ、それでも、王様になっていく、女王様になっていく話と、人の機嫌をうかがいすぎて言いたいことが言えなくなっていく話はベクトルの両極端なのであって、その間のどこかでいい塩梅を見つけることになると思います。
「王様・女王様」から「気にしすぎ・忖度しすぎで何も言えない」の間で適切なバランスを探すということです。
人は1人では生きられなくて、部下もいれば上司もいる。
発注先もいれば顧客もいる。
銀行や出資者がいれば、自分が出資している相手もいるかもしれません。
どうしても頭が上がらない監督官庁もいるし、税務署もいる。
でもそこで働いている方は、同じく誰か頭が上がらない人がいる。
このように、世の中は必ず誰かとつながっていると思うのです。
これが今日のお話です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回またお会いできるのを楽しみにしています。
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