男が手を出す時 『それから』夏目漱石
「それから」は、漱石の三部作の真ん中に位置する。新潮文庫版の解説によれば、「三四郎」のそれからが、「それから」であり、「それから」のそれからが、「門」ということになる。1908年の9月から1910年の6月までの2年間に、それぞれ半年間のブランクを空けつつも、通底する主題をもった作品を三作も連載し続けたのだから、漱石の生産性はたいたものだと思う。
個人的な読書体験でいうと、「三四郎」は高校時代に読み、「それから」は20代に映画(松田優作が代助、藤谷美和子が三千代)を観た後に