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SONY SMC-70 - そのデザインには憧れたけど

競うように家電メーカーが独自のパソコンを出していた1982年のおわり、遂にソニーも「らしい」スタイリッシュなパソコンであるSMC-70をリリースしました。実は日本に先立ってアメリカでも発売していたのですが、日本語に関わる機能を除けばほぼ同じもののようです。どちらかというと単なる箱にしか見えないパソコンが多い中、アップルのように持っているだけで格好良いと感じさせるところがありました。

商品のあゆみ SMC-70

まだ普及するのかもわからなかった3.5インチFDを最初に採用し、本体に合わせたトリニトロン管採用のプロフィールブランドを冠したディスプレイも用意しました。キーボードはステップ・スカルプチャーと呼ばれる傾斜がつけてある本格的なものでした(何故かカナは50音配列)。面白いのは拡張ボードをスロットに指すのではなく、ケースの最後部を取り外し、間に箱を挟み込むような方法で拡張する形を採っていました。

ソニー SMC-70

搭載されているBASICは、独自開発のもので、少しだけLispチックな構文が追加されているとはいえ機能としては標準的なものでした。こだわりを見せたのはスクリーンエディタとデバッグ機能で、どうもマニアックなエンジニアがこだわって作ったような気もします。CPUはZ-80なので、当然CP/Mも使えますし、CPUが遅いというのならと、8086拡張ボードも用意されCP/M-86も使えました。

ゲーミングブランドを立ち上げたソニーがかつて販売していたゲーミングPC(?)とは

もっともソフトウェアが揃っていたわけではありませんし、この会社の機器は他に比べてお値段が張る(本体価格で20万超え)ので、ホビー用途にはまったく刺さらず、どちらかというとスーパーインポーズ機能を使ったレーザーディスクとの連携ソフトであるとか、ビデオコンテンツ作成機材として活用されたようです。まあAV機器メーカですからね。

SMC-70 1982年12月

デザインもよくスペックとしてもバランスの取れたパソコンで、どうしてもっと売れなかったのだろうとも思うのですが、せっかくの3.5インチフロッピーがまだ入手困難で、価格も高すぎたのがイケなかったのかもしれません。一度買えば良い本体と違い、たくさん使う消耗品が高いのはどうしても嫌われますよね。

ゲームグラフィックTVシーズンEX第24回「SONY SMC 70」

ちなみに、このPCのエミュレータもあるようです。このBASICの良い資料が見あたらないので動かしてみるかなぁ。

歓迎光臨 "eSMC-70" - SONY SMC-70 emulator for Win32

ヘッダ画像は、以下のものを使わせていただきました。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sony_SMC-70_Micro_Computer.jpg
By Dan Century from Sea Bright, USA - Sony SMC-70 Micro ComputerUploaded by BokicaK, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10647635

#レトロPC #SONY #SMC70 #3 .5FD #ステップ・スカルプチャー  

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