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テーマ5.両極相和す

「両極相和す」というのは、ヘーゲルの弁証法でいうところの「アウフヘーベン(止揚)」に近い考え方で、矛盾する要素を発展的に統合する思考である。
二千三百年の時間と洋の東西を越えて、二人の哲人(老子とヘーゲル)の思考深化は同じような到達点に達したのだろうか。

さて、ここで書いた創詩は、章句全体の概念を踏まえて書いたのではなく、印象的な一文に心惹かれて想起したインスピレーションが多い。

老子は、人間の創造的な野心にくすぐりを入れるのが巧みである。
「人は不善なるものも、何の棄つることか之れ有らん」(爲道六十二)という一文から新約聖書のペテロの裏切りが頭に浮かび、
「大方には隅無く・・」(同異四十一)という一節では『氷川清話』の有名な逸話が思い出された。

いずれも章句全体の趣旨とは距離があるかもしれないが、個人的にはアウフヘーベン的につながっていると確信している。

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