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原作で明かされたアニメ以後の気になる話のまとめ【機動戦士ガンダム サンダーボルト】

アニメ化をきっかけに続きが気になり始めたので最新20巻までを読んでみた。

アニメ化された以降の話は、一年戦争後の数か月後に移る。地球にある水上都市「リグ」を拠点に教団を構える南洋同盟の僧正レヴァンフーの洗脳によりダリルはジオンから寝返り、連邦軍、ジオン共和国、南洋同盟の三つ巴の構造となり戦争が始まる。


地球編 後編


南洋同盟僧正レヴァンフーの過去


フウは、全世界規模の死の商人でもある巨大企業「アナハイム・エレクトロニクス」を討つべく、量産したサイコ・ザクで旧ジオン軍が開発したコロニーレーザーソーラ・レイ」を奪取する作戦を発動し、宇宙への撤退を始める。

レヴァンフウは生まれてからニュータイプとして判断され、強化実験を行っていたアナハイムにより実験体となった子供の一人であった。

12歳になったフウは脳の腫瘍により余命一年の実であったが、リユースサイコデバイスの技術により延命している。そのため話すことも、眠ることも、食べることもできない。


戦争によって普通の人生を奪われてしまったフウはアナハイムに対して強い復讐心を持ちながら、ニュータイプの力で人々の脳内や精神に訴えられる力を利用し戦争後遺症となった民衆や軍人を洗脳し南洋同盟という巨大な教団を築き上げた。

人々を大きく傷つけた戦争を二度と起こさせないためにアナハイムを破壊させるとダリルを始めとした軍人、民衆に訴えながらも、本来の目的は個人的な憎悪を持つアナハイムへの復讐だった。

戦争後遺症を利用し人々に復讐心を芽生えさせて強い反乱組織を築き上げたフウだが、集まった人々にも個人の復讐心で集まった組織であるという合理的な判断の元人々を洗脳し活動している。

カーラとの会話で核心を突かれたその後も過去のジオンとの関係を見透かして手玉に取ってるのは象徴的だった。


第三勢力を単なるテロ組織ではなく戦後混迷期に生まれた教団にしたのがこの作品の特色だが、それゆえに地味だけど大人のガンダムとして現実的でおじさんとしても見やすいものになった。

ニュータイプがテロリスト側にまわるのも新鮮さはある。

洗脳によって不特定多数の民衆を集めて復讐に導いていくというのも現代的。

彼らを含めた着地点はどこなのか見守りたい。

戦争ジャンキーのイオが人間に戻るまで


スパルタンが強襲し、サイコ・ザクの試作機を駆るダリルとイオの戦いは地下基地内までおよぶ。試作機が限界を超えて決着がつきかけるが、クローディアらによって組み上がったサイコ・ザク・マーク2が届けられた結果、イオはダリルを守ろうとするクローディアを手にかけてしまう。

そのショックでイオは戦闘不能となり、サイコ・ザク・マーク2に乗り換えたダリルは、シャトルの打ち上げをサポートするためにスパルタンを撃沈する。

タール火山基地でイオとダリルとの決着がつきかけたが、ダリルを守ろうとしたクローディアに阻まれ最愛の恋人を自らの手で殺してしまいPTSDとなる。

いつからか南洋同盟を信仰していたイオのもう一人の幼馴染コーネリアスは、フウの命を受けて連邦のスパイとして活動していた。タール火山基地での戦いもダリルをニュータイプとして覚醒させる指金であったとも明かされる。

その後PTSDで寝たきりとなったイオに毒物投与をし共に銃で死ぬつもりであったが、アナハイムから連邦に贈られたニュータイプイースの能力によって身代わりになり、手元にあった銃でイオはコーネリアスを銃殺。

イオは自らの手で故郷ムーアから共に幼馴染であった二人を殺してしまい、自ら評していた「戦争ジャンキー」から戦争の悲しみを知る人間へと成長する。

コーネリアス殺害後ムーア時代の三人の回顧で泣ける。

これまで戦場では独断で動いていたイオは、トラストというチーム名のように仲間、兄妹となったリリーと共に戦い不条理と悲しみを知る戦士へとなっていく。


第3部 新宇宙編へ

タール島での戦いが終わり、敵も味方も次の戦場に向かって動き始める。宇宙に上がる手段を求めてジオン残党から弾き出されたヨハン・ガレに協力するダリル。戦いには間に合わず、ドミトリーやビリーを連れて脱出しダリル同様に宇宙を目指すカウフマン。そしてフウと共に宇宙拠点に向かったカーラたちは秘匿されていた「ビグ・ザム」に驚愕する。そして沈むスパルタンから脱出したクルーは少なくない犠牲を経て任務を達成するべく再出発する。

サイド3ジオン共和国が所持するソーラレイを利用してアナハイム社を破壊する南洋同盟の「マイトレーヤー作戦」の実行が着々と進み実行されていく新宇宙編。

ジオンは戦後「共和国」に変わり連邦の支援も仰ぐが、一年戦争中のザビ家が独裁していたジオン公国時代との軋轢がいまだに埋められない。

連邦側は最終決定を待たないまま独断で動き、南洋同盟に着け入れられソーラレイをフウによって奪われる。


この辺の一年戦争後独特の外交のちぐはぐ感もこの作品ならではだった。


またムーア同胞団はコーネリアスの死後、混迷期による戦争で亡くなった軍人の弔いも兼ねてモニカ参謀の伝手でアナハイム社が設立されているフォンブラウン市へ初めて入る。

そこではアナハイム執行役員アンディーにより、イオの父やムーア設立の過去、フォンブラウンを守る意義や任を直々に任されイオは戦闘に臨む。

またアナハイムにはガンダムマーク2が量産されており、すべてがアナハイム製となっている。

フォンブラウンの歴史やカミーユが製造したはずのガンダムマーク2が量産化されているところ等は、パラレルワールドも発揮されている。

イオは宇宙移民に際し地球環境を保全するために父が作ったフォンブラウンを「守るため」最後の決戦へ向かう。


この作品も昨年で連載10年目を迎えて最終章へ突入し徐々に完結も見えてきた。

イオとの描き方の対比やダリル視点のストーリーが多いため最初は批判も多かったらしいが、

後半からイオにとっての戦争の不条理さも加速しより面白くなった。

個人的にも好きなガンダムシリーズ。パラレルな分余計な知識もいらないので見やすい。

アニメの続編も作ってほしいけど単行本のペース的にも原作が完結してからだろう。


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