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chihomikishi
長続きする道
自分をよりよく見せよう
という思いから抜け出せれば
人は自然体で
ありのままの自分でいられる。
ありのままでいるから、力尽きることがない。
他者に道を譲る人には道が開かれ
無欲な人ほど重用される。
もっともっと、という思いを
なくせばなくすほど
身もこころもどんどん満たされていく。
天は長く地は久し。天地の能く長く且つ久しき所以の者は、其の自ら生きんとせざるを以てなり。故に能く長久なり。是を以て聖人は其の身を後にして身先んじ、其の身を外にして身存す。其の私無きを以てに非ずや。故に能く其の私を成す。
天は長く地は久し:天地長久、物事がいつまでも続くことの喩え
天と地が生まれてから、どれ位の時間が経つだろうか。驚くほど長久である。
天地が長久でいられる理由は、自ら長久でいようなどと思っていないからだ。自分は一番後でいいからと、他人に譲るほど他人から推されて先に立つことになる。自分のことなど思ってもみないで、ひたすら他人の為に思って働いていると、いつしか大切にされて、皆の中心にいるようになる。
この世はそんなものだ。自分を忘れ切って(没我没私)こそ、自分が成り立つ。
「天」と「地」という悠久の象徴を例示して、長続きするモノ・コト・ヒトとは何かを説いた章ではないだろうか。
天地は自ら生きようとしない、つまり無欲。だから長く久しつ続くのだと、老子は言っている。
老子の思想を淵源のひとつとする禅は「捨てる思想」だと聞く。
捨てるべきは、自分の心の奥底に巣くう「執着」である。
誰だって、他者より先に行きたい
偉くなりたい
誰よりも多く稼ぎたい。
その欲望が、人間をより前へ、より上へ、と押し上げてくれる原動力になる。
しかしその一方で、「執着」は自分の思うようにならない時に、自身を苦しめる内因にもなる。
欲、こだわり、他者の視線等々、自分を縛る「執着」から解き放たれてこそ、長続きする道が開けてくるのではないだろうか。
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