TAKUMI NEXT 2021 レポート
こんにちは。造形作家の塩井一孝です。福岡を拠点に、絵を描いたり彫刻を作ったり、デザインの仕事をしたりしています。
僕の事業(KAZUTAKA SHIOI)は今年、『TAKUMI NEXT』に採択されました。『TAKUMI NEXT』とは、日本貿易振興機構(JETRO・ジェトロ)が日本のクラフト企業の海外進出を支援するプロジェクトです。
この記事は『TAKUMI NEXT』のレポートです。これから『TAKUMI NEXT』に応募しようとする企業や個人事業主の方、また事業を海外展開していきたい方の参考になれば嬉しいです。
TAKUMI NEXT とは?
『TAKUMI NEXT』とは3年前から始まったクラフト企業を支援するJETRO主催のプロジェクトです。今年は379社応募があり、海外のバイヤーが選んだ155社が採択されたそうです(倍率2.4)。採択された企業は、
これらをオンラインで実施していただけます。そして今年度はさらに、
このようなオンラインツールを活用した支援内容を更に拡充してくださるとのこと。オンライン商談会は通訳も付くそうなので安心。そして、これらのサポートは全て無料なのです。海外へのシッピングまで全てサポートしてくれるのはかなり嬉しいし、かなりお得に感じます。
なぜ応募したのか?
今回、僕が応募した理由は「『写光石』をクラフトからも攻めてみたら面白そう」と考えたからです。近年取り組んでいる『写光石』は基本的に用途を持たない彫刻作品なのですが、昨年より、多くの人にこの作品を届けたいという思いから指輪やイヤリングなどのアクセサリーも作り始めました。作品に用途が生まれるので、写光石のアクセサリーはクラフトとして売り出してもいいんじゃないかと思い始めたのです。
・そもそも『写光石』って何?という人はこちら↓
どのように応募したのか?
「一体、どのような写真を使ってどのような文章で応募すれば良いんだろう?」というのは、これから『TAKUMI NEXT』に応募し用とする人、また今回採択されなかった人たちが一番気になるところだと思います。そこで、僕が応募した内容を公開します。
なぜ採択されたのか?
採択された明確な理由は知らされていませんが、以下の3点が審査員からの評価に繋がったように考えています。
特に「和紙を使っているのに、和紙に見えない。なんだろうコレは?」というのが一番重要だったのではないかと思います。審査委員に「実際に見てみたい」と思わせることが重要なポイントだと思います。そのためには、見たことがない素材の使い方、形、色、使用用途など、言ってしまえば作品のクオリティや他と差別化されていることは必須です。
では、作品のクオリティを踏まえた前提で、次はもう一歩踏み込んで応募する時のポイントを紹介したいと思います。
応募するときのポイント3つ
結論を言うと下の3つです。
この3つはいわゆる「現代の身だしなみ」です。商談のためにスーツを着たり、散髪したりするのと同じです。審査員はパソコンの画面に送られてきた情報だけでしか商品の良し悪しを判断できないのです。つまり、「現代の身だしなみ」で第一印象が決まり、その後の商談に大きく影響していくのです。
「高品質な写真」とは、見た目のことです。どんなに実際が良い商品でも相手の目に映る第一印象がイマイチでは元も子もありません。写真はスマホで簡単に撮れる時代になりましたが、スマホの画質(写真の質感)ではダメです。一眼レフを持っていても腕に自信がなければ、きちんとお金を出してプロにお願いしましょう。
「短い文章」とは、分かりやすいメッセージのことです。他人に長々と抽象的な話をされても記憶には残りませんよね?それと全く同じことで、自分たちは何を大切にしていて、この商品は何を誰にどのようにどんな価値を提供するのか。簡潔な文章で語ることが大切です。長すぎる文章は相手を疲れさせます。
「綺麗なインスタとホームページ」とは、企業の写し鏡です。審査員たちは「高画質な写真」「短い文章」を見てあなたの商品が気になったら、次はホームページやインスタを覗いて、あなたの企業について深く理解しようとします。そんな時にホームページがガタガタのレイアウトや配色だったり、何ヶ月も更新されていなかったりしたらどうでしょうか?きっと信頼をなくすことになるでしょう。
以上の3つに共通することは「努力でなんとか出来る」ことです。自力で出来なくても、きちんとお金をかけてプロにお願いすればクリアできる問題です。つまり、ここを抑えていない企業というのは「自分たちは努力しません」「身だしなみなんてどうでもいいです」と言っているようなもの。そんな企業とは誰も一緒に仕事をしたいとは思いませんよね。海外で活躍したいと思うなら尚更です。
「現代の身だしなみ」は努力で解決できる。この点をしっかり抑えれば、『TAKUMI NEXT』だけでなく他のコンペにも十分戦えます。というか、抑えなければ戦えません。もう少し欲を言えば「動画」もこれから必須アイテムになっていくことでしょう。しかし、最も重要なのは商品のクオリティです。審査員たちが「見てみたい、見ないと分からない」と思えるような商品を如何に作るか。兎にも角にもこれに尽きます。
さて、僕も海外展開は始まったばかり。このプロジェクトでどんな成果を出せるのか頑張っていきたいと思います。note でも引き続きレポートしていきたいと思うので、興味ある方はぜひフォローをお願いします。ではまた。
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